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すいほうせいかくまくしょう水疱性角膜症

びーけーBK
更新日:2022/11/15 公開日:2019/12/27 view数:6,184
目次
  1. 水疱性角膜症とは
  2. 水疱性角膜症の症状
  3. 水疱性角膜症の診療科目・検査方法
  4. 水疱性角膜症の原因
  5. 水疱性角膜症の予防・治療方法・治療期間
  6. 水疱性角膜症の治療経過(合併症・後遺症)
  7. 水疱性角膜症になりやすい年齢や性別

水疱性角膜症とは

水疱性角膜症(すいほうせいかくまくしょう)は、角膜が水分を排出できなくなり、むくんで混濁している状態のことです。

角膜の一番内側にある層が角膜内皮(かくまくないひ)です。角膜内皮には、角膜内の水分量を調節し、角膜の透明性を維持する役割があります。

この角膜内皮細胞は加齢により減少します。また、何らかの原因によって大きく細胞数が減ることもあります。しかし再生はされません。

そのため内皮細胞が限度を超えて少なくなると角膜内皮機能に障害がおこり、水分の調節ができなくなりむくみます。
角膜はむくむと透明ではなくなり見えにくくなります。この角膜のむくみが続く状態が水疱性角膜症です。

細胞数が減る原因は眼の手術、ウイルス感染、コンタクトレンズの長時間装用、眼の外傷などさまざまです。

水疱性角膜症の症状

角膜内皮細胞が減少しても、角膜実質内の水分を排出する能力が保たれていれば症状はありません。
角膜内皮細胞がさらに減少し、水分排出能が限界を超えて低下すると、少しずつ角膜が厚くなってきます。
厚くなっても、角膜実質を構成するコラーゲン線維の配列に乱れが少なければ透明性が維持されます。
その場合も自覚症状はほとんどありません。

角膜内皮細胞がさらに減少し、コラーゲン線維の配列が乱れると、少しずつ角膜に濁りがあらわれて、まぶしさや見えにくさを自覚するようになります
さらに進行すると濁りが強くなり、見えにくさも増していきます。角膜の表面の層にあたる角膜上皮がはがれやすくなります。角膜上皮がはがれると激しい眼の痛みがおこります。

水疱性角膜症の診療科目・検査方法

眼科を受診します。本来は水疱性角膜症になる前の段階で受診することがのぞまれます。

しかし、角膜内皮細胞が減少しても角膜実質内の水分を排出する能力が保たれていれば症状はありません。

そのため初期の状態を自覚できることはほぼありません。初期の状態を細隙灯顕微鏡(さいげきとうけんびきょう)で観察してもほぼ異常は観察されません。

スペキュラーマイクロスコープ検査をすることで角膜内皮細胞密度の減少が確認できますが、この検査は「眼内手術、角膜手術における手術の適応の決定及び術後の経過観察若しくは円錐角膜又は水疱性角膜症の患者に対する角膜状態の評価の際」以外に保険適応がありません。

そのため症状のない初期の角膜内皮細胞減少は眼内手術(主に白内障手術)の術前の検査で見つかる以外ではなかなか見つけることは難しいといえます。

さらに角膜内皮細胞数が減少してまぶしさ、見えにくさを自覚できるようになれば細隙灯顕微鏡で角膜実質の濁り、角膜の厚みの増加が観察できます。
角膜の厚みはパキメーターで測定できます。さらに症状が進んで角膜の濁りが強くなるとスペキュラーマイクロスコープ検査はできなくなります。

水疱性角膜症の原因

角膜内皮細胞の減少が原因です。

角膜は外側から、角膜上皮、ボウマン膜、角膜実質、デスメ膜、角膜内皮の5層で構成されています。このうち、角膜実質は角膜の厚さの約90%を占め、主にコラーゲン線維で構成されています。

角膜実質が透明なのはこのコラーゲン線維が規則正しく配列していることによります。
角膜実質は吸水性があり、何もしないと過剰に水分を吸収してしまい、コラーゲン線維の配列が乱れて透明性を維持できなくなります。

角膜の一番内側にある角膜内皮層は、単層の角膜内皮細胞で形成される層です。
角膜内皮細胞は角膜実質の水分を角膜の外にかき出すポンプのような働きをしており、角膜実質内の水分を一定に保つことにより角膜実質の透明性を保っています。

