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そくとうようてんかん側頭葉てんかん

更新日:2022/08/16 公開日:2019/02/01 view数:28,974

側頭葉てんかんとは?
側頭葉てんかんとは、大脳葉の側頭葉とよばれる場所に起因しておこるてんかんのことです。
また、側頭葉てんかんは病変が側頭葉の内側か外側かよっても症状が異なります。
側頭葉は、言語処理や記憶処理、聴覚処理、物事の判断、感情の制御などにかかわる機能を持つため、てんかんのような異常をきたすと精神症状(既視感、未視感、恐怖感、離人感)を引きおこしたり、言語障害をおこしたり、応答がないことや覚えていないということ(意識減損)もあります。
さらに側頭葉てんかんで、特徴的な症状として挙げられるものに自動症があります。
無自覚に身振りやモグモグと口を動かすなどの行動がみられます。

側頭葉てんかんの原因は、幼少期に熱性けいれんにかかった経験や脳に外傷を負うような経験があったケース、高齢者では脳血管障害があるという例がありますが、はっきりとした病因はわかっていません。

目次
  1. 側頭葉てんかんの症状
  2. 側頭葉てんかんの診療科目・検査方法
  3. 側頭葉てんかんの原因
  4. 側頭葉てんかんの予防・治療方法・治療期間
  5. 側頭葉てんかんの治療経過(合併症・後遺症)
  6. 側頭葉てんかんになりやすい年齢や性別

側頭葉てんかんの症状

発作焦点が内側側頭葉にあるものと外側側頭葉にあるものに分けられます。
それぞれ内側側頭葉てんかん(MTLE)、 外側側頭葉てんかん(LTLE)と呼んでおり、8割以上が内側、1~2割が外側起原です。

MTLEは扁桃核・海馬に起始するもので、各種の自律神経症状(「上腹部の不快感」「味覚や嗅覚の異常」「恐怖感」「顔面の紅潮や蒼白」「既視感」「一過性の記憶障害(これは高齢者に多い)」など)が前兆(発作の一部)として挙げられます。
引き続いて動作の停止・意識障害・自動症が出現します。
自動症は比較的ゆっくりした上下肢や口の動きが特徴です。
時にはいかにも「何かしらの目的を持った動き」に類似する場合があります。。
例えば「衣服を整える」「ボタンをはずす/はめる」「箸を持とうとする」「テーブルを拭こうとしている」などです。
ゆっくりと周辺をさまようような歩行自動症などもあります。
発作持続時間は数分であり、患者は前兆を自覚することもありますが、発作起始から意識が減損して、発作後に全く覚えていないこともあります。

LTLEは新皮質性とも言われ、種々の感覚異常(聴覚や視覚など)や言語障害(焦点が優位半球の場合)から始まり、意識減損をともないます。
MTLE、LTLEとも二次的に強直間代発作に至ることもあります。

側頭葉てんかんの診療科目・検査方法

MTLEでは、脳波で前側頭部にてんかん波が記録されます。
しかしこのてんかん波は覚醒時に検出しにくいことやてんかん波が低振幅であることが多く、記録方法の工夫や脳波判読の経験が必要です。
脳波は専門医にみてもらう方が確実です。
MRIでは海馬硬化所見が多く認められています。
LTLEではてんかん波は中・後側頭部に明瞭に出現します。

【症状】欄に記した不自然な症状に気がつけば脳神経外科を受診する必要があります。
脳神経内科精神科でも可能だが、本人が気づかない場合もあるので、周囲の観察者がそれとなく教えてあげるとよいでしょう。

側頭葉てんかんの原因

MTLE症例群から成因を探ると幼少期に熱性けいれん、特にけいれんが10分以上にわたって遷延した症例や、群発(1日に何回も発作がおこること)の既往がある患者が多いという研究結果が報告されています。

しかし熱性けいれん遷延群を経過観察しても、MTLEの発症が有意に多いという結果が得られていません。
他方、熱性けいれんやMTLEが遺伝子的背景や周生期の微細な脳損傷の結果として、これら疾患の好発期に出現するという見解もあり、現在のところ結論は出ていません。

多数症例の詳細な前向き調査が必要です。約半数に画像や病理学的には海馬硬化という所見が指摘されています。
当該部位の腫瘍や外傷、高齢者では脳血管障害などが原因となることもあります。

側頭葉てんかんの予防・治療方法・治療期間

当初は抗てんかん薬で治療します。
発作が難治の場合は外科的治療を選択します。
前述したように難治で外科的治療が必要な症例は2-3割です。
てんかん外科で最も症例の多いのもTLEです。

発作が消失しても、長期にわたる抗てんかん薬の服用が必要です。
発作が消失していても脳波異常があれば服薬は継続する必要があります。
まれに発作消失、脳波異常消失後に減量・中止できる症例も報告されています。
個人的には、発作が消失し、かつ脳波正常化後3年間は脳波検査(覚醒・睡眠)を数回以上施行し、すべてが正常と判断される場合に限っています。

側頭葉てんかんの治療経過(合併症・後遺症)

発作を繰り返すと認知機能に影響することがあります。
発作抑制のため抗てんかん薬治療が必要です。
また、自動車運転などにも制約が生じます。
意識障害のある発作が現認されれば、原則2年間は発作消失期間がないと自動車を運転してはいけません。

側頭葉てんかんになりやすい年齢や性別

小学校高学年から思春期に発症することが比較的多くみられます。
しかし、幼小児期や20代以降の発症例もあり、最近は老年期発症のTLEも従来考えられている以上に多いことが知られるようになりました。
てんかん有病率は男性に多い傾向があるので、TLEに関してもやや男性に多い可能性はありますが、この点に関する報告は調査した限り見当たりませんでした。

参考文献

臨床てんかん学(医学書院、2015年)大塚頌子:てんかんの疫学 井内盛遠、松本理器:側頭葉てんかん

Epilepsy; A comprehensive textbook (2nd edition)(Lippincott Williams & Wilkins, 2008)
Banerjee PN and Hauser WA: Incidence and Prevalence Williamson PD and Engel J Jr: Anatomic classification of focal epilepsies Engel J Jr et al: Mesial temporal lobe epilepsy with hippocampal sclerosis

てんかん専門医ガイドブック(日本てんかん学会編集)(診断と治療社、2014)概念・定義・有病率・発病率 側頭葉てんかん

てんかん研究(第31巻, 2013)木下真幸子ら:成人てんかんの実態-成人期発症のてんかんの実態と問題点

脳と発達(第34巻、2002年):岡山県における小児てんかんの実態-神経疫学的研究

小児神経学(診断と治療社、2008)中川栄二:てんかん症候群の分類

Epileptic syndromes in infancy, childhood and adolescence (5th edition) (John Libbey Eurotext, 2012)Cendes F et al: The mesio-temporal lobe epilepsy syndrome

World Neurosurgery(vol 99, 2017) Asadi-Pooya AA et al.: Prevalence and incidence of drug-resistant mesial temporal lobe epilepsy in the United States.

執筆・監修ドクター

大谷 和正
大谷 和正 医師 おおたにクリニック 院長 担当科目 内科/心療内科/脳神経内科/小児科/リハビリテーション科

経歴1977(昭和52)年大阪大学医学部卒業。
同大附属病院
小児科関連病院 第2薬理学
大阪府衛生部
国立療養所静岡東病院(現 国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター)小児科
府立母子保健総合医療センター(現 府立病院機構大阪母子医療センター)小児神経科を経て、1996年おおたにクリニック開設、現在に至る。

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