肉離れの見分け方は?軽度~重度の症状を解説!筋肉痛との違いは?
【医師監修】
肉離れ・筋肉痛・こむら返りは、どれも似たような痛みが出るため見分けがつかない方も多いでしょう。
肉離れはスポーツをしているときによく起こる現象で、その重症度によって治療方法や期間が異なります。
筋肉痛やこむら返りとよく似た痛みが生じるため、違いがわからないという方も多いでしょう。
この記事では肉離れの原因と症状や、筋肉痛・こむら返りとの見分け方をご紹介します。
肉離れとは?
1.特徴
肉離れとは筋肉の細胞や筋膜が断裂している状態で、痛みを感じるのが特徴です。太ももやふくらはぎに起こることが多いとされています。
太ももの場合
太ももに生じる肉離れは、「大腿四頭筋」や「ハムストリングス」などが断裂している状態です。
ふくらはぎの場合
ふくらはぎに起こるときは、「下腿三頭筋」が断裂している状態です。
2.肉離れの症状
肉離れは軽度・中度・重度に分けられ、それぞれ症状が異なります。
軽度
<大腿四頭筋の場合>
大腿四頭筋が肉離れを起こしているときは、うつぶせになった状態で90度くらいまでなら足を曲げることができます。
<ハムストリングスの場合>
ハムストリングスが肉離れを起こしているときは、仰向けに寝た状態で地面から70度くらいの位置までしか足を上げられません。
うつぶせ寝の場合は、お尻側に向かって90度以上足を曲げることができます。
<ふくらはぎの場合>
ふくらはぎの場合は、立った状態でアキレス腱を伸ばすと少し痛みを感じます。
また、筋肉の中や筋肉間での出血もみられます。
中度
<大腿四頭筋の場合>
うつぶせになった状態で45~90度までしか足を曲げることができません。
<ハムストリングスの場合>
仰向けに寝た状態で地面から30~70度くらいまでしか足を上げられません。
うつぶせ寝の場合、45度から90度程度まで曲げられます。
<ふくらはぎの場合>
立ったままアキレス腱を伸ばすと、やや強い痛みを感じます。
筋肉だけでなく、腱の部分的な損傷もみられます。
重度
<大腿四頭筋の場合>
うつぶせになった状態で、地面から45度までしか足を曲げることができません。
<ハムストリングスの場合>
仰向けに寝た状態で、地面から30度程度までしか足を上げることができません。
うつぶせ寝の場合、45度以上足を曲げられません。
<ふくらはぎの場合>
立ったまま膝を軽く曲げただけでも痛みが走り、つま先立ちができません。
腱が完全に断裂していたり骨から剥がれていたりするため、広範囲にわたって内出血が起こることもあります。
3.肉離れの原因
肉離れは筋肉への負荷によって生じます。
スポーツが主な原因となりますが、これは“突然走り出したり跳ねたりといった日常生活では使わないような動き”をするためです。
筋肉は関節の動きに合わせて収縮していますが、瞬発的な動きがあると筋力がその負荷に耐えられなくなり、肉離れを起こします。
筋肉の断裂は再発の原因にも
いったん断裂した筋肉の修復過程で線維化するため、一時的に硬くなります。
すると柔軟性が失われることで、再発の原因となる可能性もあります。
筋肉痛・こむら返りとの見分け方
1.筋肉痛と肉離れの違い
肉離れは筋肉の一部に断裂がみられるのに対し、筋肉痛は筋肉に痛みが生じているだけで組織の損傷はありません。
筋肉痛は運動後数時間から翌日や翌々日に起こるのが一般的です。
一方で肉離れは直後から激しい痛みがあり、動かすのもつらいという場合が多いです。
2.こむら返りと肉離れの違い
こむら返りは、ふくらはぎが緊張状態となることで筋肉が痙攣している状態です。
筋肉の収縮が持続するため引っ張られているような痛みがありますが、筋肉を伸ばすようにストレッチをすると比較的短時間で解消されます。
一方で肉離れは筋肉を損傷している状態なので、短時間で痛みがなくなるということはありません。
見分け方としては痛みの持続時間をチェックしましょう。
肉離れの治療について
1.病院に行くべき?
肉離れはきちんと治療しないと、筋肉の機能不全が残ることがあります。
軽度でも完治までには2週間近くかかるため、病院へ行きましょう。
特に重度だと、怪我前の状態まで運動レベルを戻すのが難しくなる場合もあり、病院の受診が推奨されます。
何科へ行けば良い?
肉離れの治療は、整形外科を受診しましょう。
2.治療方法と期間
重症度によっても治療方法や期間は異なります。
軽度
ストレッチや関節を動かす訓練を行い、少しずつ運動レベルを上げていきます。
肉離れを起こしてから2週間程度で、スポーツに復帰できるレベルまで回復します。
中度
損傷した筋肉を伸ばせるようになったら、ストレッチを開始します。
医師の指示によっては、MRIで腱の修復が確認できるまで激しい運動を控えます。
この期間も考慮すると、治療期間は4週間~2ヵ月程度と言えるでしょう。
重度
重度だと手術に至るケースもあります。
その場合、治療期間は4ヵ月~6ヵ月ほどかかると考えられるでしょう。
3.治療中の過ごし方
治療期間中は何よりも無理をしないことが大切ですが、できる範囲で次のケアを続けると再発防止に効果的です。
・ストレッチ
・筋力トレーニング
・バランス能力の改善(バランスボールなどを使用)
・運動姿勢の矯正
特に冬などの寒い季節は筋肉が固まりやすくなるため、運動前のウォーミングアップは必須です。
まとめ
肉離れは、痛みが直後に表れて持続するのが特徴です。
軽度・中度・重度とそれぞれ症状や治療期間は異なりますが、筋肉の機能不全を残さないためにも適切な治療を受けることが大切です。
筋肉痛やこむら返りとの違いを踏まえたうえで、疑わしい症状がみられたら整形外科を受診しましょう。
執筆・監修ドクター
経歴1997年 慶應義塾大学理工学部卒業
1999年 同大学院修士課程修了
2006年 東京医科大学医学部卒業
2012年 東京医科歯科大学大学院博士課程修了
三楽病院整形外科他勤務
愛知医科大学学際的痛みセンター勤務
米国にてペインマネジメントとエイジングケアについて学ぶ
2016年 フェリシティークリニック名古屋 開設
関連コラム
「肉離れの見分け方は?軽度~重度の症状を解説!筋肉痛との違いは?」以外の病気に関するコラムを探したい方はこちら。
関連する病気
「肉離れの見分け方は?軽度~重度の症状を解説!筋肉痛との違いは?」に関する病気の情報を探したい方はこちら。