うつ病の平均的な治療期間を解説!1年以内に寛解へ向かう割合は?

うつ病はだれもが発症する可能性のある病気です。
過度なストレスが原因とされていますが、結婚や昇進など一般的には喜ばしいことで発症する場合もあり、何がきっかけになるかはわかりません。
しかし、医師の指示のもとで治療をおこなえば早めの社会復帰ものぞめる病気です。
この記事では「うつ病の治療期間」と「3つの治療段階」について解説します。
うつ病の治療期間

1.一般的な治療期間(平均的なもの)
治療期間は人それぞれ。まずは「寛解」をめざします
うつ病は症状に個人差があるように、完治までの治療期間にも個人差があります。
うつ病などの精神疾患の場合、ほぼよくなっているように見えても再発する可能性があります。
そのため、あるレベルまで回復することを治癒ではなく『寛解』とよびます。
完治までには1年ほどを目安に
うつ病は完全に治るまでには時間がかかる病気です。
仕事を続けながら治療をおこなう人もいれば1~3か月ほど休養して仕事に復帰する人もいます。
うつ病と診断されてから1~3か月は薬物治療をおこないます。
症状がよくなってからも、半年~1年ほどは薬の投与を継続します。
薬が不要だと感じても、医師からOKが出るまでは服用を

なかには治療の途中で、薬が必要ではなくなるように見えるケースも多くあります。
しかし、そう見えていても実際はいつ再発するかわからない状態です。
少量でも「抗うつ剤」を服用し続けるように指導される間は、油断せず治療にとり組みましょう。
2.本当に治る…?回復する割合は?
約7割が1年以内に回復(寛解)

うつ病は個人差が大きい病気ですが、診断を受けてから1年以内に回復(寛解)する患者さんの割合は約7割だといわれています。
残りの3割の患者さんは、数年かけてゆっくりと回復をめざします。
残りの3割の傾向は?
この場合は、なんらかの症状が残る『部分寛解』の傾向が見られます。
完治ではなく一部の症状は良くなっているものの、いくつかの症状を持ち続けている状態を指します。
その症状は「気持ちが落ち込む」「外に出たくない」「だるい」といったものですが人によってさまざまです。
よくなってからが完治の分かれ目です
治療にとり組めば時間はかかっても回復に向かっていくため、社会復帰ができる病気です。
しかし、よくなったと感じてからの再発率が高い病気です。
一度症状が落ち着いても、完全に治るまでにはかなりの時間を要すると考えてください。
うつ病治療には3つの段階がある!

1.急性期
精神状態や症状は?
初期症状としては、「疲れやすい」や「だるい」「食欲低下」「頭痛」などの身体的な不調から始まります。
そのため、身体の異常だと感じることもあるでしょう。
精神状態では「物事に対しての意欲や集中力が湧かない」「落ち込みやすい」「朝起き上がることがつらい」などの症状が見られます。
そうして「興味や喜びを感じない」など、社会生活に支障が出始めます。
人とのコミュニケーションがむずかしくなることも多く、周囲もふつうの状態ではないと気がつき始めます。
この段階で病院を受診するケースが多いのですが、起き上がることがつらい状態だと病院へ行きづらい場合もあります。
そのため、家族や近しい人の援助が必要です。

治療期間は?
治療期間は、一般的に6週間〜12週間だといわれています。
薬の服用とともに、ストレスの少ない環境で休養することで徐々に回復をめざします。
治療方法は?
この期間は医師の診断を受けたのち抗うつ剤を徐々に増やす治療をおこないます。
薬を増量されると不安を感じるかもしれません。
しかし抗うつ剤の効果がなかったとうったえる患者さんの多くが、薬の量が足りなかったためだということが研究でわかってきました。
そのため、この期間はが決められた量の薬をきちんと服用すること大切です。
2.『回復期』

