大人の水いぼは人にうつる?アトピーや乾燥肌は要注意!免疫機能の低下も
水いぼとは、正式名称を伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)といいます。ポックスウイルス科にある伝染性軟属腫ウイルスが原因の感染症の一つです。
この伝染性軟属腫ウイルスは、とても感染力が高く、皮膚と接触することで感染を引き起こすだけでなく、感染者が触れたタオルなどからも二次感染を引き起こすことがわかっています。水いぼについて正しい知識を知り、感染を防ぐとともに、感染した場合の対処の方法について学びましょう。
大人の水いぼについて
1.大人の水いぼの症状とは?
大人は子供より悪化しやすい
水いぼは、子供によく見られる症状ですが、大人でも症状があらわれることがあります。
子供はできても約1~5mmの大きさに留まることがほとんどですが、大人に症状が現れた場合、子供と比較すると大きくなりやすいといわれています。通常子供に比べて免疫力のある大人がかかるということは、免疫力が極端に下がっている可能性があり、症状もひどくなる傾向があるからです。
子供の水いぼは、時期としては幼年期から学童期までの間がよく見られ、皮膚の疾患であるアトピー性皮膚炎を持つ子や、皮膚がかさついている乾燥肌の子がよくかかりやすいといわれています。
皮膚トラブルを抱えている人がなりやすい
大人も同様に、乾燥しがちだったり、元々皮膚疾患を持っている人は、肌が荒れやすくバリア機能がうまく働かない状態になっていることから、そうでない人よりも感染しやすく、また全身に広がりやすいといえます。発症したら、悪化させないように注意することが必要で、水いぼ部分を他の部分に接触させないよう感染を防ぐ必要があります。
2.大人の水いぼはどこにできやすい?
水いぼは、体のどこの部分でもでき、顔にもできることがあります。
できやすい部分としては、ひじ、ひざの裏側、わき腹、胸、わきの下、股などに多く見られます。頭髪のある頭、手のひらや足の裏部分はできにくいといわれています。それは、これらの場所が乾燥することが少なく、バリア機能が他の場所よりも高いためと考えられます。
3.大人が水いぼにかかる原因
7歳以下の子供にできやすいのは、皮膚の免疫力が落ちているからと考えられ、アトピー性皮膚炎や乾燥肌の子どもは特にリスクが高まります。
大人が水いぼにかかることはほとんどまれといわれていますが、子供同様に皮膚の免疫力が落ちていることが引き金となっています。水いぼの病気だけでなく、他の免疫不全を起こす病気に感染している可能性も考えた方が良いでしょう。
大人の水いぼ…他の人にうつる?
1.大人の水いぼはうつる?
大人の水いぼをよく観察すると、表面から見るとなめらかな状態ですが、中に糊状の固形物が入っています。
水いぼをかきむしると、中身が出てしまい、周りに広がってしまい、水いぼ周辺にたくさんできる原因になります。
2.家族や周りの人への感染を予防する
皮膚と皮膚とを接触させないようにすることが何より大切です。
大人でも抵抗力が落ちれば感染するので、感染している間は、プールや温泉など、皮膚と皮膚が間接的にでも触れ合う場所へは行かないようにしましょう。水からの感染はしないと言われていますが、肌を露出する場所は極力避けた方が良いでしょう。
3.大人の水いぼは性行為によって感染する?
一般的には水いぼが性行為から感染する可能性はほとんどないと言われています。大人の場合、免疫が衰えるなどの病気がない限り感染しやすいものではないからです。
しかし、水いぼは発症していなくても、原因となるウイルスが手に付着した状態で、性器を触ることによって感染してしまうことは考えられます。同じように、手や足など、特定の部位の免疫が落ちているケースでは、子供から感染したり、性行為による性器からの感染が起こることもあります。心配であれば、水いぼ部分をガーゼなどで覆うと良いでしょう。
4.会社へは出勤してもいい?
水いぼになっても、特に会社を休む必要はありませんが、皮膚の抵抗力が落ちている状態といえるので、休めるのであれば無理に出勤しない方がよいと言えるでしょう。
どうしても出勤しなければならない場合は、なるべく周りの人と接触を控え、同じタオルなどを使用することは避けます。
皮膚が乾燥しないように保湿に努め、肌を正常な状態に近づけるようにこまめにケアしましょう。
5.免疫機能低下の可能性も
性感染により水いぼが引き起こされた結果、特に顔に水いぼが多く見られる場合、免疫機能が低下している可能性が考えられます。
免疫機能が大きく低下する病気の一つにHIVへの感染があります。HIVへの感染が疑われるような症状があれば、病院を早めに受診するか、保健所などで行われているHIV検査を受けるようにしましょう。太もも、肛門周辺、性器のみの水いぼは、通常の水いぼである可能性が高いでしょう。
大人の水いぼ治療について
1.放っておいても治る?
水いぼの治療はいくつか方法があるといわれています。
放っておいて自然に治ることもありますが、個人差があり、完治までに1~2年要することもあります。
人によっては2~3年続く人もおり、全身に広がってしまい治療で痛い思いをすることもあります。
早めに皮膚科を受診する方が安心です。
2.病院で受ける治療について
病院は皮膚科を受診します。
治療は2種類あり、一つ目はピンセットで患部を挟み、つまみ取る方法。もう一つは患部を液体窒素で凍結させる凍結療法です。
自然に治ることも多いので、保湿しながら治癒を待つように指示をされる場合もあります。
3.大人の水いぼ…治療にかかる期間は?
治療方法によって治療期間が異なります。ピンセットで取り除く方法は痛みがありますが、麻酔を利用して取り除き、時間もほとんどかかりません。
性感染によって性器にできる水いぼの場合は、普通の水いぼと比べて治りにくいため、治療も長引く傾向があります。
まとめ
水いぼは子供に多く見られる病気です。しかし大人でも抵抗力が落ちている時は感染することがあります。
水いぼにはさまざまな型があり、放っておいても自然に治る水いぼもありますが、性感染によっておこる水いぼのように治りにくいものもあります。症状に気づいたら早めに病院を受診しましょう。
執筆・監修ドクター
経歴2007年 山梨大学医学部卒業
国際医療センター国府台病院で初期研修の後、日本医科大学麻酔科学講座に入局
2011年 皮膚科、美容皮膚科に転科
現在はGINZA Zen 禅クリニック院長に至る
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