卵管閉塞とは
卵管閉塞(らんかんへいそく)とは、子宮の左右にある卵管が、何らかの要因で閉塞し、詰まっている状態のことを卵管閉塞と言います。
卵管は精子と卵子の通り道であり、受精する場所です。また、受精卵を輸送する役割もあります。
左右の卵管の片方が詰まることを「片側卵管閉塞」と言い、両方が詰まることを「両側卵管閉塞」と言います。
卵管が詰まってしまうと、受精卵や精子が通過しにくくなります。そのため不妊の原因となります。
卵管閉塞の症状
卵管閉塞は、症状はほとんどありません。
細菌による原因ではクラミジア感染症が原因であることが多いとされています。その場合、卵管に炎症が広がり、慢性的な場合はおりものや腹痛、出血等の症状が出る場合があります。
症状がほとんどないため、不妊治療を受けるため、受診して初めて卵管閉塞ということを発見する場合が多いです。
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卵管閉塞の予防・治療方法・治療期間
卵管閉塞の治療方法として通水治療、卵管鏡下卵管形成術(FT)の2種類があります。
通水治療は、軽い詰まりを治療します。卵管鏡下卵管形成術では、細い管を卵管の詰まったところに通し、卵管の詰まりを通過させる方法です。
手術は30分ほどで、日帰りまたは2泊3日程度の入院が必要です。状態に応じて入院期間は変動します。
通水治療や卵管鏡下卵管形成術は術後、再度閉塞する可能性もあります。症状等に応じて治療方法が変わってくるため、主治医と相談をして、治療を行ってください。
卵管閉塞の治療経過(合併症・後遺症)
卵管閉塞の人が、妊娠を望む場合、治療や手術を行った後でも正常に妊娠できる可能性は低いです。
卵管鏡下卵管形成術後の卵管が開通する確率は約80%です。妊娠までの経過時間は平均3~4か月で、妊娠率は両側閉塞の場合に、20%前後、片側閉塞で約35%です。
6か月経過しても妊娠しない場合には、体外受精を行うか検討します。また、閉塞が再発する可能性もあります。
手術前後ともに異所性妊娠の可能性が高いです。そのため、体外受精を検討する必要があります。体外受精の場合は、卵管閉塞に対する治療の必要はありません。
卵管閉塞になりやすい年齢や性別
不妊症の原因として、日本受精着床学会が行った不妊治療患者によるアンケート調査では卵管因子(卵管閉塞)は20%であり、男性因子33%、卵巣因子21%についで3番目に多い結果でした。
不妊の割合として、女性の加齢と不妊は密接に関係しています。そのため、不妊率の割合は年齢が上がるにつれて高くなります。
40歳以降では約46%が自然妊娠を望めなくなると推定されています。
執筆・監修ドクター
経歴1999年 日本医科大学産婦人科教室入局 日本医科大学付属病院 産婦人科研修医
2001年 国立横須賀病院(現 横須賀市立うわまち病院) 産婦人科
2002年 東京都保健医療公社 東部地域病院 婦人科
2003年 日本医科大学付属病院 女性診療科・産科 助手代理
2004年 日本医科大学付属第二病院 女性診療科・産科 助手
現在 石野医院の副院長
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