逆流性食道炎の3大症状は?セルフチェックで確認!胸やけ・喉のつかえに注意
近年、ストレスや生活習慣の変化によって、胃腸の病気が増えています。逆流性食道炎もそのうちのひとつで、胃酸が関係しています。
胸やけがつらい、食道あたりがつかえる、口の中が酸っぱく感じるなどの経験はありませんか?それらは逆流性食道炎の症状のひとつです。
この記事では、逆流性食道炎の原因や検査、治療についてお伝えするとともに、逆流性食道炎を簡単にチェックできる項目を掲載しています。
逆流性食道炎の症状チェック
まずは、逆流性食道炎の症状や、胃の内視鏡検査をうける目安について、解説します。
1.逆流性食道炎をチェック
自分の日常生活で起こる症状を振り返ってみましょう。次の4つの項目からあてはまるものにチェックを入れてください。
✔ | 項 目 |
月に1回以上、胸やけが起こる | |
ふとした拍子に酸っぱい胃液がこみあげてくる | |
ものを飲み込むとき、つかえ感がある | |
胸にしみるような胸痛がある |
これらの質問で1問でもチェックが入った方は、逆流性食道炎の疑いがあります。
2.胃の内視鏡検査をうける目安について
続いて、胃の内視鏡検査をうける目安について、チェックしてみましょう。
また、逆流性食道炎かも…との不安がある方は、次の9つの項目においてあてはまるものにチェックを入れてください。
✔ | 項 目 |
少し多く食べただけでも不快感が増す | |
脂肪分の多い食事を食べたときに不快感が増す | |
香辛料の効いた食事で不快感が増す | |
横になったり前かがみになったりすると、さらに悪くなる | |
物を持ち上げる力仕事をするとさらに悪くなる | |
60歳以上である | |
背中が曲がっている | |
胃の手術を受けたことがある | |
最近、ピロリ菌の除菌治療を受けた |
1の「逆流性食道炎のチェック」で項目に該当しなかった方も、これらの質問で1問でもチェックが入れば、念のために内視鏡検査を受けてみることをおすすめします。
1にも2にもチェックが入った場合は、すみやかに病院を受診し、検査を受けて下さい。
逆流性食道炎について
1.逆流性食道炎ってどんな病気?
逆流性食道炎は、胃や小腸などの消化液が食道に逆流して、それらの液が食道の粘膜に炎症を起こす病気です。
2.逆流性食道炎の3大症状は?
逆流性食道炎になると、おもに次の3つの症状があらわれます。
・胸やけ
・呑酸(どんさん)
何かの拍子に酸っぱい胃液が口やのどにまで逆流してくること
・のどのつかえ感
逆流性食道炎の原因
1.下部食道括約筋のゆるみ
逆流性食道炎の主な原因は、逆流防止機能の低下です。加齢による食道と胃の境目にある、下部食道括約筋のゆるみが原因でかかります。
一時的に、下部食道括約筋がゆるむことも
たくさん食べたあとや、炭酸飲料を飲んだあとにげっぷが出ることがありますが、一時的に下部食道括約筋が緩むことで起こります。これを「一過性下部食道括約筋」といいます。
胃に過剰に入ってしまった空気を口から出しているためで、問題はありません。
2.食道裂孔(しょくどうれっこう)ヘルニアがある
また食道裂孔ヘルニアが原因で、逆流性食道炎が起こることもあります。
横隔膜には、食道が通る穴(食道裂孔)があり、食道括約筋が収縮することで胃から食道へ逆流することを防いでいます。しかし、食道括約筋が収縮する場所と、横隔膜にあいた穴である食道裂孔の場所が何らかの理由でずれてしまうと、胃の上部が横隔膜の上に脱出した状態になります。
食道裂孔ヘルニアになると、収縮する場所が分散されるため、逆流を十分に防ぐことはできません。
高齢者に起こりやすい
食道裂孔ヘルニアは高齢者に起こりやすく、特に腰の曲がっている高齢の女性に多いといわれています。加齢によって横隔膜の穴が拡がりやすくなってしまうことが原因と言われています。
その他、食道裂孔ヘルニアのリスク
その他に、食道裂孔ヘルニアを引き起こすリスクとなるのは、次のような場合です。
