発達障害や児童の精神疾患に特化。一人ひとりに寄り添って話を聞く医師
院長
藤田 和義
取材日:2022年10月28日
藤田 和義先生(日本精神神経学会認定 精神科専門医)にインタビュー
勤務医時代は幅広い知識の習得に努め、精神病理学にもとづいた医療を提供
精神科という分野には、もともと興味があったのでしょうか?
そうですね。学生時代から人間の思考や精神の成り立ちとはどんなものなのかとても興味がありましたから、精神科の医師になるんだろうなと自然と感じていました。
私はもともと、児童・思春期の精神について学びたいと考えていたのですが、勤務医になってすぐは、配属先の教授のもと認知症についてかなり勉強しました。そのことがきっかけで、児童・精神科だけを診るのではなく、精神科にお越しになる患者さま全員に対応できるようになろうと思うようになりました。大学病院にはさまざまな分野に対して専門性のある医師がそろっていますから、幅広い知識を習得するにはとてもいい環境でしたね。ちなみに私は、脳の神経細胞が一時的に異常な電気活動を起こすてんかんに関連して、脳波を判読できるようになりました。
私はもともと、児童・思春期の精神について学びたいと考えていたのですが、勤務医になってすぐは、配属先の教授のもと認知症についてかなり勉強しました。そのことがきっかけで、児童・精神科だけを診るのではなく、精神科にお越しになる患者さま全員に対応できるようになろうと思うようになりました。大学病院にはさまざまな分野に対して専門性のある医師がそろっていますから、幅広い知識を習得するにはとてもいい環境でしたね。ちなみに私は、脳の神経細胞が一時的に異常な電気活動を起こすてんかんに関連して、脳波を判読できるようになりました。
勤務医時代は幅広く学ばれたのですね。特に注力したことはなんですか?
精神障害を研究し解明する精神病理学を注力して学んでいました。精神科は、CT検査などはもちろん、話し方や今までの行動を伺ったうえで診断をつけなければなりません。そのため、それぞれの精神疾患においてどのような症状が出るのかしっかりと理解しておくことが必要不可欠です。
たとえば、心が疲弊しているにもかかわらず、統合失調症という脳の障害を改善するお薬を出してしまっては、もちろん快方には向かいませんよね。症状に対してただお薬を処方するのではなく、心理的・哲学的に疾患を理解したうえで診療を行い、患者さまに合った医療を提供できるよう尽力してまいりました。
たとえば、心が疲弊しているにもかかわらず、統合失調症という脳の障害を改善するお薬を出してしまっては、もちろん快方には向かいませんよね。症状に対してただお薬を処方するのではなく、心理的・哲学的に疾患を理解したうえで診療を行い、患者さまに合った医療を提供できるよう尽力してまいりました。
児童・思春期の精神疾患に特化。一人ひとりに合った治療を提案
どんな疾患の方が来院されますか?また、どんなきっかけで受診する?
児童・思春期の精神について診療していても、開業当初は現在ほど「発達障害」という言葉はあまり浸透していませんでしたから、お子さまがいらっしゃることは少なかったように思います。しかし、児童・思春期精神科として掲げてからは不登校の方、自閉スペクトラム症やADHDなどの発達障害の方が多く来院されています。ご自身でなにかを感づいて来院される方もいますし、周りの大人や学校の先生に指摘されたことがきっかけになる方もいるようです。
発達年齢に比べて落ち着きがなかったり注意が持続しにくかったりするADHD(注意欠如・多動症)と、自分の気持ちを伝えたり相手の気持ちをくみ取ったりするのが苦手な自閉スペクトラム症は、似ているようですが別の疾患です。また、ADHDはお薬で治療ができますが、自閉スペクトラム症はお薬がないため、正しく鑑別する必要があります。
患者さまがどんなことで困っているのか、日常生活に支障はあるのかをしっかりと伺い、より生活しやすい精神状態でいられるようサポートいたします。
発達年齢に比べて落ち着きがなかったり注意が持続しにくかったりするADHD(注意欠如・多動症)と、自分の気持ちを伝えたり相手の気持ちをくみ取ったりするのが苦手な自閉スペクトラム症は、似ているようですが別の疾患です。また、ADHDはお薬で治療ができますが、自閉スペクトラム症はお薬がないため、正しく鑑別する必要があります。
患者さまがどんなことで困っているのか、日常生活に支障はあるのかをしっかりと伺い、より生活しやすい精神状態でいられるようサポートいたします。
うつ病に関してはどうですか?主な治療方法を教えてください。
うつ病は、患者さまが怠けているわけでも、その方の責任でもありません。脳の働きになんらかの異常が起き、活動するためのエネルギーが不足している状態であると考えられますから、原因を根掘り葉掘り探るのではなく「とにかく休みましょう」と休養を促すようにしています。
同時にお薬の処方も行います。少量のお薬からスタートし、改善しなければ少しずつ量を増やしていくことで、副作用をできる限り抑えられるようにしています。私は、学校や会社へ行くかどうかをご自身で決断できるよう支えていく、という方針で日々診療にあたっています。
同時にお薬の処方も行います。少量のお薬からスタートし、改善しなければ少しずつ量を増やしていくことで、副作用をできる限り抑えられるようにしています。私は、学校や会社へ行くかどうかをご自身で決断できるよう支えていく、という方針で日々診療にあたっています。
患者さまだけでなくご家族にも寄り添い診療。なんでもご相談ください
今後力を入れていきたいこと、精神科分野での課題はなにかありますか?
やはり発達障害ですかね。児童・思春期精神科を掲げているからこそお子さまが受診する割合は多いですし、不安な気持ちを抱えたまま無理をして学校に通っていらっしゃる方も少なくないと思います。生活するうえでのお困りごとを取り除くのがわれわれ医師の仕事ですから、なにかあればご相談いただきたいです。また、お子さまをサポートするにはご家族の協力や理解も欠かせません。親子でご来院いただき、一緒にお話をしていただければと思います。
精神科分野での課題は、コロナ禍によりうつ病になる方が増えていることです。コロナ感染後の後遺症や失業などの社会的背景、ワクチンの副反応による気分の落ち込みなど原因はさまざまですが、うつ症状を訴える方は増加傾向にありますから、どのように改善していくか医療全体で考えていく必要があると思っています。
精神科分野での課題は、コロナ禍によりうつ病になる方が増えていることです。コロナ感染後の後遺症や失業などの社会的背景、ワクチンの副反応による気分の落ち込みなど原因はさまざまですが、うつ症状を訴える方は増加傾向にありますから、どのように改善していくか医療全体で考えていく必要があると思っています。
最後に、先生から患者さまへメッセージをお願いいたします。
私はこれまで児童・思春期の精神疾患について特化してまいりました。不登校や発達障害など、親御さまだけでは抱えきれない問題に寄り添い、寛解方法を一緒に探っていきます。
また、身体的な疲労だけではなく、心の疲れにも気を遣っていただき、何かお困りごとがあれば気兼ねなくご相談ください。お話をしてお悩みや不安が改善されるのであればそれでよいですし、小さな情報のなかに大きな原因が隠れていることもありますから、「こんなことで受診してもよいのか」とためらわず、ご来院いただければと思います。
また、身体的な疲労だけではなく、心の疲れにも気を遣っていただき、何かお困りごとがあれば気兼ねなくご相談ください。お話をしてお悩みや不安が改善されるのであればそれでよいですし、小さな情報のなかに大きな原因が隠れていることもありますから、「こんなことで受診してもよいのか」とためらわず、ご来院いただければと思います。