日本大学医学部附属板橋病院の基本情報
施設内容[診療科目]
総合科 呼吸器内科 血液・膠原病内科 腎臓・高血圧・内分泌内科 消化器・肝臓内科 糖尿病・代謝内科 脳神経内科 循環器内科 心療内科 精神神経科 小児科・新生児科 皮膚科 消化器外科 心臓外科 血管外科 呼吸器外科 小児外科 乳腺内分泌外科 形成外科 脳神経外科 整形外科 産科 婦人科 泌尿器科 眼科 耳鼻咽喉科 歯科口腔外科 看護外来 リハビリテーション科 放射線診断科 放射線治療科 麻酔科 睡眠センター 救命救急センター 臨床検査医学科 病理診断科・病理部 腫瘍センター アレルギーセンター
[所在地]東京都板橋区大谷口上町30-1
[アクセス]東武東上線 大山駅 徒歩20分
[診療受付時間]
8:30~11:00
紹介状持参の患者さん:8:30~13:00
(土曜日は11:00まで)
原則紹介制
一部診療科予約制
診療は9:00開始
科により異なる
創立記念日(10/4)休診 臨時休診あり
[電話番号]03-3972-8111(代表)
東京都西北部の地域医療に貢献する日本大学医学部附属板橋病院は、先進医療を提供する「特定機能病院」として地域医療連携に取り組み、一般病院、診療所など地域の医療機関とのネットワーク構築を推進中です。
実際の取り組みの内容とこれから解消していくべき課題などについて、医療連携センター長を務める高山忠輝先生に語っていただきました。
目次
登録施設制度を導入。行政、介護施設とのネットワーク化を推進中
医療連携センターの役割は、大きく2つにわけることができます。
患者さんをクリニックからご紹介していただいたり、あるいはすぐ入院させたいときのお手伝いをおこなったりする前方連携と、治療後の患者さんに転院や在宅での医療サービスを提供する後方連携です。
まずは前方連携における取り組みから説明していきましょう。
当院の前方連携では「登録施設制度」を導入しているところに特色があります。
たいていの病院さんで地域の医療機関と連携する「登録医制度」を取り入れていると思うのですが、私どもはそこからさらに踏み込んで、市町村などの行政機関、さらに介護老人保健施設、訪問看護ステーションなどさまざまな施設とのネットワークを広げることで、地域の患者さんをサポートできる体制を整えています。
その背景には在宅医療では24時間ずっと支援することが難しかったり、福祉施設で夜間の診療には対応していなかったりといった問題を解消することにありました。
今では約1,500程の施設と連携しており、おかげさまで患者さんの受け入れ率も80%くらいにまで達しています。
治療後は患者さんをかかりつけの医院に。地域連携パスの活用
機能分担を徹底
後方支援では転院の支援をメインにおこなうようにしています。当院では救急の患者さんの割合が多いため、重症度の高い方が多く在院日数が長い事が特徴でした。
そこで特定機能病院としての機能分担を図るため、私たちの病院では精密な検査・治療をおこない、様態が安定したらリハビリなど回復期の治療を手掛ける病院へ転院してもらうという基本的な考えを徹底することにしました。
もちろん患者さんにも特定機能病院とその後のリハビリテーション専門施設での治療の役割分担について、ていねいな説明をおこない、十分にご納得いただいたうえで転院してもらうように勧めています。
やはり「餅は餅屋」ということわざの通り、その道のプロに任せたほうが良いという考えです。
ちゃんとリハビリ施設があって、理学療法士や作業療法士の数もそろっている医院のほうが機能回復も早く、しっかり治せます。そのためにも転院先との密な連携は欠かせません。
頻繁にミーティングを重ねているほかに、東京都医療連携手帳、地域連携パスを活用し、そこにかかりつけの医院も記入して、良くなった後には患者さんの診療を最初に担当した紹介元の医療機関へ戻すという取り組みもその一つです。
すでに大腿骨頸部(だいたいこつけいぶ)骨折、虚血性心疾患、脳卒中、がんなどに関しては従来のクリニカル・パスを利用した連携医療をおこなっていますので、かかりつけの医院を加えた仕組みへと変更を図っています。
さらに心不全についてはIT技術を駆使しながら、当院と連携先の医院、かかりつけの医院の3者で同じ患者さんの医療情報を共有して、診療にあたることができるのか準備を進めている最中です。