- 胃の手術後
- 食道運動の低下
- 姿勢が悪くなることによる、腹圧(お腹にかかる力)の上昇
- 肥満
- 飲酒
- 喫煙
3.ストレス
ストレスがたまっていると、食道粘膜が胃酸に反応しやすくなります。そうなると、少しの胃液でも強い胸やけを起こすことがあります。
しっかりと睡眠をとる、ぬるめのお風呂にゆっくりつかる、ストレスを発散できる趣味をもつなど、ストレスと上手に付き合えるよう心がけましょう。
4.逆流性食道炎にかかりやすい人
次のような方は、逆流性食道炎にかかる可能性が高いといえます。
脂質の摂りすぎ
脂質を多く摂ることで、胃を刺激して胃酸の分泌量が増えてしまいます。そのため、食道に逆流しやすい環境を作ることにつながります。
高齢
高齢になると、食道の逆流防止機能が衰えます。
背中が曲がっている
背筋が曲がっていると、お腹にかかる力(腹圧)が大きくなります。そのため胃液が逆流しやすく、あおむけで寝た時に、胃の方が食道よりも高い位置になることから、逆流した胃酸は戻れず、食道に停滞してしまいます。
肥満
胃が脂肪に押され、胃酸の逆流が起こります。
胃の切除手術の後遺症
胃の切除後は、胃液や短銃などの消化液が食道に逆流しやすくなることがあります。
ピロリ菌の除菌治療を受けた人
ピロリ菌除菌後は、胃酸の分泌が活発になるため、逆流性食道炎にかかりやすくなります。
逆流性食道炎かも…と思ったときの対処法
1.何科を受診する?
消化器内科を受診し、必要に応じて内視鏡検査をうけましょう。
2.どんな検査?
問診
胸やけ、呑酸(酸っぱいものがこみあげてくる)といった逆流性食道炎の主な症状について詳しく質問します。
また、のどの違和感、胸のつかえ感、咳、声の症状、喘息の症状、胸痛、上腹部痛、胃の症状、鼻や耳の症状、虫歯などについても聞かれます。これらはすべて逆流性食道炎の症状です。
内視鏡やX線など、各種検査
診断の決め手となるのは内視鏡検査です。内視鏡検査とは、小型のビデオカメラがついた管を口から挿入し、食道粘膜の様子をモニターに映し出し、肉眼で観察する検査です。食道粘膜に炎症や傷があれば、確実に見つけることができるため、逆流性食道炎の診断を確定することができます。
その他に、以下の検査を行う場合もあります。
- 胸部や腹部のX線検査
- 心電図検査
- 血液検査
- 尿検査
3.胸やけを緩和する食事や生活習慣は?
避けた方がよい食品
- 酸味のあるもの(みかんなど柑橘系果物やお酢など)
- 刺激物(カレー、唐辛子など)
気をつけたい生活習慣
- 食べ過ぎ、飲みすぎ
- 前かがみの姿勢は避ける
- 食後は横にならない
- 眠る時は上体を高くして逆流を防ぐ
胸やけを感じたときの対処法
胸やけを感じたら、牛乳や水を飲んで、食道を洗い流しましょう。
また、唾液の分泌が活発になる「ガム」を噛むことで、逆流した胃酸を中和したり、食道を洗い流したりすることもできます。
まとめ
逆流性食道炎について、症状をチェックしてみていかがでしたか?高齢の女性はもちろん、最近では若者でも逆流性食道炎の方になる方が増えています。
これは、ストレスの増加や食の欧米化が背景にあると考えられています。
たかが胸やけで「内視鏡検査を受けるのは大げさなのでは?」と思われる方もいるかもしれませんが、逆流性食道炎は再発しやすいため、生活習慣の改善が不可欠です。
気になるようであれば一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
執筆・監修ドクター
経歴2006年 北里大学大学院卒、
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任。
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
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