ピアスの穴が膿む原因と治し方は?消毒液は控えて!病院へ行くべき?
【医師監修】
ピアスホールは清潔に保たないと、膿んでしまうことがあります。
せっかくのおしゃれなピアスも、痛みや腫れがあると憂鬱な気持ちになってしまいますよね。
この記事ではピアスの穴が膿む原因と対処法、そして注意点について解説します。
また、腫れや痛みがあるときの注意点についても併せて解説します。
ピアスホールが膿む原因は?
ピアスホールは傷口の一種なので、細菌感染を起こすと化膿したり、しこりができたりします。
その原因としては次のようなことが挙げられます。
1.ピアスホールを清潔にしていない
ピアスホールを空けてから完成するまでに消毒を怠る、汚れた手でピアスホールに触れる、他人が使用したピアスをつけるなど、ピアスホールを不潔にしていると細菌感染を起こしやすくなります。
2.免疫力が低下している
生活習慣や食生活の乱れによって免疫力が低下すると、細菌への抵抗力が弱まり細菌感染を起こしやすくなります。
3.皮膚が弱い
正しいケアを行っていてもピアスホールが膿んでしまう場合、皮膚が弱いか金属アレルギーの可能性があります。
金属は汗などの体液に触れることで溶け出し、体のたんぱく質と結びついてアレルゲンとなります。
金属アレルギーはピアスホールを空けたことがきっかけで発症することもあるので、安物のピアスを使用したり、ピアスをつけたまま運動して汗をかいたりするのは要注意です。
膿ではなくリンパ液の可能性も
ピアスホールを空けた直後は、リンパ液が出ることがあります。
リンパ液は血中の「血漿成分(赤血球・白血球・血小板を除いた液体成分)」からつくられており、無色透明から黄色に近い色をしていて臭いはないのが特徴です。
液体が濃い黄色だったり嫌な臭いがしたりする場合は、細菌が繁殖して化膿している恐れがあるため要注意です。
1.なぜリンパ液が出るの?
リンパ液は傷口を修復する作用があり、特に体に害はもたらしません。
ピアスホールは傷口の一種と認識されるため、これを修復するためにリンパ液が分泌されます。
ただし液体が無色透明ではなく濃い黄色だったり、臭いがしたりする場合は、細菌が繁殖している可能性があるので注意しましょう。
2.「クラスティ」が出ることも
リンパ液・白血球・血小板の残骸である「クラスティ」が出てくることもあります。
クラスティはピアスホールの周りにかさぶたのようにくっついたり、粘り気のある液体として出てきたりすることもあります。
垢のような臭いがすることもありあますが、体に害はないので心配は要りません。
ピアスホールが膿んでしまったときの対処法
1.膿を出して清潔にする
膿が自然に出てくる場合はシャワーできれいに洗い流し、清潔なガーゼやティッシュで拭き取ります。
自然に出てこなくても自力で簡単に出せそうなら、同じく清潔なガーゼやティッシュで押さえて膿を出します。
2.膿を無理に出そうとしない
まだ膿が出る状況ではないのに無理に出そうとすると、周囲の組織を傷つけたり炎症を悪化させてしまったりすることもあります。
これは「肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)」や「ケロイド」の元になるので、自分で対処できない場合は無理に触らず病院を受診しましょう。
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3.消毒液は使用しない
消毒液は日頃のピアスホールのケアに必要ですが、膿んでしまったときに使うと傷口の修復に必要な菌まで殺菌し、治りを遅くしてしまいます。
また消毒液のアルコール成分は刺激が強く、かぶれが起こる可能性もあるので、使用は控えましょう。
シャワーや殺菌力の強くない石鹸で洗うだけで十分です。
4.化膿がひどいときは軟膏を
化膿がひどい場合は、患部をシャワーできれいに洗浄してから乾かし、抗生物質入りの軟膏を使用します。
市販薬を購入する際は、薬剤師などに相談することをおすすめします。
5.入浴時の注意点
ピアスホールが膿んでいるときは、湯船に浸かると感染を助長する恐れがあるので、シャワーにしましょう。
ピアスの軸にシャワーを当てて綺麗に洗い、シャンプー・リンス後は泡や油分が残らないようしっかりとすすぎましょう。
ピアスホールが膿んだときの治療について
1.病院へ行くべき?
化膿の度合いによっては市販薬で対応できることもあります。
しかし次のような症状がみられたら、肥厚性瘢痕やケロイドの疑いがあるので皮膚科へ行きましょう。
・痛みや腫れがある、または悪化している
・膿は出ないけど腫れぼったい感じが続く
・腫れた部分が硬くなっている
肥厚性瘢痕とは?
赤く盛り上がったみみず腫れのような状態で、ケロイドとはっきり区別するのは難しいのですが、次のような特徴があります。
・傷以外の部分に病変は広がらない
・時間とともに色が薄くなり、徐々に平らになっていく
・治療を行えば治る場合がほとんど
ケロイドとは?
一方でケロイドは治療をしても治りにくく、肥厚性瘢痕と比べると重症度が高いと言えます。
他にも次のような特徴があります。
・傷を越えて正常な皮膚まで病変が広がる
・治療しても良くならない
・再発や悪化が起こる場合が多い
・完治は難しいが症状の軽減は可能
2.病院で受ける治療方法
症状に合わせて化膿止めの塗り薬や飲み薬が処方されます。
体質や症状によっても異なりますが、おおよそ1ヵ月程度で治ります。
ピアスを外したくない場合は、治療用のシリコンピアスを通しながら処置してくれる病院もあるので、相談してみましょう。
まとめ
ピアスによる化膿はよくあることで、清潔な状態を心がけて薬を使用すれば改善するケースがほとんどです。
しかし化膿が進行している場合は早めに病院で治療をしないと、肥厚性瘢痕やケロイドを引き起こす恐れがあるほか、しこりとして残ってしまうこともあります。
処置をしても膿が改善されない場合、早めに病院を受診しましょう。
執筆・監修ドクター
経歴北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
を経て横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長 就任
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