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えんすいかくまく円錐角膜

けらとこーぬすケラトコーヌス
更新日:2022/08/09 公開日:2019/12/13 view数:4,104

円錐角膜(えんすいかくまく)とは、角膜が変形して、前方へ円錐状に突き出てくる病気です。

角膜は目の中でレンズの働きを担うものの一つです。レンズが歪むため、不整乱視という状態になり、視力が低下します。ちょうど思春期にあたる10代頃に発症することが多く、ゆっくりと進行し、30歳頃に止まることが多いといわれています。

症状が軽度であれば、眼鏡で矯正ができます。しかし、角膜が変形しやすくなっているため、レーシックのような角膜を削るタイプの手術をおこなうことはできません。眼鏡で矯正できないほどの歪みになった場合は、ハードコンタクトレンズにより矯正します。

進行していくと、突出による歪みが大きくなり、視力もそれに伴って低下していきます。また、突然、角膜の内側の層にあたる「デスメ膜」が破れ、角膜内に水が溜り、角膜が白濁して、視力が急激に低下する「急性水腫(きゅうせいすいしゅ)」をおこすことがあります。
さらに症状が進行し、ハードコンタクトレンズの装用でも十分な視力が出なくなった場合は、角膜の移植が必要になる場合もあります。

原因は不明です。アトピー性皮膚炎などと合併していることが多くあります。そのためなんらかの炎症性の疾患であるという説や、目をこするなどの外圧が影響しているとする説などがあります。

重度の場合は治療に対して補助を受けることが可能です。

目次
  1. 円錐角膜の症状
  2. 円錐角膜の診療科目・検査方法
  3. 円錐角膜の原因
  4. 円錐角膜の予防・治療方法・治療期間
  5. 円錐角膜の治療経過(合併症・後遺症)
  6. 円錐角膜になりやすい年齢や性別

円錐角膜の症状

初期は、角膜トポグラフィー(角膜形状解析装置)の検査をすると円錐角膜がおこっていることを確認することができますが、自覚的な症状はありません。裸眼での視力が悪い場合も眼鏡での矯正で十分な視力が出ます。

進行すると、眼鏡での矯正では十分な視力が得られなくなります。そのため、ハードコンタクトによる矯正がなければ十分な視力が得られない状態になります。
長期にわたるハードコンタクトレンズの装用を続けた結果、角膜の突出した部分とコンタクトレンズとの接触した部位が角膜混濁を生じます。これがまぶしさや痛みにつながります。

急性水腫というデスメ膜が部分的に破綻がおこることがあります。そうなると角膜内皮細胞が持っているポンプ機能が障害されます。その結果、角膜実質内に房水が排水できず、貯まるようになります。この状態になると肉眼でもわかるぐらい、角膜が部分的に白く濁る白濁が確認できます。また突出によって、著しく視力が低下します。

さらに進行すると、ハードコンタクトレンズでも十分な視力が得られなくなります。日本では、この状態になると一般的には角膜移植の必要な状態になります。

円錐角膜の診療科目・検査方法

初期に自覚症状はありません。初期の円錐角膜はほとんど偶然みつかります。
このような病気は眼科には少なからずあるので、一見関係ないことで受診しているにもかかわらず余計な検査をされたという印象を持たれることがあるかもしれません。しかし、視力や眼圧といった眼科の一般的な検査はスクリーニングを兼ねていると考えて、なるべく受けた方がいいと思います。

初期の円錐角膜は細隙灯顕微鏡での観察ではほぼ診断は不可能です。
一般的な検査では視力検査の時に使用するオートケラトメーターでの角膜形状に起因する乱視が強いなどの角膜曲率の異常値を確認すると円錐角膜を疑います。ここで円錐角膜の存在を疑ったら角膜トポグラフィー(角膜形状解析装置)をおこない、ただの強度の角膜乱視なのか、円錐角膜疑いなのか、円錐角膜かを判定します。

円錐角膜の疑いもしくは円錐角膜と診断された場合、進行の有無を見極めるのが重要です。頻繁な受診は必要ありませんが、ある程度定期的な受診が必要になります。

視力低下が自覚できるくらいになると細隙灯顕微鏡での観察で角膜の形状異常、ケラトコーヌスライン(keratoconus line)と呼ばれる角膜の裏側の縦に走る短いしわなどが観察可能になります。そのため、角膜トポグラフィーは使用しなくても円錐角膜の診断が可能になります。

