だいちょうぽりーぷ大腸ポリープ
大腸ポリープとは?
大腸(だいちょう)ポリープとは、大腸の内側粘膜に隆起してできる突起物のことを意味します。腸壁から発生して管腔内に突出する組織の総称です。腫瘍性の腺腫、非腫瘍性の過形成ポリープや炎症性ポリープなどに分類されます。
腫瘍性の中でも悪性のものが大腸がんです。これは進行すると突起物状ではなくなるためポリープとはよばれなくなります。そのため単に腫瘍性で良性のものを大腸ポリープとよぶ場合もあります。
また潰瘍など炎症性の病気からポリープができることもあります。ポリープがどういったタイプのものなのか、外見から判断するのは難しいため、切除して組織を確認することも重要です。
大腸ポリープの症状
基本的に無症状です。多くは便潜血検査の異常や大腸内視鏡検査時に偶然発見されます。
非常に大きなポリープができると腹痛や便通異常を感じます。また肛門に近い場所にできたポリープは血便を自覚することもあります。
大腸にできるポリープは腺腫、非腫瘍性の過形成ポリープや炎症性ポリープなどに分類されます。
腺腫は、通常の限度を超えて増殖する良性腫瘍です。「限度を超えて増殖する」といっても、無制限に増殖するわけではありません。
ある程度、大きくなった時点で「血管から供給される栄養が不足する」などの理由から増殖が止まります。つまり最初に発生したところで「できもの」になるだけです。周囲の組織に広がる「浸潤(しんじゅん)」、離れた場所に飛び火する「転移」はおこしません。しかし、腺腫は悪性化しがんになるリスクがあります。
過形成ポリープは、細胞数の増加による組織増大です。大腸に発生する過形成ポリープの場合、ほとんどが数ミリほどの平べったい見た目の隆起形をしています。
炎症性ポリープは、炎症性腸疾患に伴うポリープです。
大腸ポリープの診療科目・検査方法
治療方針については内視鏡専門医の判断を仰ぐ必要があります。消化器内科を受診してください。
大腸ポリープを見つけるためのスクリーニング検査としては、便に血液がまじっているかを確認する便潜血検査が一般的です。
陽性と判定されれば大腸内視鏡による精密検査をおこないます。そのほかにバリウム注腸検査や、近年ではCTを用いた大腸検診もおこなわれています。
大腸ポリープの原因
特別な遺伝による病気以外の場合は原因不明です。
腺腫に関しては年齢や大腸がんの家族歴のほかに、アルコール、喫煙、生活習慣病、また赤身肉や加工肉の摂取過多も因果関係があると考えられています。食物繊維の摂取や適度な運動に予防効果があるという報告があります。
腺腫や悪性腫瘍が発生するのは、遺伝子の変異が要因です。まず、増殖を抑えるAPC遺伝子が変異をおこすと、細胞は常時、増殖する状態になります。この時点で、腺腫となります。さらに「K-ras遺伝子」「P53遺伝子」が変異した場合、悪性化すると考えられています。
本来、細胞が増殖するのは成長ホルモンであるEGFからの信号を受けたときです。しかし、K-ras遺伝子が変異すると、EGFからの信号を受けなくても、無制限に増殖を繰り返すようになります。P53遺伝子はがんを抑える遺伝子です。細胞が悪性化に向かったとき、細胞自然死(アポトーシス)へと導きます。P53遺伝子が変異すると、がん化を防ぐ機能が損なわれます。つまり腺腫には「大腸がんの前段階」という側面があります。
炎症性の腸の病気のあと、傷跡のように発生するのが炎症性ポリープです。原因になる病気としては「潰瘍性大腸炎」「クローン病」が知られています。
潰瘍性大腸炎は「粘液便・血便などを伴う原因不明の大腸炎」、クローン病は「小腸・大腸を中心に、消化管全体が炎症をおこし得る病気」です。クローン病には免疫システムが自分の消化管を攻撃すると考えられていますが、詳しい原因は未解明です。
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大腸ポリープの予防・治療方法・治療期間
腫瘍性ポリープである腺腫は内視鏡をつかって切除する対象になります。非腫瘍性ポリープに関しても内視鏡による切除で完治可能です。経過観察となる例も多くあります。
2cm程度までの大きさのポリープであれば多くの場合、内視鏡による切除が可能です。
1~2日の短期入院や日帰りでの切除がおこなわれることもあります。状況により切除後1~2週間の生活上の制限がある場合もあります。
大腸ポリープの治療経過(合併症・後遺症)
内視鏡での検査や病理診断でポリープが良性のものであると確認されれば内視鏡で切除することで完治します。
悪性病変も条件によってじゃ内視鏡で切除することで根治することが可能です。
大腸ポリープになりやすい年齢や性別
大腸ポリープのうち、大腸がんとの関連の深い腺腫に関しては、大腸内視鏡検査を受けた人の1~2割に発見されます。
一般的な腺腫性ポリープは成人で発症し年齢とともに増加傾向にあります。
男性が女性に比べて2倍ほど多いといわれています。男性では30代の1割、60代~70代の2割弱ほどとされています。
執筆・監修ドクター
経歴東北大学医学部 卒業
東京大学大学院 博士課程終了
国際医療福祉大学 元准教授
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