こむら返りの原因は病気?運動や睡眠中にふくらはぎがつって痛むワケとは
【医師監修】
こむら返りは生活習慣からくるものと、病気が原因となっているものがあり、その原因によって対処法や治療法は異なります。
運動中や睡眠中、突然ふくらはぎに激痛が走ることはありませんか?これを『こむら返り』と言いますが、誰でも一度は経験があると思います。
この記事では、そんなこむら返りが起こる原因と予防法について説明します。
様子をみても良くならない場合は、早めに病院を受診することをおすすめします。
こむら返りとは?
こむら返りとはふくらはぎがつることを言いますが、その語源は『こむら(ふくらはぎの古い呼び名)』が裏返るような痛みを伴う状態を言い表したものとされています。
1.こむら返りの症状
こむら返りは、ふくらはぎの筋肉である『腓腹筋(ひふくきん)』が痙攣を起こしている状態で、筋肉が固まってしまうために激しい痛みを伴います。
足が思うように動かせなかったり、激痛により汗が止まらなくなったりめまいを起こしたりする人もいます。
痛みは数秒で治まることもあれば、数分続くこともあります。
運動中や睡眠中に起こることが多い
こむら返りは運動中や睡眠中に起こることが多く、また暖かい時期より寒い時期に起こりやすくなります。
睡眠中にこむら返りが起こると、痛みで目を覚ましてしまうことも珍しくありません。
こむら返りを起こしやすい人
立ち仕事をしている人や運動選手、高齢者、妊娠中(特に中期から後期) の方はこむら返りを起こしやすいと言えます。
高齢者は運動不足になる傾向があり、筋肉が衰えることが原因です。
妊婦の場合はお腹が大きくなることで下半身の血流が悪くなり、血液循環に不具合が起こります。これによって筋肉が収縮して、こむら返りを起こしやすくなります。
2.こむら返りが起こる仕組み
ふくらはぎの腓腹筋は、『腱紡錘(けんぼうすい)』と『筋紡錘(きんぼうすい)』という2種類のバネ状の物体でコントロールされています。
・腱紡錘:アキレス腱の中にあり、アキレス腱が伸びすぎないよう筋肉を伸ばす指令を出す
・筋紡錘:筋肉の中にあり、筋肉が伸びすぎるのを防ぐ働きをする
これら二つの働きがバランスを崩すことで、こむら返りが起こります。
こむら返りの原因
こむら返りを起こす原因は複数あります。生活習慣によるものと、病気によるものがあるのでそれぞれ説明していきます。
1.生活習慣
就寝
睡眠中は『腱紡錘』が動かなくなっているため、夢をみていたり寝返りをうったりすることでふくらはぎに力が入り、こむら返りを起こすことがあります。
体の冷え
体(特に足先)の冷えは筋肉の感度を鈍くし、こむら返りの原因となることがあります。冷え性の方は注意が必要です。
筋肉の疲労
立ち仕事や長時間の運動で筋肉が疲労すると、ふとした拍子に筋肉への指令を過剰に受けてしまい、こむら返りを起こすことがあります。
運動不足
普段運動をしない人が急激に体を動かすと、こむら返りを起こしやすくなります。
運動の習慣がない方は、徐々に取り入れていくと良いでしょう。
普段からストレッチを習慣にしたり運動前に入念な準備運動を行ったりすることで、こむら返りを予防できます。
ミネラル不足
ミネラルの摂取不足や、大量に汗をかいてミネラルが流れ出てしまうことでこむら返りを起こしやすくなります。
ミネラルの中でも特に、筋肉や神経の機能を調整するカルシウムとマグネシウムの摂取が重要です。
水分不足
水分が不足すると血液の粘度が高くなるため、血流が悪くなります。そうすると血液循環がうまくいかなくなり、筋肉が収縮して足がつりやすくなります。
汗を大量にかいた場合は、水分の補給を心がけましょう。
前述の通りミネラルには筋肉機能を正常に保つ働きがあるため、ミネラルウォーターがおすすめです。
2.病気
糖尿病
こむら返りを引き起こす病気として、真っ先に挙げられるのが糖尿病です。
糖尿病は血液中の糖分が過剰になる病気で、神経に障害が生じることがあり、これを『糖尿病性神経障害』と言います。
糖尿病性神経障害は、症状のひとつにこむら返りがあります。
あわせて読みたい
閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう)
動脈硬化によって太い血管が詰まると、血流が滞り筋肉にも酸素や栄養分が届かなくなり、こむら返りが起こることがあります。
動くと痛んで休むと治る場合は、この病気が原因かもしれません。
閉塞性動脈硬化症があるということは、脳や心臓の血管にも動脈硬化が起こっている可能性があるので速やかに受診しましょう。
変形性腰椎症(へんけいせいようついしょう)
加齢に伴い腰椎が変形する『変形性腰椎症』も、こむら返りを起こす病気のひとつです。
腰から下の筋肉が硬直したような状態となり、それが原因で足がつりやすくなります。
その他の病気
他にも甲状腺の病気や腎不全、肝臓に疾患がある場合もこむら返りを起こしやすくなります。
3.その他、妊娠や薬もこむら返りの原因に
薬の服用
薬の作用でこむら返りが起こることもあり、利尿剤や降圧剤、コレステロールを下げる薬などがあてはまります。
思い当たる節がある方は、医師や薬剤師に相談してみるのも良いでしょう。
妊娠
妊娠中、特に中期から後期にかけてこむら返りを起こしやすくなります。
お腹が大きくなると体重も増えるので、足にかかる負担が大きくなることが原因のひとつです。
また、赤ちゃんに栄養を送ることで母体の栄養が不足しやすくなるのも、こむら返りを起こす原因です。
こむら返りの予防法
こむら返りを予防するには、体を冷やさないことが大事です。脚が冷えると筋肉の感覚が鈍くなり、こむら返りを起こしやすくなります。
特に就寝前にはしっかり温めるようにしましょう。また、ストレッチで筋肉を伸ばすことも有効です。
食事からしっかりミネラルを摂ることも重要です。カルシウムやマグネシウムなどは、筋肉や神経の機能を正常に保つ働きがあります。
大豆製品や海藻類にはミネラルが多く含まれているので、意欲的に摂るようにしましょう。
まとめ
執筆・監修ドクター
経歴2006年 北里大学大学院卒、
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任。
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
関連コラム
「こむら返りの原因は病気?運動や睡眠中にふくらはぎがつって痛むワケとは」以外の病気に関するコラムを探したい方はこちら。
関連する病気
「こむら返りの原因は病気?運動や睡眠中にふくらはぎがつって痛むワケとは」に関する病気の情報を探したい方はこちら。