ヘマトクリットが高い原因と治療方法は?脳梗塞など病気のリスクも!
【医師監修】
血液検査などで調べることのできる「ヘマトクリット値」は、血液濃度を表しています。
ヘマトクリット値というのは、血中の赤血球が占める割合を表す数値で、高ければ血液の濃度が高いことになります。
この記事ではヘマトクリット値が高くなる原因や、高いことでどんな症状やリスクが生じるのか解説していきます。
ヘマトクリットとは?
ヘマトクリットとは、簡単に言うと「血中の赤血球が占める割合」を表す数値です。
赤血球の割合をみれば血液の濃度がわかるため、ヘマトクリット値の測定では貧血の有無や輸血の必要性などを調べられます。
1.血液の濃度がわかる
血液というのは、単純に血液量が減る場合と、量はそのままに濃度だけが薄まる場合があります。
つまり「血液の量」と「血中の赤血球の量」は比例しないため、血液量をみても濃度はわかりません。
そこで濃度を知るために活躍するのがヘマトクリット値です。
2.ヘマトクリットの基準値は?
発表している学会によってもややバラつきがありますが、おおよそ次の数値が基準とされています。
・男性:38.5%~48.9%(低いと35.3%以下、高いと52.9%以上)
・女性:35.5%~43.9%(低いと32.3%以下、高いと47.0%以上)
ただし朝・昼・夜など測定するタイミングによって、ヘマトクリット値は多少変動します。
ヘマトクリットが高い場合の症状やリスク
1.どんな症状が出るの?
ヘマトクリットが高い場合は、ドロドロとした濃い血液になっている状態で、「多血症」の症状が多くみられます。多血症は2種類に分けることができます。
相対性多血症
下痢や嘔吐などの脱水によって生じる多血症です。
脱水を改善すれば症状はなくなるので、治療の必要はありません。
真性多血症
「骨髄(血液をつくる部分)」の造血細胞が異常に増えることで起こる多血症です。
病院での治療が必要となります。
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2.放っておいた場合のリスク
真性多血症の場合は、放っておくと様々なリスクがあります。
既述の通り多血症は血液が濃くなっている状態なので、血栓ができやすくなります。
そのため脳梗塞や脳血栓、心筋梗塞、高血圧などを引き起こす危険性があります。
痛風を引き起こすことも
血液の粘度が高くなることで、尿酸値が増加することもあります。
尿酸が体内にたまって結晶化すると痛風を引き起こすため、この数値が一定以上のときは要注意です。
また痛風を放置すると肝機能の低下につながり、体内に老廃物や毒素がたまりやすくなるというリスクもあります。
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ヘマトクリットが高くなる原因
1.水分不足
脱水状態になると体内の水分量が減少するため、「血漿(赤血球・白血球・血小板を除く血液の液体成分)」の量も減り、相対的に赤血球の割合が大きくなります。
これが先ほど説明した「相対多血症」です。
とくに大量に汗をかいたときや、嘔吐や下痢によって水分が排出されたときは、この状態になりやすいためこまめな水分補給が必要です。
2.骨髄の異常
骨髄に何かしらの異常が起こると赤血球をつくるスピードが速くなり、血中の赤血球の割合が増加します。
これは脱水症状のように、血中の水分量が減ることで相対的に赤血球が増えるわけではなく、赤血球そのものが増えている状態です。
これが先ほど説明した真性多血症です。
3.喫煙
喫煙経験がある人も、ヘマトクリット値が増加しやすい傾向があります。
喫煙は肺の機能を低下させて血中の酸素量を減らすため、より効率的に酸素を取り込もうと赤血球の数が増えます。
これは赤血球に含まれる「ヘモグロビン」が酸素と結びつく性質があるためです。
また喫煙は心筋梗塞の原因にもなるため、喫煙によって心臓のはたらきが弱っている場合も同様の現象が起こります。
ヘマトクリットが高い場合の対処法
1.病院での治療について
脱水が原因でヘマトクリット値が高い場合は、病院での治療は必要ありません。
それ以外の原因で数値が上がっている場合は、病院を受診する必要があります。
治療法
一般的なのは「瀉血(しゃけつ)」という治療法です。
瀉血は、血を抜くことで赤血球の割合を減らしていく方法で、赤血球に含まれる鉄を減らすことで血栓ができにくい状態にします。
また、「アスピリン」という薬を併用して血栓をできにくくする場合もあります。
2.食事で気をつけたいこと
すすんで摂りたい食事
食事で大切なのはバランスです。和食を中心に、下記が揃った食事を心がけましょう。
・主食:ご飯・パン・麺など
・主菜:肉・魚・豆腐など
・副菜:野菜・きのこ・海藻など
鉄分を多く含む食材は避ける
ヘマトクリット値が高い場合は、造血作用のある食材や鉄分を多く含む下記のような食材はできるだけ避けましょう。
・ほうれん草
・卵
・牛肉
・シジミ
・レバー
・プルーン
脂質やプリン体・アルコールにも注意
肉や揚げ物など脂質の多い食品や、プリン体・アルコールは血液をドロドロにする傾向があるので控えましょう。
とくにプリン体とアルコールの両方を含むビールには要注意です。
水分補給をしっかりと!
脱水は血液の濃度を高めてしまうので、しっかりと水分補給をしてこれを防ぎましょう。
まとめ
ヘマトクリット値が高いというのは、血液が濃くドロドロした状態になっているということです。
血液の濃度が高いと血管が詰まりやすくなり、命の危険につながることもあります。
健康診断でヘマトクリットが基準値よりも高くなっていた方は、病院を受診してその原因を検査してみましょう。
執筆・監修ドクター
経歴2006年 北里大学大学院卒、
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任。
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
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