今回は日本大学医学部附属板橋病院に伺い、小児科・新生児科について取材させていただきました。
日本大学医学部附属板橋病院は東京都西北地区の中核病院として、板橋区、北区、豊島区、練馬区にお住まいの患者さまを主に受け入れ、地域の健康向上に貢献しています。
中でも小児科・新生児科においてはスーパー(母子救命対応)総合周産期センター、こども救命センター、小児がん診療病院として、新生児の健診からご病気のお子さままで幅広く対応できる体制を整えています。
また、病診連携を円滑に進めるために、患者さまの診断結果はその日のうちに紹介されたクリニックに連絡を入れるのはもちろん、待ち時間の短縮を図るため、クリニックの紹介状を持つ患者さまを優先的に受け付けるようにしています。
小児科・新生児科には院内の診療科では最多となる医師が在籍し、それぞれの専門分野を活かした6つのグループで診療に取り組んでいます。
以下にその診療内容をご紹介いたします。
新生児グループ
新生児グループでは、NICU12床、GCU24床を有し、在胎22週の超早産児から正期産児まですべての新生児に対応しています。
主に取り組んでいる症例としては新生児低酸素性虚血性脳症が挙げられ、一時的に赤ちゃんの体温を下げた状態にし、ストレスによって起こる脳への有害な事象を抑えることができる「低体温療法」を導入した治療で症状の改善を目指しています。
また、診療科目の枠を超えた治療も提供しており、小児外科と毎週カンファレンスを行い、チーム医療を行っています。
さらに糖尿病内分泌班とも連携し、胎児発育遅延(SGA)の成長・発達のサポートも行っています。
「乳幼児健診からご病気の赤ちゃんまですべて対応いたします。育児相談もお任せください」と語るのは自らも3人の子育てに奮闘中だという岡橋彩医師。
「患者さまが気軽に相談しやすい雰囲気づくりに努めています。お困り事があれば私どもにご相談いただければと思います」。
神経グループ
「神経の疾患はけいれんやてんかん、脳症、発達障害、不登校など幅が広いのが特徴です」。そう語るのは桃木恵美子医師。
神経グループでは、ていねいな問診でさまざまな症状を抱えるお子さまに対応するよう心掛け、気持ちに寄り添った医療を提供しています。
特に発達障害の改善にも取り組んでおり、自閉スペクトラムと呼ばれる他人とのコミュニケーションをうまく取れない症例や注意欠如・多動症(ADHD)を持つ4歳以上のお子さまには初診から完全予約制で診療を進めています。
医師と心理士が提携し、治療に加え環境調整に関するアドバイスも行います。
循環器系の調節がうまくいかない起立性調節障害の診断では、頭部の組織酸素飽和度と連続血圧計の検査を導入することで詳しく病気のタイプを分類し、治療につなげています。
血液・腫瘍グループ
血液に関する疾患と腫瘍は特異的な症状が現れにくいという性質を持っています。
顔色が悪い、哺乳不良、原因不明の発熱といった兆候がみられるようでしたら、血液・腫瘍グループでの受診をおすすめしております。
幅広い疾患に対応できるよう、血液を専門とする医師、がんを専門とする医師が在籍しているのはもちろん、小児外科や脳外科とも連携し、血液疾患、固形腫瘍、脳腫瘍などの治療にあたっています。
さらに神経、循環器、腎臓など専門の診療班や救命センタースタッフもおり、充実の陣容をそろえていますので、合併症を引き起こしても迅速に専門的な対応をしています。
「どんな困難な病気でも『ネバーギブアップ』の精神で取り組みます」と語る谷ヶ﨑博医師。
成人期以降も長期のフォローアップに努め、がん治療を受けたお子さまが将来ちゃんと妊娠・出産できるよう継続的な研究・治療も行っています。
小児緩和チームを設け、お子さまのこころのケアも重視し、保護者の勉強会も開催。
また、付き添いなしでの入院も受け入れ、長期入院のお子さまには訪問学級の制度もご用意しております。
