おりものの臭いが気になる!原因は?病気のセルフチェックや対処法
「おりものの臭いが気になる…」そう思っても、なかなか人に相談しづらいですよね。
『おりもの』は、女性の身体にとって大切なものです。また、ホルモンバランスが整っているかどうかのわかる、バロメーターでもあります。
おりものが分泌されるのはごく自然なことですが、時として、おりものの臭いや量に違和感を覚えることがあります。こちらの記事では、人に相談しづらい、おりものの臭いの原因や対処法について解説しています。
おりものとは
1.膣のうるおいを保ち、細菌の侵入を防ぐ役割
おりものは、子宮頸管(けいかん)や膣、皮脂腺、汗腺などから出た分泌物がまざり合ったものです。
膣の中のうるおいを保ち、細菌の侵入を防ぐはたらきがあります。受精のために精子をスムーズに移動させる大切な役割も果たしています。
2.月経周期に合わせて量が変化する
通常は、月経周期に合わせて、量が増えたり減ったりします。排卵日に向かって分泌量が徐々に増え、排卵期ごろにピークになります。排卵後は粘性が増加し、やや色が濃くなって、分泌量が減っていきます。おりものの量や様子によって、ある程度月経周期を知ることもできます。
3.ふつうは、無臭か、少しすっぱい臭いがする
臭いは『無臭』か、もしくは『少しすっぱいような臭い』がすることもあります。これは、妊娠適齢期の女性の膣の分泌物が酸性であるためです。
なぜ?おりものが臭う原因について
1.月経前はおりものが臭いやすい
特に『月経前』は、おりものが臭いやすくなります。
神経が過敏になり、たんぱく質が酸化して臭う
月経前は、神経が過敏になって、臭いに敏感になります。それとともに、皮脂分泌が高まり、皮脂や分泌物に含まれるたんぱく質が酸化することで、臭いやすくもなります。
ホルモンに影響する汗腺の影響
また、ホルモンに影響する汗腺のひとつ『アポクリン汗腺』が陰部には多く、そこから分泌されるアンモニアや脂肪をエサとして、雑菌が繁殖しやすいことも、おりものの臭いに影響しています。ほとんどの場合問題はありません。しかし菌が過剰に繁殖すると臭いもきつくなり、炎症を起こすこともあります。臭いが気になるようであれば念のため、産婦人科の受診をおすすめします。
2.月経が近くないのに臭いが気になる!
雑菌が過剰に繁殖している
月経の前後でないのに「臭いが気になる」「臭いが強くなっている」という場合は、何かしらの原因で『雑菌が過剰に繁殖している』可能性があります。
疲労やストレス、睡眠不足、風邪、体調不良などが原因で、抵抗力や、膣が自らきれいな状態を保つ『自浄作用』が低下していると、菌が繁殖しやすくなります。
抗生物質の服用
また、病気の治療のために服用する『抗生物質』が、おりものの臭いの原因になることもあります。抗生物質には、菌の繁殖を抑える作用があり、膣内の環境を保ち、悪玉菌を抑える『常在菌』のはたらきまでも抑えることがあります。そうすると、膣内の衛生環境が乱れ、臭いがきつくなってしまいます。
性病にかかっている
さらに、性病にかかっている場合も、膣内の環境が乱れて悪玉菌が増殖し、おりものの臭いがきつくなることがあります。
3.妊娠するとすっぱい臭いは抑えられる
妊娠すると、個人差はあるものの、おりものの酸性度が低くなりすっぱい臭いが抑えられます。ただ、妊娠時は臭いに敏感になっているため、変化がなくとも臭いをきつく感じることもあります。
また、妊娠中はおりものの量が増えます。これは胎児を守るために防御機能が強化され、子宮内への雑菌の侵入を防ぐために起こります。
おりものの臭いから考えられる病気!セルフチェック
おりものの臭いから考えられる病気には、さまざまなものがあります。病気によって、おりものの色や量、臭いの特徴、デリケートゾーンのかゆみや痛みなど、その他の症状も変わってきます。
「おりものの臭いが気になる…」と思っている人は、一度表と症状を照らし合わせてみてください。
おりものの状態 | おりものの量 | 可能性のある病気 | その他の症状 | 放置したときのリスク |
カッテージチーズのように、ポロポロして、白濁している | 多い | 膣カンジタ症 | 強い外陰部・膣内の痛み | 皮膚炎 |
黄色、もしくは黄緑色
泡がまじり、悪臭を放つ |
一気に多くなる | 膣トリコモナス症 | 強い外陰部のかゆみ、ただれ、腹部痛、排尿痛 | 不妊症や早産、
流産、早期破水をまねく |
黄やグレーがかっている
粘着質でべとつく |
多い | 細菌性膣症 | 外陰部のかゆみ | 骨盤内炎症性疾患を起こしたり、妊婦では早産や分娩後の子宮感染症などのリスクがある(症状がない場合は、必ずしも治療が必要というわけではありません。) |
出血をともなう
黄みがかっている |
少ない | 萎縮性膣炎 | 外陰部の乾燥、かゆみ | |
茶褐色や赤、赤褐色
悪臭がある |
多い | 子宮頸がん | 不正出血、性交痛、下腹部痛、腰痛、血尿 | がんの進行 |
赤褐色や茶褐色
生魚のような悪臭 |
多い | 子宮体がん | 不正出血、下腹部痛 | がんの進行 |
おりものの臭いが気になるときの対処法
1.異常を感じたら、早めに産婦人科へ!
「なかなか病院へは行きづらい」と感じるかもしれません。しかし、おりものの臭いについては、自己判断が難しいからこそ、異常を感じたら早めに産婦人科を受診しましょう。
すみやかに対処することが、大きな病気を未然に防ぐことにつながります。
2.病院でおこなう検査
病院では、主に『おりもの培養検査』をおこないます。
おりもの培養検査は、膣内のおりものを綿棒で採取して培養し、顕微鏡で菌の有無を確認する検査です。比較的短時間でおわります。
3.治療法
雑菌が繁殖している場合は、それぞれの菌に効果のある抗生物質を、内服や膣内に直接挿入することで投与します。
抗生物質は、決められた日数通りに使わないと効果が得られません。また、自己判断で使用を止めてしまうと、感染症が悪化する可能性もあります。医師の指示にきちんとしたがいましょう。
おわりに
膣内の洗いすぎに注意!
膣内を衛生的に保つことは大切です。一方で、過剰に洗いすぎると、膣の常在菌も洗い流してしまうおそれがあります。膣を洗うときは、専用の石けんを使ったり、ビデを使ったりするのもおすすめです。
執筆・監修ドクター
経歴1999年 日本医科大学産婦人科教室入局 日本医科大学付属病院 産婦人科研修医
2001年 国立横須賀病院(現 横須賀市立うわまち病院) 産婦人科
2002年 東京都保健医療公社 東部地域病院 婦人科
2003年 日本医科大学付属病院 女性診療科・産科 助手代理
2004年 日本医科大学付属第二病院 女性診療科・産科 助手
現在 石野医院の副院長
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