しょくどうあからしあ食道アカラシア
食道アカラシアとは?
食道アカラシアは、食道無弛緩症(しょくどうむしかんしょう)ともよばれる、原因不明の疾患で、食道の蠕動運動(ぜんどううんどう:食べ物の消化を促す動き)に異常が生じる病気です。
下部食道括約筋という胃に近い食道部分の筋肉が弛緩不全を起こして食べ物が通過しづらくなったり、広がってしまったりすることがあります。
その結果、食べ物や胃液が逆流して胸焼けしたような状態になることや、気道へ食べ物が侵入し誤嚥性肺炎の原因になることもあります。
まれに食道がんを併発することもあるため、症状が疑われる場合は消化器内科や消化器外科にて診断を受け、内視鏡治療や外科治療を必要とすることがあります。
食道アカラシアの症状
下部食道括約部(食道の出口部分)の弛緩不全(しまりが強い)と、口に近い部分の食道が異常拡張をきたした食道運動障害です。
固形物、流動物の詰まり(食道通過障害)のために胸が詰まったような感覚に陥ります。食物の逆流(特に就寝後の嘔吐)とそれに伴った胸痛、胸やけ、ときに誤嚥性肺炎を起こします。
慢性期には体重減少が認められます。
食道アカラシアの診療科目・検査方法
食道アカラシアの原因
現時点ではなぜこのような食道括約部の弛緩不全がおこるのかはわかっていません。
食道アカラシアの予防・治療方法・治療期間
食道の出口の筋肉の収縮を緩和する薬物療法があるが効果は強くはありません。
症状の強い方は、重症度に応じて内視鏡治療と外科治療(腹腔鏡下)を実施します。内視鏡治療ではバルーン拡張、内視鏡的食道筋層切開術(POEM)などを行います。穿孔、出血などの偶発症のリスクもあるため、治療可能な施設も限定されます。
多くは治療に緊急性はなく、基本的には良性疾患です。主治医とよく相談して治療にあたることが大切です。
内視鏡治療では1週間程度の入院が必要です。
食道アカラシアの治療経過(合併症・後遺症)
手術後の経過は良好です。
まれに食道がんを合併することがあります。
食道アカラシアになりやすい年齢や性別
1980年代にまとめられた文献では年間発症頻度は人口10万人あたり0.4~0.6例程度とまれな疾患です。
小児から高齢者まで幅広い年齢層で発症しうるが、20-40歳代に比較的多くみられます。
男女差はないとされています。
参考・出典サイト
執筆・監修ドクター
経歴1993年 札幌医科大学卒業
横浜市大医学部第二内科入局後、横浜市立港湾病院(現みなと赤十字病院)、横浜南共済病院、京都第二赤十字病院に勤務。
2003年 横浜市大病院助手
2006年 東海大学消化器内科講師
2010年 同准教授
2017年7月 かわぐち消化器内科開院。
東海大学医学部客員教授。横浜市大医学部臨床教授。
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