この取り組みがうまくいけば他の疾患にもシステムを広げていけるのではと期待しています。
医師の意識改革にも注力
地域医療連携を進めていくためにまず取り組んだことは病院内の医師の意識改革を図る事でした。
先進医療を担う特定機能病院ということで、なるべく軽傷の患者さんは地域のかかりつけの医院に任せて、重症度の高い救急の患者さんを中心に受け入れていく必要があります。
しかし、重症度に関わらず診ている患者さんが多いと救急の患者さんを受け入れられないこともあります。
受け入れ率(応需率)を上げるためには病院の体制だけでなく、医師にも先進医療が必要な患者さんや、二次救急以上の患者さんをわれわれがしっかり診るべきだという考えを浸透させることが必要です。
この取り組みの結果、救急の応需率は年々良くなっており、地域の医院からの紹介もスムーズに受けることができています。
これらの取り組みと並行して患者さんへの働きかけもおこなっており、「ふたり主治医制」という考え方をアナウンスしています。
これは病状が安定しているときはかかりつけの医院に診てもらい、専門的な検査や治療が必要な場合は当院へお越しいただくという診療の役割分担をわかりやすく解説したものです。
また、かかりつけの医院を持たない患者さんへはできるだけご希望の医療機関をご紹介できるよう努めています。
お住まいの近くであれば、連携登録している医院から病状に適した医師を案内し、職場のそばでしたら、東京都が運営している医療機関のウェブサイトを活用するなどしています。
板橋区という地域性を活かした機能分担への取り組み
板橋区という土地柄を踏まえたうえでの地域貢献にも、今後はもっと取り組んでいくべきだと考えています。
私どもを含めて特定機能病院が2つ、中核病院は5つもあり、さらには数多くの中小のクリニック、在宅施設と、ここ板橋区は都内でも地域包括ケアシステムが完結できる恵まれた環境にあります。
そこでの医療の機能分担で、どんな特色を打ち出していけるかも課題だと思っています。
取り組んでいることの一つに紹介状さえ持っていれば、その日のうちに診療可能なことがあげられます。
地域のクリニックからも「日大ならその日に診てくれる」と、完全予約制を採用している中核病院が多いなかで重宝されています。
とは言っても、待ち時間を気にする患者さんは多いので、予約を取っていたただければ優先的に診るようにもしています。指名料なしでの医師の指名予約も好評をいただいております。
その場できちんと解消。たらい回しにしない連携医療を心掛ける
医療面での充実を目指すのはもちろんですが、患者さんの気持ちに寄り添った診療が何よりも大切だと思っています。
医院からの問い合わせにも「お待ちください」と、たらい回しにするのではなく、その場でしっかり対応してきちんとした答えを返す。
組織はワンチームですが医療連携としてはワンストップ。あとに持ち越さず、その場その場でできることはちゃんとやる。
患者さんのためになるワンストップな連携システムを作り上げていきます。
まとめ
医療機関だけでなく行政や介護施設まで幅広いネットワークづくりに努め、地域連携パスを活用することで回復期の専門施設、かかりつけの医院などとの情報共有も図っていることが取材でわかりました。
地域医療連携の中心的役割を果たしていこうと考える他の特定機能病院にとって大いに参考になる取り組みではないでしょうか。
ワンストップの医療連携を大切に地域の皆さんの健康を見守る日本大学医学部附属板橋病院の今後の活動に注目です。
地域医療連携とは?【地域医療連携】
地域の大きな病院に患者が集中して待ち時間の増大など診療の妨げになることを防ぐために、かかりつけの医院を持つことを推奨する取り組みです。
軽症の場合はかかりつけの医院へ、専門的な検査や治療が必要なときは、かかりつけの医師に紹介状を書いてもらい、地域の大病院へという役割分担で地域の健康管理を潤滑に進めることに役立てています。
【選定療養費】
厚生労働省が推進する「医療機関の機能分担」に基づき、400床以上の病院において、他の医療機関からの紹介なしに受診した患者は初診料とは別に選定療養費として各病院で定めた診療費を払う必要があります。
救急車での搬送、特定の公費医療を受けている患者は除く。
(※2020年3月1日現在)