藤田 和義先生(日本精神神経学会認定 精神科専門医)にインタビュー
勤務医時代は幅広い知識の習得に努め、精神病理学にもとづいた医療を提供
私はもともと、児童・思春期の精神について学びたいと考えていたのですが、勤務医になってすぐは、配属先の教授のもと認知症についてかなり勉強しました。そのことがきっかけで、児童・精神科だけを診るのではなく、精神科にお越しになる患者さま全員に対応できるようになろうと思うようになりました。大学病院にはさまざまな分野に対して専門性のある医師がそろっていますから、幅広い知識を習得するにはとてもいい環境でしたね。ちなみに私は、脳の神経細胞が一時的に異常な電気活動を起こすてんかんに関連して、脳波を判読できるようになりました。
たとえば、心が疲弊しているにもかかわらず、統合失調症という脳の障害を改善するお薬を出してしまっては、もちろん快方には向かいませんよね。症状に対してただお薬を処方するのではなく、心理的・哲学的に疾患を理解したうえで診療を行い、患者さまに合った医療を提供できるよう尽力してまいりました。
児童・思春期の精神疾患に特化。一人ひとりに合った治療を提案
発達年齢に比べて落ち着きがなかったり注意が持続しにくかったりするADHD(注意欠如・多動症)と、自分の気持ちを伝えたり相手の気持ちをくみ取ったりするのが苦手な自閉スペクトラム症は、似ているようですが別の疾患です。また、ADHDはお薬で治療ができますが、自閉スペクトラム症はお薬がないため、正しく鑑別する必要があります。
患者さまがどんなことで困っているのか、日常生活に支障はあるのかをしっかりと伺い、より生活しやすい精神状態でいられるようサポートいたします。
同時にお薬の処方も行います。少量のお薬からスタートし、改善しなければ少しずつ量を増やしていくことで、副作用をできる限り抑えられるようにしています。私は、学校や会社へ行くかどうかをご自身で決断できるよう支えていく、という方針で日々診療にあたっています。
患者さまだけでなくご家族にも寄り添い診療。なんでもご相談ください
精神科分野での課題は、コロナ禍によりうつ病になる方が増えていることです。コロナ感染後の後遺症や失業などの社会的背景、ワクチンの副反応による気分の落ち込みなど原因はさまざまですが、うつ症状を訴える方は増加傾向にありますから、どのように改善していくか医療全体で考えていく必要があると思っています。
また、身体的な疲労だけではなく、心の疲れにも気を遣っていただき、何かお困りごとがあれば気兼ねなくご相談ください。お話をしてお悩みや不安が改善されるのであればそれでよいですし、小さな情報のなかに大きな原因が隠れていることもありますから、「こんなことで受診してもよいのか」とためらわず、ご来院いただければと思います。