この角膜内皮細胞は眼内では増殖せず、生涯を通してゆっくりと減少していきます。生まれてすぐの角膜内皮細胞密度は3500~4000/mm2で、何もなければその数を減少しますがポンプ機能は維持され、生涯を通して角膜の透明性は維持されます。

何らかの原因で内皮細胞数の減少が加速し、細胞密度が1000/mm2以下になるくらいで、ポンプ機能が角膜実質の給水能を下回り、角膜の厚みが少しずつ増加します。
さらに内皮細胞数の減少が進み、細胞密度が500/mm2以下になるくらいで角膜に濁りが生じてきます。

角膜内皮細胞数の減少を加速する原因にはさまざまなものがあります。
増えることはないので、基本的には何がおこっても減ると考えられます。

直接的な角膜内皮への機械的な刺激はもちろん角膜内皮細胞数を減らします。

かつて角膜内皮の機能が解明されていなかった時代には角膜内皮にかなりのダメージを与える手術があり、術後しばらく経過してから水疱性角膜症を発症するという事態がおこりました。

これは極端な例ですが、現在でも眼の中をあつかう手術では角膜内皮に何らかの影響をおよぼす可能性はあります。

これ以外にも眼内の炎症や急激な眼圧上昇、眼外からの強い衝撃なども角膜内皮細胞を減少させる原因になることがあります。

角膜内皮変性という病気、あるいはウイルス感染の関連でおこる角膜内皮炎なども角膜内皮細胞を減少させる原因になることがあります。

現在のコンタクトレンズは以前と比べて安全になりましたが、長期間のコンタクトレンズ装用もリスクと考えられます。

水疱性角膜症の予防・治療方法・治療期間

初期には眼の濁りを軽減させる目的で高張食塩眼軟膏、高張食塩水点眼を使用することがあります。

角膜上皮障害による痛みを軽減させるために治療用ソフトコンタクトレンズを装用していただくことがあります。これらはあくまでも症状を軽減させることを目的とした治療です。

角膜内皮細胞は眼内では再生されません。そのため現在の根本的な治療は角膜移植手術のみです。

角膜手術には全層角膜移植術と、角膜内皮移植術があります。
角膜内皮移植術は全層角膜移植術と比較して角膜強度を維持でき、光学的な特性の点でもメリットがありますが、水疱性角膜症の発症から長期間が経っていると角膜実質は傷跡が残った状態になり、ポンプ機能を回復させて実質内の水を抜いても実質の混濁が残ってしまいます。
そのような状態になった場合は全層角膜移植術が適応になります。手術後は長い期間にわたって定期検診を受ける必要があります。

理想的な治療を可能にするためには早期発見が不可欠ですが、残念ながら必ずしも現在の保険診療の範囲では初期の状態を発見するのに十分ではありません。

水疱性角膜症の治療経過(合併症・後遺症)

角膜移植の10~30%くらいの確率で移植に対する拒絶反応がおこります。

この拒絶反応や感染症を予防するため、手術後は長い期間にわたって定期検診を受ける必要があります。

拒絶反応がおこると角膜の透明性が低下し、それによって視力低下が生じる可能性があります。拒絶反応がおきた場合は早急に対応する必要があります。

近年、生体外で培養した角膜内皮細胞を細胞懸濁液(さいぼうけんだくえき)として移植する再生医療や点眼薬による保存的治療の開発がおこなわれ,その臨床応用が期待されています。

これらの治療法が実現したとしても、先に説明した角膜内皮移植術と同じように角膜実質が既に変性していた場合、角膜内皮機能が回復しても十分な視力回復は得られないと予想されますので、早期発見が非常に重要といえます。

水疱性角膜症になりやすい年齢や性別

発症の仕組みを見ても、加齢に伴い発症のリスクは増加すると考えられます。眼内手術としては症例数の多い白内障手術の後に発症が多いのは当然といえます。

執筆・監修ドクター

寺井 和都
寺井 和都 医師 西早稲田眼科 院長 担当科目 眼科

経歴1996年 防衛医科大学校卒業
2002年 米国Johns Hopkins Wilmer Eye Institute, Research Fellow
2003年 米国University of Cincinnati, Research Assistant Professor
2006年 京都府立医大大学院卒業
2006年 明治鍼灸大学助教
2011年 明治国際医療大学講師
2011年 品川近視クリニック
2014年 ばん眼科
2018年 西早稲田眼科開院

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