「毎日朝夕の回診でていねいな診療を心掛け、お子さまの健康管理に努めています。それぞれの病状に即した治療計画で症状の改善を目指します」(谷ヶ﨑博医師)。
腎臓グループ
腎臓グループでは、腎炎、腎不全、ネフローゼをはじめとした腎疾患の相談を受け付けています。
特に3歳検診や学校での検尿で尿異常を指摘されたお子さまの治療には力を入れており、腎生検を含めた精査で診療を進めています。夜尿症・遺尿症では、カウンセリングを取り入れた治療で症状の改善を目指しています。
また、急性腎不全などの症状については、血液透析、血漿(けっしょう)交換、エンドトキシン吸着といった急性血液浄化療法での対応も可能です。
小児外科とも連携し、先天性腎尿路障害では外科的治療にも移行できる環境を整え、長期的な腎機能管理も行います。
こども救命グループ
東京都が指定するこども救命センターは、都内に4つある施設の一つです。
板橋区・区北ブロックでおおむね14の区を受け持ち、救命救急センターと外傷センターの2つを有する唯一の施設でもあります。
救命救急センターには救命医と小児科の医師が常駐しており、心肺蘇生、外傷、呼吸不全といった重度疾患を24時間体制で管理しています。
地域の中核病院として、クリニックから紹介された小児患者はすべて受け入れていますので、状態が悪化する前にバイタルの異常がある場合は早めの搬送をお願いしております。
満床の際には、他の日本大学病院への入院も可能です。
また、小児救命外傷の診療も行っており、各科と連携して治療にあたっています。
さらに東京DMAT隊員として、消防隊とチームを組み、自然災害、大規模な交通事故の現場で迅速な救助作業を行う活動にも取り組んでいます。
循環器グループ
小児循環器グループでは、先天性心疾患、小児の生活習慣病、成人期に達した小児心疾患などの症状の改善を目指しています。
「どんな患者さんも診させていただきます。誠心誠意な姿勢で治療に取り組んでいきますので、お困りの際は私どもにご連絡いただけますと幸いです」と並木秀匡医師。
乳児検診で指摘された心雑音、不整脈、学校心臓検診での異常所見の相談も受け付けています。
最後に
6つの代表的なグループ以外にも、新生児マススクリーニング対象疾患、先天代謝異常症などに取り組む代謝グループ、低身長、甲状腺疾患、糖尿病といった疾患の診療をおこなう内分泌・糖尿病グループもございます。
この2つはお茶の水にある日本大学病院のグループで、そちらに所属している医師が定期的に板橋病院に来ているため受診することが可能です。
「少子化時代だからこそ、小児科医療の重要さが認識されています。赤ちゃんから思春期の領域までカバーする診療体制を整備しています。お子さまに何か異常が見られる際は、お気軽に当院までご相談ください」。そう語るのは主任教授を務める森岡一朗医師。
日本大学医学部附属板橋病院は小児科新生児科の診療を通して、未来あるお子さまの健やかな生活をサポートいたします。
日本大学医学部附属板橋病院の基本情報
施設内容[診療科目]
総合科 呼吸器内科 血液・膠原病内科 腎臓・高血圧・内分泌内科 消化器・肝臓内科 糖尿病・代謝内科 脳神経内科 循環器内科 心療内科 精神神経科 小児科・新生児科 皮膚科 消化器外科 心臓外科 血管外科 呼吸器外科 小児外科 乳腺内分泌外科 形成外科 脳神経外科 整形外科 産科 婦人科 泌尿器科 眼科 耳鼻咽喉科 歯科口腔外科 看護外来 リハビリテーション科 放射線診断科 放射線治療科 麻酔科 睡眠センター 救命救急センター 臨床検査医学科 病理診断科・病理部 腫瘍センター アレルギーセンター
[所在地]東京都板橋区大谷口上町30-1
[アクセス]東武東上線 大山駅 徒歩20分
[診療受付時間]
8:30~11:00
紹介状持参の患者さん:8:30~13:00
(土曜日は11:00まで)
原則紹介制
一部診療科予約制
診療は9:00開始
科により異なる
創立記念日(10/4)休診 臨時休診あり
[電話番号]03-3972-8111(代表)