精神状態や症状は?
徐々に薬を減らしても大丈夫だと思いがちですが、そこが回復の分かれ目です。
まだ調子のよい日と悪い日があり、時間帯によっても症状に波が出てくる時期です。
一度調子がよくなったからといって薬の服用をやめてしまうと、すぐに悪い状態に戻ってしまいます。
そのため、最も油断しやすく、自殺する患者さんが多いのがこの時期です。
必ず薬の量を維持して、徐々に日中の活動を増やしながら生活リズムを整えていきましょう。
睡眠のリズムを整えていくことも大切です。
一般的な期間は?
薬の量を維持しながら治療する期間で3カ月〜6カ月くらいといわれています。
一見順調に回復に向かっているように見えますが、まだ回復途中の段階です。
治療方法は?

基本的に急性期と同じくらいの薬の量を維持する時期です。
自己判断で薬をやめてしまうと、すぐに状態が悪化します。
そのため、医師の指示のもとで薬を調整していきます。
回復期は、完治したように感じてもぶり返す可能性が高い時期です。
症状が安定している状態は薬が効いている状態なので、服用をやめてしまうと症状を抑えられなくなってしまいます。
そのため、急性期と同じように継続的な治療が必要です。
この期間の過ごし方
「回復してきたからと言って無理をしない」「自分のペースで物事を行う」「あせらない」「無理のない予定を立てて日々を過ごす」ことを心がけましょう。
継続的に薬を服用することによる副作用
「抗うつ剤」は効果の高い薬であるため、ときに副作用もが出ることもあります。
具体的には「吐き気」「悪心」「下痢」「鎮静・眠気」「性機能不全」「月経不順」「体重増加」「賦活化症候群(衝動性が高まったり躁状態になる)」などの症状があります。
副作用のリスクに不安を感じて服用をやめてしまう人もいます。
しかし、きちんと医師に相談をして判断することが大切です。
3.維持期

精神状態は?
徐々に薬の量が減り、つねに薬を服用しなくても状態が安定してくる時期です。
しかし、うつ病はここで油断をすると再発率が一気に高まる病気です。
社会復帰できるような状態になっていても、医師の指示に従って定期的に通院して再発を防ぎましょう。
薬が必要なときは?
人それぞれですが、女性は生理前や生理期間の精神状態が不安定になりやすい時期や雨で気分が下がりやすい日など、なんとなく気分がいまいちだと感じたら薬を服用しておくことをおすすめします。
一般的な期間は?
診断を受け治療を始めてから1年〜2年が経過しています。
徐々に薬が減らされ、場合によっては薬を必要としなくなる時期です。
治療方法は?
薬は徐々に減っていきますが、再発防止のために定期的な通院は必要です。
自分の認知に働きかけて気持ちを楽にする『認知行動療法』などの精神療法を受けると、どのような状態でストレスを受けやすいのかがわかります。
それを知っておくことで物事の捉え方を変えることができ、それほど悩まなくていい状態にもっていくができます。
また、ストレスが原因で発症することも多いのでストレス耐性を強めることも再発防止につながります。
そのためには「どのような状態でストレスを受けやすいのか」ということを把握することが大切です。
まとめ

うつ病は、症状や治療期間など個人差が大きい病気です。
しかし医師の指示を受け、しっかりと休養をとって治療していくことで回復できます。
気分が悪い、やる気が起きない、マイナス思考など少しでも不調を感じたら早めに病院を受診することが早期回復につながります。
治療の途中で回復したようにみえても、再発率が非常に高いのがうつ病の特徴です。
油断せずに地道に治療を続けていきましょう。
執筆・監修ドクター
経歴1986年 浜松医科大学 ・同大学院修了 博士(医学)卒業
埼玉医科大学精神医学教室,
2003年 石心会狭山病院(現埼玉石心会病院)精神科部長,
2007年 医療法人弘心会 武蔵の森病院副院長
2011年 医療法人弘心会 武蔵の森病院 院長
2019年 日本医療科学大学兼任教授
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