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ドアノブの除菌をする人

新型コロナで強迫性障害に?手洗いや消毒のやりすぎは注意

更新日: 公開日:
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やまもと はるよし先生

【執筆・監修ドクター】

横浜労災病院 山本 晴義 先生

目次
  1. 強迫性障害とは?
  2. 強迫性障害になる可能性の高い人
  3. どんな状態だと治療が必要?強迫タイプを見てみる
  4. 強迫性障害の治療は?
  5. 新型コロナウイルス関連で強迫性障害にならないために
  6. 「勤労者心のメール相談」の利用

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新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るう中、感染への恐怖にかられて、テレビやスマホなどでニュースから目が離せず仕事や家事が手につかない、肌荒れするまで過剰に手洗いやアルコール消毒を繰り返してしまう…など、日常生活に支障がでている方はいないでしょうか?

そんな不安やこだわりが明らかに普段の状態ではなく、度を越えているような場合は、「強迫性障害」の可能性があります。

症状が進行すると、家族など周囲の人たちとの関係が悪化することもあります。もしこのような症状があれば、できるだけ早めに医療機関に行くようにしましょう。

強迫性障害とは?

強迫性障害とは不安障害の一種で、本来であれば気にしなくてもいいようなことを必要以上に気にしてしまい、日常生活に影響がでてしまう精神疾患です。自分でもやらなくてもいいことはわかっているものの、考えや行動が止められない状態を指します。

代表的な例では、強い不安にかられて何時間も手を洗い続けたり、外出した際に家の鍵がかかっているかどうか気になってほかのことに集中できない、などといった症状があらわれます。

日本では正確な数字はわかっていませんが、欧米では全人口の1~2%、つまり50~100人に1人が強迫性障害と言われています。日本の場合は、障害があっても性格的な問題で片づけたり、精神科や心療内科の受診をためらうケースが多いためと考えられますが、日本にも欧米と同じぐらいの割合の人がいると推測されています。

新型コロナウイルスの「強迫性障害」チェックリスト

以下の項目のうち、上の2個を含む3個以上に当てはまり、かつ日常生活に支障がある人は、受診を検討しましょう。

□新型コロナウイルスの情報が過剰に気になってほかのことが手につかない
□長時間、1日に何十回もうがいや手洗い、アルコール消毒をしている
□すでに精神的な健康状態に問題を抱えている
□感染するリスクそのものに強い不安を感じる
□県外ナンバーの車を見ると強い不安や激しい怒り・憤りを感じる
□周囲に医療関係者がいると不安で仕方がない

強迫性障害になる可能性の高い人

高齢者や慢性疾患を持つ人

高齢者や高血圧症、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患などの慢性疾患を持つ方は、新型コロナウイルスに感染すると重篤化しやすいため、感染への恐怖が精神的に強くかかり、高い緊張状態に置かれます。

子供や10代の若者

子供は状況把握やストレスへの対処法が身についていないことから、周囲の状況に大きく影響されてしまいます。子供は周囲の大人を手本に対処しようとするため、大人が落ち着いた行動をしないと、強迫性障害を発症してしまう可能性があります。

医師や看護師などの医療従事者

医療・保健福祉の関係者は感染の恐怖にくわえ、ウイルスという見えない敵と戦うストレス、社会的に理不尽なストレスを受けることがあります。例えば、「医療従事者だから感染リスクが高い」と、周囲の人から避けられることもあります。こうしたことから、強いストレスを受ける方も少なくありません。

精神科関連の疾患を持つ人

すでに精神科関連の疾患を持っている場合、感染症の流行による感情面での影響を強く受けやすくなります。そのため、既存の疾患が悪化したり、再発する可能性が高まります。

どんな状態だと治療が必要?強迫タイプを見てみる

人それぞれ何かしらのこだわりを持っているものですが、異常なほどのこだわりで日常生活に支障をきたしている場合、それは治療の必要があるかもしれません。新型コロナウイルスに関連する強迫性障害は、病気や汚染といった強迫観念が抑えがたい不安に変わり、強迫行動へと変化していきます。

一般的に強迫のタイプは「強迫観念」「不安感」「強迫行為」の3つと言われていますが、新型コロナウイルスの場合は以下の例が考えられます。

強迫観念

さまざまな物にウイルスなどが付着しているのではと考えるようになります。そのため、殺菌・消毒や手洗いなどを過剰におこないたくなる衝動にかられます。また、自分のせいで誰かにうつしてしまうのではないかと心配することもあります。

不安感

日々流れる新型コロナウイルスに関するニュースをたくさん集め、不安な気持ちが大きくなっていきます。そして過度な緊張感や不安、憂鬱な気持ちになることがあります。

強迫行為

強迫観念を抑えるため、実際に過剰な行動をします。手が荒れるまで手洗いをする、さまざまな物を過剰に殺菌・消毒する、といった行動を取ることもあります。また、自分が感染しない・周囲の人にうつさないために、人との交流を避けたり、買い物などの外出も避けるようになります。また最近自分とかかわった人に、体調不良などの症状がでていないか、何度も繰り返して確認するようになります。

強迫性障害の治療は?

