こうりんししつこうたいしょうこうぐん抗リン脂質抗体症候群
抗リン脂質抗体症候群とは?
抗リン脂質抗体症候群(こうリンししつこうたいしょうこうぐん)は、抗リン脂質抗体というリン脂質に結合するたんぱく質が、血液を凝固させて、さまざまな場所に血栓を作る病気です。
自己免疫疾患の一つですが、どのような仕組で血栓が作られるのかは不明です。
血栓のできる場所によって症状は異なりますが、妊娠中に血栓ができて胎盤につまることで習慣性流産をおこします。
全身性エリテマトーデスに合併しやすいことでも知られています。また、一度症状が治まっても再発しやすい病気です。
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抗リン脂質抗体症候群の症状
下肢に血栓ができた場合は同部位の痛みや発赤などが出現します。
脳に血栓ができた場合は脳梗塞など、血栓が発生する臓器によって症状は多岐にわたります。
この疾患の特徴的な症状として流産を繰り返す習慣性流産というものがあります。
抗リン脂質抗体症候群の診療科目・検査方法
抗リン脂質抗体症候群の原因
はっきりとした原因は不明ですが、遺伝的要因を背景に環境的要因が加わった際に発症すると考えられています。
抗リン脂質抗体症候群の予防・治療方法・治療期間
血栓症が実際にある場合には血栓溶解療法などをおこないます。
予防的には抗凝固薬や抗血小板薬を定期に内服します。
続発性のAPSの場合原疾患の治療も同時におこないます。
基本的に血栓症のリスクがあるので、数年あるいは数十年単位で治療を続けます。
抗リン脂質抗体症候群の治療経過(合併症・後遺症)
根治療法はありません。血栓を作らないようにする治療が可能です。
抗リン脂質抗体症候群になりやすい年齢や性別
膠原病(こうげんびょう/臓器に炎症が起きる病気の創傷)に合併する続発性APSと、基礎疾患のない原発性APSの2種類のAPSが存在します。
はっきりとした患者数は不明ですが、欧米の研究ではSLE(全身性エリテマトーデス)の約10~20%にこのAPS患者さんがいるとされます。そのようなことから、APSも合併している患者数はおおよそ1万人前後とみられています。
原発性APSも同じくらい存在すると考えられているので、原発性・続発性合わせると約2万人ほどと考えられます。
はっきりとした数は不明ですが、男女比は約1:4で女性に多く、好発年齢は30歳~40歳とされています。
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執筆・監修ドクター
経歴2006年3月 金沢医科大学医学部卒業
2006年3月 医師国家試験合格
2006年4月 順天堂大学医学部附属順天堂医院 臨床研修医
2008年4月 順天堂大学医学部膠原病内科学講座 専攻生
2009年4月 順天堂大学大学院医学研究科入学
2013年3月 大学院卒業 博士号取得
2013年4月 非常勤助教
2014年1月 とうきょうスカイツリー駅前内科 院長
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