首の痛みが続く…これって何かの病気かも!?痛みをラクにする方法を医師が解説

首の痛みは、多くの人が経験している起きやすい症状です。その理由として、現代の仕事や趣味、遊びには、首や肩に負担を掛けるシーンが多いことが関係しているともいわれています。
首の痛みの種類はさまざまあり、直に首に痛みが生じることもあれば、肩こりが原因となって首にこりや痛みが生じることもあります。
首の痛みの原因と病気の種類
首の痛みの原因
同じ姿勢を続ける
首に痛みを起こす原因のひとつに、パソコン作業などの長時間のデスクワークで、同じ姿勢を続けることが挙げられます。
加齢
加齢により椎間板や椎骨、首の筋肉が、衰えたり変性が生じたりすることも要因といわれています。
また、運動不足で首を動かす機会がないことで、少しの動きだけで首の筋肉を違え、筋肉痛を起こしやすくなる可能性もあります。
後遺症
スポーツや追突事故などによる、むち打ち症の後遺症として首に痛みが生じることがあります。
首に負担が掛かっている
首の骨である頸椎は、毎日5~6kgの重さがある頭を支えています。そのうえ、首の複雑な動きを調節しているのです。
そのため、姿勢異常などによって首に想像以上の負担を掛けてしまうと、首の痛みを引き起こす一因になるといわれています。
寝違え
寝ている間に無理な体勢になることで、首を寝違えて痛みが生じることがあります。
その他
・冷え症体質
・精神的ストレスを抱えている
・猫背でいつも背中が丸まっている
上記に当てはまる人も、首の痛みを起こしやすいため注意が必要です。
首の痛みで考えられる病気
頚椎症
頚椎症は、首の障害で最も多くみられ、特に50歳以上の中高年層に多く発症しているといわれています。
加齢などにより、椎間板の柔軟性が衰えると、頚椎も少しずつ変形しやすくなります。すると、首に痛みが生じ、腕につながる神経が圧迫され、しびれや手が動かしにくいなどの症状が表れます。
頚椎椎間板ヘルニア
頚椎椎間板ヘルニアは、特に30~40歳代の世代に多く発症しているといわれています。
加齢などにより頚椎の椎間板そのものが変形した場合も、神経が圧迫され同じような症状を引き起こすことがあります。
頚椎症同様、首の痛みなどの症状があるのに放置すると、症状が悪化し痛みがひどくなる恐れがあります。
脊柱靱帯骨化症
脊柱靱帯骨化症とは、背骨(脊柱)の骨をつなぐ靱帯が厚みを帯び、骨化してしまう疾患です。
明確な原因は分かっていませんが、骨化により脊髄が圧迫されてしまうと、首の痛み、手足のしびれなど、頚椎症と同じような症状が生じます。
この場合には医療機関を受診し、どの部分の靱帯に異常が生じているかを検査などで確認し、適切な治療を受けることが必要です。
後頭神経痛
後頭神経痛は、頭部にある頭の先からこめかみ、耳の後ろの感覚を脳に伝達する神経が刺激を受けて生じる痛みのことです。
主な症状は、後頭部や耳の後ろが痛くなることですが、首の付け根に強烈な痛みを伴うケースもあります。
痛みはすぐに治まることもあれば、繰り返し生じることもあります。
筋肉痛(頚肩腕症候群、肩こり)
首に痛み(筋肉痛)が生じる原因として、首や肩周辺の筋肉の疲労により血流が滞ることが挙げられます。肩や腕まで、痛みやこり、だるさなどが生じることがあります。
精神的緊張や過度のストレスから痛みが生じることもあります。
その他、まれではありますが頚椎に細菌が感染してしまった場合、首の痛みや発熱などの症状が起こることがあります。この場合には、抗菌薬などを使用することもあります。
また、がんの転移などの頚椎に発生した腫瘍により、脊髄や神経が圧迫された場合にも、首の痛みなどの症状が起こることがあります。
首を動かしていないのに痛みが継続されるときは、早急に医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。1ヶ月近く痛む場合は、必ず医療機関に行きましょう。
首の痛みの対処法
生活習慣を改善する具体的な方法
姿勢を正しく保つ
猫背や反り腰、ストレートネックの状態だと、首に負担がかかります。
首に負担をかけないためには、まっすぐの姿勢(あごを引き、胸をはって、立った状態を横から見た姿勢が、耳と肩が一直線になっている)が理想的です。イメージとしては、頭のてっぺんから糸でつられている感覚です。
1時間ごとに5分ほど立つ・歩く
デスクワークをしたり座って作業をしたりする場合は、1時間ごとに立つ、または歩くと良いでしょう。
またその際に、次のようにストレッチをすることも効果的です。
・背伸びをする
・両手を天井に高く上げる
・身体をひねる
・こり固まっている場所を伸ばす
なかには、1時間ごとに離席することが難しいという人もいるかもしれません。しかし、背伸びをする、身体をひねる、といった簡単なことはできると思うので、ぜひ取り入れてみると良いでしょう。
首の筋肉を鍛える方法
①首をゆっくり、大きく、1周円を描くように回す。(左右5回ずつくらい)
②右の手で左頭を持ち、手の重みで右に頭を10秒ほど倒す。
③左の手で右頭を持ち、手の重みで左に頭を10秒ほど倒す。
これを日々の生活の中で、継続して取り入れてみると良いでしょう。首の負担がラクになるほか、椎間板や椎骨の衰え・変性の予防につながります。
首の痛みと病院での診断について
何科にかかる?
