おたふく風邪の熱はいつまで続く?ぶり返す・出ない場合についても解説
『おたふく風邪』は、登園や登校・出社も停止になるほど感染力が強く、とくに子どもがかかることの多い伝染病のひとつです。
主な症状は、「38度近くの発熱」と「耳の下の腫れ」ですが、まれに38度以上の高熱や合併症を発症することもあります。そのため、高熱が出たり熱が長引いたりする場合は、再度病院を受診したほうがよいでしょう。
この記事では、『おたふく風邪の熱』について解説します。
おたふく風邪の熱について
1.おたふく風邪について、簡単に解説
『おたふく風邪』といえば、だれもが聞いたことのある病気ですが、正式名称は『流行性耳下(じか)腺炎』といいます。
病原性微生物である『ムンプスウイルス』が体内に入り込むことで起こる感染症のひとつで、2大症状は「38度近くの発熱」と「耳の下の腫れ」です。
2. 熱が下がらないときの対処法
おたふく風邪の熱に、直接効果のある治療法はありません。
1度目の受診の際に、解熱剤を処方された場合は医師の指示に従い正しく服用しましょう。
熱が下がらないどころか体温がどんどん上がってしまうときは、様子をよく確認したうえで必要に応じて病院を受診するようにしましょう。
3.発症から3日以上たっても熱が下がらないときは…
熱が3日以上続く場合は再度受診を
おたふく風邪が原因で、38度以上または38度前後の熱が出ることも考えられます。
子どもでも大人でも、高熱になればなるほど体力の消耗が激しくなります。
熱が3日以上続く場合は、様子を見ながら再度受診するタイミングを考えることをおすすめします。
発熱は2日~5日続くことも
おたふく風邪は、3日以上の発熱が続くことも珍しくはありません。
2日ほどで比較的すぐに熱が下がる人もいれば、5日ほど発熱が続く人もいますが、長引くからといって必ずしも危険な状態であるとは限りません。
発熱のほかにも症状があれば合併症の疑いも
発熱が長引いていて、加えて頭痛や腹痛があれば、『髄膜炎(ずいまくえん)』や『膵炎(すいえん)』という合併症にかかっていることも考えられます。
病院を受診し、医師の指示に従いましょう。
3.熱をぶりかえすこともある?
38〜40度をいったりきたりすることも
一般的に、熱は3日以内に下がるとされていますが、38〜40度をいったりきたりすることもあります。
また、解熱剤で熱を下げることができても、ウイルスが体内に残っていれば、効果が切れるとまた熱が上がることもあります。
おたふく風邪のようなウイルス性の感染症は、1回の発熱でウイルスをすべて排除することは基本的にはむずかしいため、一時的に熱が下がっても、熱をぶり返すこともあります。ですが、2回目の発熱以降は期間が短くなる場合が多いでしょう。
いったん微熱に戻ってぶり返した場合は要注意
微熱に戻ったのに、再び38度以上の熱が出始めた場合は合併症の可能性も考えられます。
微熱に戻っても、抵抗力が低下している分、ほかの病気にもかかりやすくなっているため、注意が必要です。心配な場合は医師に相談するようにしましょう。
熱以外も!おたふく風邪の症状や潜伏期間について
1.おたふく風邪の初期症状は?
首の痛みや、最大の唾液腺である耳下腺の腫れが挙げられます。
耳下腺は、食べ物を噛んだときや、すっぱいものを食べたときに痛みを感じることもあるでしょう。
しかし、自己判断はむずかしく、気づくのが遅れることがあります。
2.ウイルスの潜伏期間は2~3週間
ムンプスウイルスは身体の中に入ってから2~3週間、平均でも18日程度と長い間潜伏します。
潜伏期間に症状が出ていなくても、飛沫(空気)感染や接触感染によって、ほかの人にうつしてしまう可能性もあります。
3.大人がおたふく風邪にかかった場合は?
大人のほうが重症化しやすい
一般的におたふく風邪は、子どもよりも大人が発症した場合のほうが重症化しやすいといわれています。
しかし、症状などは似ていて、熱も発熱してから3日ほどで下がることがほとんどです。大人は子どもにくらべると重症の確率は高いといえますが、重症化することはまれといえます。
症状が長引いた場合は、合併症を発症することも
考えられる合併症は、髄膜炎(ずいまくえん)・脳炎・膵炎(すいえん)・難聴などです。
成人男性は睾丸(こうがん)炎、成人女性は卵巣炎を発症することもあります。
熱が出ないこともある?『不顕性感染』について
1.熱が出ない人も3割ほどいる!
不顕性感染(ふけんせいかんせん)とは、症状があらわれないままウイルスや細菌が消滅してしまうことです。
高熱が出る人もいる一方で、ほとんど熱が出ないおたふく風邪を発症する人も3割ほどいます。
体質・免疫力・抗体の有無などによって、発症の度合いが変わることがあります。
2. 『不顕性感染』は、何か問題がある?
二次感染のおそれ
不顕性感染の場合でも、二次感染は考えられます。わずかに自覚できる症状は、微熱・全身の倦怠感などですが、気づかないことも多いです。
そのため、少しでも体調がすぐれないときは、周りの人とかかわる際にじゅうぶん注意しましょう。
また、家族がおたふく風邪になった友人や同僚がいる場合も、できるだけ距離をおくことが望ましいといえます。
発症後しばらくたってから症状が出ることも!
発症後すぐに熱が出なくても、しばらくたってから発熱することもあるため、注意が必要です。
少しでも調子が悪いときは、無理をしないことが大切です。
3.『不顕性感染』の場合、おたふく風邪は自然治癒する?
ほとんど症状が出ない場合は、自然治癒することもあるでしょう。
実際、症状が出ないためにおたふく風邪だと気づかずに病院へ行かない人もいます。
まとめ
病院で解熱剤を処方してもらいましょう
おたふく風邪と一言でいっても、発熱するかしないか、熱が下がるまでの期間、どのくらいの熱が出るかなど、症状は人それぞれです。そのため、まずは医師と相談をしながら、必要に応じて解熱剤を正しく服用することが大切です。
熱が長引くなど、快方に向かわない場合は、再度受診して医師の指示を仰ぐことも大切です。
熱は一般的には3日ほど続きます
一般的に3日程度で熱が引くとされていますが、それ以上長引くからといって必ずしも危険な状態とはかぎりません。5日ほど続いても異常がない場合もあります。
高齢者や子どもは免疫力が低いため、熱が長引く傾向があります。自己判断で慌ててしまったり、逆に気を緩めてしまったりすることがないよう気をつけましょう。心配なときはかかりつけの医師に相談しましょう。
執筆・監修ドクター
経歴平成14年 慶應義塾大学医学部卒業
平成16年 立川共済病院勤務
平成17年 平塚共済病院勤務(小児科医長)
平成22年 北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室 研究員
平成29年 なごみクリニック 院長
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