生理じゃないのに…不正出血の原因とは?病気やストレス、冷えなども
生理でもないのに出血があると、何かの病気ではないかと心配になってしまうことはありませんか?
不正出血は、女性の約6割が経験するといわれる症状です。
一方で、不正出血の原因は一つではなく、何らかの病気が潜んでいる可能性もあります。
そのため、出血量が少ないから大丈夫だと自己判断をするのは危険です。
この記事では、不正出血についてご紹介します。
不正出血とは?
不正出血とは、生理ではないのに、子宮や膣、外陰部などから出血が見られることです。大量に鮮血が出たり、おりものに少量の血液が混ざっていたりと、人によって症状は異なります。
不正出血は、大きく分けると機能性出血と器質性出血の二つに分類できます。
ホルモンの分泌が原因の不正出血について
脳下垂体や卵巣など、ホルモンの分泌に関係している器官の機能低下が関係する不正出血を、「機能性出血」といいます。
ホルモンバランスが不安定な思春期や更年期に多くみられます。
1.無排卵月経
だらだらと出血が続きます。脳下垂体や卵巣など、ホルモンの分泌に関与する器官の機能が低下している、または未発達であるために発症します。
2黄体機能不全
生理前に少量の出血が続きます。無排卵月経と同じく、ホルモンの分泌に関与する器官の機能の低下が原因といわれています。
3.中間期出血
生理と生理の間に出る出血です。排卵期に、卵胞ホルモンの分泌が一時的に減少するためにおこる出血の一つです。生理現象であり病気ではありません。
4.妊娠
妊娠初期(着床の時期)に少量の出血がおこることがあります。
5.冷え
冷えによりホルモンバランスが崩れ、子宮や卵子の機能も低下し、不正出血がおこりやすくなります。
体が冷えると、心臓などの生命を維持する臓器に優先的に栄養を送るように指示が出るため、生殖器官への栄養補給は後回しになるからです。
6.ストレスや疲れ
ストレスや疲れによっても、不正出血がおこることがあります。日々強いストレスを受けていると、自律神経の機能が抑制されます。自律神経はホルモンのバランスを調節する機能があるため、その機能が抑制されると、ホルモンのバランスも崩れます。
7.睡眠不足
睡眠不足が続くと、子宮や卵子の機能が低下し、ダメージを受けやすくなることで、不正出血を招いてしまいます。
8.更年期
更年期になると、女性ホルモンの一つであるエストロゲンが急激に減ることで子宮内膜が剥がれ、排卵機能も低下するため、不正出血がおこりやすくなります。更年期が原因による不正出血は、過剰な心配は必要ありません。
病気が原因の不正出血について
病気が原因の出血を、「器質性出血」といいます。
子宮筋腫、子宮内膜症、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、膣炎などの子宮や膣、卵巣の病気が原因となりおこります。
1.がん
子宮頸がん
子宮の入り口から、頸管あたりに発生するガンです。
子宮体がん
子宮体部の子宮内膜から発生するガンです。
卵巣がん
卵巣にできる腫瘍の総称です。卵巣に腫瘍ができる明確な原因は解明されていません。
膣がん
膣壁に発生するガンです。
2.ポリープまたは筋腫
子宮内膜ポリープ
子宮の奥にできるポリープです。子宮の内膜が増殖することで起こります。ほとんどが良性の腫瘍ですが、子宮体ガンがポリープ状になることもあるので、悪性かどうかを確認する検査を行う必要があります。
ポリープが悪性である可能性は年代によって変わり、高齢になればなるほど悪性である可能性も高くなります。
手術で除去する方法と、ピルなどを用いる対症療法があります。
手術の適応
- 長径が1.0cm 以上の1つ、あるいは,子宮内膜 ポリープの長径が0.5cm 以上でなおかつ 2 つ以上のポリープであること
- 過多月経,不正子宮出血がある
- 妊娠歴は問わない
- 不妊期間が1 年以上
- 悪性所見がない
ピルには子宮内膜症の治療と予防の効果があり、急ぎでない場合や、症状が比較的軽度の場合はピルを用いることがあります。