角膜の厚みの変化はパキメーターという機械で測ることができます。

急性水腫後に角膜内皮細胞密度が低下することがあるので、スペキュラーマイクロスコープという機械で角膜内皮細胞密度を測定します。

円錐角膜の原因

原因は質的に角膜が変形しやすいことにあります。
眼球は常に中から外に向かって眼内圧という押す力が加わっています。通常、角膜はこの力に対する抵抗が十分にあるため変形はしません。しかし、人によっては角膜が質的に変形しやすい場合があります。その強度が限界に達すると、少しずつ突出するように変形し、それに伴って弱くなっていくと考えられます。

角膜の質が変形しやすくなる原因は不明です。遺伝的なことが関わっている可能性がありますが、どの遺伝子が原因になっているのかはわかっていません。いろいろな遺伝子が関係していると考えられますが、現時点では遺伝的なことが関わっている例は約6%に確認される程度です。

アトピー性皮膚炎やダウン症候群、エーラス・ダンロス症候群などの全身の病気との合併が多いことが報告されていて、発症の原因と関係がある可能性があります。
アトピー性皮膚炎があるとかゆみのために日常的に目をこすることが多くなります。あるいはコンタクトレンズの装用といった継続的で機械的な刺激が関係するという説もあります。しかし、こうしたことは発症の原因というよりは、進行を促進しうる要素と考える方が妥当かもしれません。

円錐角膜の予防・治療方法・治療期間

進行状況によって、治療法を選択する必要があります。

裸眼、もしくは、眼鏡矯正で十分な視力が得られる場合は、必要に応じて眼鏡矯正し、経過観察します。

円錐角膜が進行中であると診断した場合は、角膜クロスリンキングという治療法により進行を止める方法があります。角膜実質を質的に変形しにくくすることで、進行を抑えます。
これは進行して角膜が薄くなってしまった場合はおこなえないので、ある程度、早い段階で実施する必要がある治療法です。

また、角膜リングという半円弧状のリングを角膜に挿入する方法もあります。角膜強度が増加することで、進行を抑える効果が期待できます。この治療法もある程度の角膜の厚みが必要であるため、進行する前におこなう必要があります。両者を併用することも可能ですが、いずれも健康保険の適用外の治療です。

角膜の変形が進行し、眼鏡での矯正では視力を得ることが難しくなった場合、ハードコンタクトレンズの使用へと移行します。ハードコンタクトレンズの装用も、進行を抑制する効果があるといわれています。変形の程度に合わせて、球面レンズ、もしくは、非球面レンズを選択します。さらに進行している場合は、強膜レンズという、角膜に接触せずに装着できるレンズや多段階カーブを持つレンズを使用することもあります。

最終的に、ハードコンタクトレンズの使用でも適正な視力が得られなくなった場合は、角膜移植の適応となります。移植には角膜提供者(ドナー)が必要になります。角膜をすべて取り換える「全層角膜移植」と、角膜の一番内側にある角膜内膜を残して表層部分だけを取り換える「深層表層角膜移植」があります。
どちらの手術もメリット、デメリットがあり、状態によって選択します。手術後は経過観察を継続する必要があります。

円錐角膜の治療経過(合併症・後遺症)

そもそも生命に関わる病気ではありません。進行度に合わせて治療に選択肢もあります。

角膜移植まで進んだ場合も治療成績は悪くありません。
ただし、角膜移植後は全く正常な状態になるわけではなく、拒絶反応のリスクや角膜の脆弱性は永続します。

近年では、進行を抑える治療法も確立されつつあるため、早期に発見し、早期に進行を抑えることができれば、それが最も望ましいといえます。

円錐角膜になりやすい年齢や性別

日本における1980年代の患者さんの数は約1万人に1人と報告されています。欧米の調査では、10万人あたり50~230人という報告があります。

思春期に発症し始め、進行のピークは20歳頃です。多くは30歳頃には進行が止まりますが、30歳で発症し、50歳頃まで進行するケースもあります。

男女差は、およそ3:1と男性に多くおこります。

執筆・監修ドクター

寺井 和都
寺井 和都 医師 西早稲田眼科 院長 担当科目 眼科

経歴1996年 防衛医科大学校卒業
2002年 米国Johns Hopkins Wilmer Eye Institute, Research Fellow
2003年 米国University of Cincinnati, Research Assistant Professor
2006年 京都府立医大大学院卒業
2006年 明治鍼灸大学助教
2011年 明治国際医療大学講師
2011年 品川近視クリニック
2014年 ばん眼科
2018年 西早稲田眼科開院

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