全身に症状がある場合
首の痛みに加えて、発熱や頭痛、吐き気、めまいなどの全身症状が表れた場合には、内科を受診することをおすすめします。この場合、首の痛みが重篤な病気の症状の一部として表れている可能性があるからです。
疑われる重篤な疾患としては、悪性リンパ腫(血液のがん)、頚椎に転移したがんなども挙げられます。
上記のがんを患っている人の多くは、発熱や体調不良を伴う首の痛みが生じています。
全身に症状がない場合
首の痛みだけが生じている場合には、整形外科を受診することをおすすめします。
整形外科で首にどんな異常が起きているかを検査し、その症状に合う投薬や痛み止めを処方してもらうなど、適切な治療を施してもらいましょう。
病院に行く目安は?
病院へ行く目安としては、以下のような症状がある場合です。
・首の痛みが増す
・ずっと首のこりが解消されない
・痛む範囲が拡大してきた
・首の痛みに加えて手足のしびれが生じた
・めまいや吐き気を伴う
・手指にこわばりが生じた
・背中や胸などにも痛みがある
しかし、これらの症状が必ず起こるというわけではなく、人それぞれ痛みの感じ方や症状が異なります。そのため、気になる症状がある場合には早めに医療機関を受診しましょう。
病院における診断
病院を受診した場合、まず問診、視診、触診が行われます。医師に症状などを伝えた後、皮膚に異常がないか、あざや傷などがないかなどを視診で確認します。
次に、実際に患部を触診して症状の状態を確認します。
触診の際には、医師から首を動かすように、物を持つようになどの指示があり、その動作をしながら行われることもあります。
問診、視診、触診だけでは判断がつかない場合には、各種検査が行われます。
レントゲン検査
レントゲン検査により、首の骨(頚椎)にヒビや骨折がないか、靭帯に骨化があるかどうか、骨が変形していないか、などを確認します。
MRI検査
首の異常などがレントゲンだけでは確認が困難な場合には、MRI検査を実施し、さらに詳しい検査を行います。
この検査により、潜伏している病気が発見できたり、病態をより詳しく解明できる可能性があります。
CT検査
CT検査により、より詳しく骨の状態を評価することが可能になります。
これらの検査は、患者さんの症状に合わせて適切に選択されます。そして、病変などを見つけ出し、適切な治療を開始することで早期回復が期待できます。
まとめ
首の痛みの多くは、生活習慣を改善したり、首の筋肉を鍛えたりすることで快方に向かう可能性が高いといわれています。
首に痛みが生じた場合、まず日々の自分の姿勢や行動を見直し、意識して改善するよう心がけることが大切です。
とはいえ、首の痛みの原因が重篤な疾患の可能性もあります。改善を試みてもなかなか治らない場合は、速やかに医療機関を受診してください。
執筆者:フェリシティークリニック名古屋 河合隆志 先生
執筆・監修ドクター

経歴1997年 慶應義塾大学理工学部卒業
1999年 同大学院修士課程修了
2006年 東京医科大学医学部卒業
2012年 東京医科歯科大学大学院博士課程修了
三楽病院整形外科他勤務
愛知医科大学学際的痛みセンター勤務
米国にてペインマネジメントとエイジングケアについて学ぶ
2016年 フェリシティークリニック名古屋 開設
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