頸管ポリープ
子宮頸管の粘膜が増殖してできる良性の腫瘍です。膣内に突出することもあり、少しの刺激でも出血します。
粘膜下子宮筋腫
子宮の筋層(筋肉でできた外側の層)にある筋腫が内腔(子宮の内側の空洞)に向かって突出します。柔らかいこぶのようなものです。
月経時の出血量が増え、不正出血もよくおこるようになります。子宮内膜に栄養血管のある筋腫が露出していることが原因です。
ピルで出血量を調節する、手術で筋腫を除去するなどの治療が行われます。
3.炎症がおこる病気
膣部びらん
子宮頸管が赤くただれた状態です。病気ではありませんが、感染をおこしやすくなり、炎症が生じることもあります。
子宮内膜炎症
子宮内膜に細菌が侵入することによりおこる炎症です。
不正出血の検査や治療
1.病院を受診する必要性
不正出血の原因はさまざまです。すべてが病気に起因するものではありません。
しかし、本来出血するはずがないのに出血するのは何らかの異変がおきているサインと捉え、心配な症状がある場合は、医療機関で相談しましょう。
2.病院を受診するさいに事前に用意しておくもの
病院を受診するときは、基礎体温表を持参するのがおすすめです。
特に月経不順で、月経なのか不正出血なのか判断しづらい人は、普段から基礎体温を測っておくと、一目瞭然で身体の状態を把握することができます。
ホルモンバランスの乱れや、排卵障害の有無も確認することができ、医師の診断もスムーズになります。
3.不正出血で病院を受診した場合の検査や治療
問診
- 不正出血に気が付いた時期や経緯
- 出血量
- 痛みの有無や程度
- 今までの病歴
- 現在服用している薬の有無
診察
問診後、通常の診察の後、腹部の触診や、内診を行います。内診では、医師が膣内に指を挿入し、子宮や卵巣の状態を確認したり、圧痛や疼痛の有無などを確認したりした上で、必要な検査を行います。
子宮がん検査
子宮頸がんや子宮体がんの検査を行います。医療用綿棒などで頸部体部の細胞を採取し、がん細胞などの異常細胞がないか調べます。
超音波検査
子宮や卵巣に出血の原因となるような腫瘍がないかどうかを確認します。経腹もしくはプローブ(探蝕子)を用いて検査を行います。
超音波の探蝕子を、腹部の上からあてる、あるいは膣内に挿入して子宮や卵巣の状態を映像で確認します。これらの検査により、子宮筋腫やポリープの有無などの異常かどうかを判断することが可能です。
おりもの検査
細菌感染の有無などの検査を行います。子宮頸部の細胞を擦り取り、おりものを採取します。おりもので分かるのは、クラミジア、膣トリコモナス、カンジダ、トリコモナスです。
性感染症検査
性行為等で感染する特定の菌やウイルス感染の検査を行います
妊娠反応検査
性行為から2週間以上経つと尿による妊娠判定が可能です。
血液検査(女性ホルモン検査など)
エストロゲン、黄体化ホルモン、卵胞刺激ホルモンの分泌量の検査を行います。
まとめ
子宮や卵巣に発生する病気は、自分で確認することが難しく、自覚症状も現れにくいため、発見が遅れるケースも多いといいます。
病気を早い段階で認識し、すぐに治療を開始することができれば、治療期間も短くなり、早期回復が期待できます。さらに、心と体への負担も軽減されます。
妊娠の希望があるなしに関わらず、日ごろから基礎体温を計測する習慣をつけることで、自分の身体の状態をしっかり把握することができるので、ぜひ実践してみてください。
執筆・監修ドクター
経歴1996年 埼玉医科大学卒業
1997年 埼玉医科大学第一外科入(一般外科、呼吸器外科、心臓血管外科)終了
1999年 戸田中央総合病院心臓血管外科医として就職
2000年 埼玉医科大学心臓血管外科就職
2006年-2012年3月 公立昭和病院心臓血管外科就職
2012年4月 岡村医院、医師として勤務
2012年7月 岡村クリニック開院
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