【聖マリアンナ医科大学病院】院長取材特集

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神奈川県川崎市北部の地域医療の中核を担っている聖マリアンナ医科大学病院は「特定機能病院」として専門性の高い手術や高度先進医療を提供しているのに加え、地域の一般病院、診療所、クリニックといった各医療機関との連携により、地域全体として患者さんをシームレスにサポートできる医療サービスの提供に努めています。

このたび、新しく病院長に就任した大坪毅人教授に、病院の特色や強み、さらには地域医療連携を進めるうえで注力していることなどをお聞きしました。

先進医療と救急患者の受け入れで、医療サービスの向上を目指す

当院の特徴を一言でまとめるなら、特定機能病院としての役割だけでなく、中核病院、災害拠点病院の機能も併せ持った病院だと言えます。

特定機能病院の要件としては、先進医療を手掛けていることがまず挙げられますが、そのもっとも新しいものとして当院ではがんや難治性疾患への新しい治療法として期待されているゲノム医療を推進しています。

これは簡単に説明すると、患者さんのガンなどの原因となっている遺伝子を調べ、その情報をもとに適したお薬や治療法を提供するというものです。

当院では診療科の枠を超えてゲノム医療担当医を配置しているのに加え、看護師、カウンセラーが患者さんからの不安や悩み事に対応するなど、心身両面でサポートする体制を整えています。

その研究・診療成果の積み重ねにより、2019年9月には厚生労働省より「がんゲノム医療拠点病院」に指定され、今後はさらに幅広い疾患の治療にゲノム医療を役立ていきたいと考えております。 (※2020年3月19日 現在)

 

地域の中核病院としての取り組みとしては、全ての領域に及ぶ32診療科を揃える体制のさらなる充実の他、救急医療を充実させるために救急医療の応需率をいかに高めるかという課題に取り組んできており、受け入れ数は年々増えてきています。

診療科目の枠を超えた協力体制で患者さんをサポート

災害拠点病院としては、いつ災害が起きても、救急医、供給部門などを迅速に配置して対応できる体制を整えています。

当院には、緊急医療をおこなうDMATと主にメンタル面をサポートするDPATを併せて70人弱が在籍しています。

また、2022年の完成を目指している新病棟は災害に耐えられる強い構造となっており、屋上にヘリポートを設け、1階は全て救命のフロアになる予定です。

さらに、そうした災害時だけでなく、救急患者さんにタイムリーに対応できるように32の診療科が横の連携を密に取れることも当院の強みです。

例えば、極めて状態の悪い患者さんがいれば、どの病棟でもすぐに駆けつけられる救急医と看護師からなるラピッドリスポンスチームがあります。

 

患者さんへのメンタル面にも特色ある取り組みをおこなっており、スタンダードプードルの勤務犬を採用して、お子さんやがん患者さんのこころのケアに役立てています。

勤務犬を採用するきっかけは、以前入院していた女の子から他の医療機関に在籍していたワンちゃんにどうしても会いたいという要望に応えるため、特別に1日だけ来てもらったことです。

そのときの喜ぶ姿を見て、当院でも採用しようという運びになりました。1代目のミカが引退して、現在は2代目のモリスに活躍してもらっています。

勤務犬は大変好評をいただいており、「私のことをいちばんわかってくれる」と勤務犬の回診を心待ちにしている患者さんもいらっしゃるほどです。

地域医療連携で大切なのは、お互いの顔が見える交流を図ること

医療連携を推進するうえでの要となるメディカルサポートセンターの活動もご紹介したいと思います。

メディカルサポートセンターでは、患者さんの退院支援、や栄養相談、社会保障の説明、を始めとして急性期病院である私どもから、回復期病院へと患者さんの転院を橋渡しするだけでなく、幅広い分野で患者さんのサポートをしています。

また、近隣の病院、クリニックとの地域医療連携を円滑に進める役割も担っており、当院が主催して病病連携、病診連携の会を定期的に企画し地域医療機関との交流を図るようにしております。

こういった活動は地道ではありますが、地域の医療機関の先生方を直接知っていることで、患者さんを紹介、逆紹介する際に安心してお任せすることができるということにつながっています。

発展的な議論が生まれることを期待。気持ちに寄り添える医療を提供

病院長に就任するにあたっては、提供する医療の安全性を特に重要視したいと考えています。

医療ミスなどを防ぐためには、実は医療スタッフが連携しやすい風通しの良い職場にすることが効果的です。

勤続年数や職種に関係なく、なんでも言い合える関係を築くことができれば、そこから発展的な議論が生まれ、診療技術や病院のサービス向上につながるのではないかと期待しています。

一人のスーパードクターがいる病院より、スタッフ全員が患者さんの気持ちに寄り添って医療サービスを提供する、そんな職場環境を作り上げていきます。

まとめ

高度な先進医療、断らない救急医療、さらには災害時にも活用できる診療科目を超えたサポート体制など、聖マリアンナ医科大学病院は新病棟の完成に向けて医療体制のさらなる充実を目指していることがわかりました。

中でも勤務犬を採用してのケアのお話は、患者さんのよろこぶ顔が浮かんできて、取材するこちら側も思わずほっこりしてしまうエピソードでした。

地域の医療従事者との交流を図り、風通しの良い職場を目指すという新院長の言葉に期待です。

聖マリアンナ医科大学病院の基本情報

施設内容[診療科目]

総合診療内科、呼吸器内科、循環器内科、消化器・肝臓内科、腎臓・高血圧内科、代謝・内分泌内科、脳神経内科、血液内科、リウマチ・膠原病・アレルギー内科、腫瘍内科、神経精神科、小児科、新生児科、消化器・一般外科、心臓血管外科、呼吸器外科、小児外科、乳腺・内分泌外科、脳神経外科、整形外科、形成外科、皮膚科、腎泌尿器外科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、放射線科、麻酔科、病理診断科、救急科、リハビリテーション科

[所在地]神奈川県川崎市宮前区菅生2丁目16-1

[アクセス]
小田急線:向ヶ丘遊園駅・生田駅・百合ヶ丘駅・新百合ヶ丘駅 各駅よりバスで約20~30分
JR南武線:武蔵溝ノ口駅/東急田園都市線:溝の口駅よりバスで約20分
横浜市営地下鉄ブルーライン:あざみ野駅よりバスで約30分

[診療受付時間]

●初診の方

8:30-11:00

※7時30分より受け付け順の番号札をお取りください。
●再診の方
・予約のある方

7:30-17:00
7:30-11:30

※土曜日:予約再来受付機は11時30分以降も利用可能

・予約のない方

8:30-11:30
8:30-11:00

※7時30分より受け付け順の番号発行機より番号札をお取りください。

[紹介患者さんの受付案内]
紹介患者さんの受付開始時間は8時30分からになります。(番号札はございません)
メディカルサポートセンター(11番受付)に紹介状・保険証をお出しください。

※専門外来および医師指定の紹介状をお持ちの方はお問い合わせください。
詳しいご案内をさせていただきます。

[外来休診日]
日曜日・祝日
開学記念日の休日(10月第2土曜日)
年末年始(12月29日~1月3日)
[電話番号]044-977-8111(代表)

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