強迫性障害の治療は、心療内科や精神科でおこないます。
医師による問診を経て、薬物療法と心理療法を併用して治療していきます。
例えば、薬物療法ではいわゆる「抗不安薬」によって、不安な気持ちなどを軽減させます。また「抗うつ薬」の一種であるSSRIという、精神を安定させる「セロトニン」という物質を増加させる薬を服用します。こうした薬を服用することがためらわれる場合などは、漢方によって治療できることもあります。薬について疑問や不安があれば、まずは医師に相談するとよいでしょう。

心理療法の場合は「曝露反応妨害法」などがおこなわれます。これは、「今まで避けてきたことにあえて取り組む」「これまでおこなってきた行為をできるだけしないこと」で治療を進めていく方法です。
例えば、今まで1日に何十回と殺菌・消毒していたのを、1日に3回までと、今までよりも回数を少なくしてみる、といったことがおこなわれます。

病院によっては、問診から薬の処方など、すべてオンラインで対応可能な場合もあります。「強迫性障害というほどではないけど、医師に相談したい」「病院に行くのが不安」といった方は事前に医療機関に相談してみましょう。

新型コロナウイルス関連で強迫性障害にならないために

強迫性障害にならないようにするには、「何のための行動なのか」を意識することが大切です。例えば、何度も必要以上に「手を洗う」ことがウイルス感染を防ぐためなのか、それとも「これをしていれば感染しない」という安心感を得るためなのかを考えてみましょう。もし、「安心感を得るため」なのであれば、強迫性障害の一歩手前の可能性があります。行動する前に以下のポイントを確認してみましょう。

情報は実用的なものだけに絞る

新型コロナウイルスに関する情報を収集する際には、信頼できる情報源から最新の情報を入手するようにしましょう。情報収集にかける時間は1日5分、1度か2度決まった時間だけにするなど、ルールを決めるとよいでしょう。また情報を収集する際は、感情的にならず、情報が伝える事実に着目するように心がけましょう。

手洗いは外出や食事前、トイレのあとに20~30秒で十分

過剰な手洗いは皮膚を傷つけてしまい、かえって感染症にかかりやすくなります。手洗いは外出したあと、食事の前、トイレに入ったあと、咳くしゃみ鼻水のあと、石鹸と水で20~30秒手洗いすれば大丈夫です。アルコール消毒の場合は、アルコール分60%含有の消毒液をワンプッシュした量で手指消毒をしましょう。
また、表面消毒は1日に一度、家の中でよく触れる場所の表面を集中的におこなうだけで十分です。

「退屈な時間」にも注意

家にいる時間が長くなることで、手持ちぶさたな時間が増えます。この退屈な時間が不安を生み出し、強迫性障害を悪化させる可能性もあるので、日々のルーティンを決める、毎日何かしら違うことをする、あるいは定期的に連絡を取り合うなど、周囲の人とのつながりを意識することも重要です。

新型コロナウイルスの治療薬やワクチンが開発されるまで、ウイルスとの戦いにはまだまだ時間がかかることが予想されます。

とはいえ、いつまでも過剰に恐れていては、強迫性障害のような症状に悩まされ続けることにもなりかねません。ウイルスの感染状況に目を配りつつも必要以上にナーバスにならないようにしましょう。また、行動する際にはそれが「何のための行動なのか」を考え、手洗いや消毒を過度におこなわないなど、自分で実践できる範囲で取り組んでいくことが大切です。

「勤労者心のメール相談」の利用

横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長の山本晴義医師(心療内科医)が自ら回答する「勤労者心のメール相談」という事業があります。仕事上のストレスによる、身体的・精神的問題などに関する相談を、年中無休の24時間、無料で受け付けていて、24時間以内に返信があります。積極的に利用しましょう。
メールアドレス:mental-tel@yokohamah.johas.go.jp

厚生労働省でも、新型コロナウイルスによって、仕事や生活にストレスや不安を感じている方むけにサイトを立ち上げています。さまざまな専門家からのアドバイスや、新型コロナウイルス関連の情報、相談窓口などが紹介されていますので、受診前にぜひ参考にしてみてください。

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