声帯結節は自然に治る?治療法を解説。手術が必要なのはどんなとき?
声帯結節の治療法は「薬」と「手術」の大きく2つに分けられます。
まずは経過観察や薬物療法から治療を始めることがほとんどですが、それでも良くならない、すぐに治したいといった場合は手術をおこなうこともあります。
この記事では、声帯結節は自然に治るのか、どんな治療法があるのかなどについて、解説します。
声帯結節について。自然に治る?
1.声帯結節をカンタンに解説
声帯結節は、声帯の中央に”タコ”のような『結節』ができる病気です。
声を出しすぎることで、声帯が硬くなります。そうすると、粘膜の下に水ぶくれのようにリンパ液が溜まって「結節」ができ、声帯が腫れてしまうのです。
長時間声を使う方や、声が枯れても声帯を休めることができない方に多く発症します。学校の先生や歌手などがその代表的な例です。
また、声の正しい出し方を知らない人ほど、発症しやすいともされています。
2.声帯結節ができると、どんな症状が出る?
風邪でもないのに声が枯れる…!
最初の症状として「声が枯れてくる」のが特徴です。
風邪のように、しばらくすると治るのではなく常に枯れている状態が続きます。長時間話し続けると声を出しにくくなったり、のどに痛みを感じたりすることがあります。
声を出すとのどから空気が漏れる?
声が枯れて、「のどから空気が漏れるような感覚」が生じることもあります。
声質が変わることもある
「声質が変わる」ことも、症状の一つとしてあげられます。
声を出すときにもっとも大きく振動する「膜様部」に結節ができると、うまく振動ができず声質が変わってしまうことがあります。
3.自然に治る?完全には治らないことも…
初期段階や症状が軽い場合には自然治癒することもあります。
ただし年齢を重ねるごとに自然治癒力は衰えていくので、治りは遅くなります。
高齢の場合は声帯が委縮することで隙間ができている場合が多く、そこから息が漏れてかすれたような声になり、完全には治らないこともあります。
症状がひどいときには、外科的手術を行って完治をはかります。
声帯結節の治療法。薬と手術について解説
1.どんな場合に治療が必要?
声帯結節は自然治癒も可能ですが、炎症が強かったり腫れていたりする場合は、積極的に治療をおこなう必要があります。
そのほか、のどの痛みがひどい場合や、声が枯れて出しづらい場合も治療が必要です。
治療は、声帯の状態を咽頭ファイバー(咽頭がんなどの有無を調べる検査方法)や顕微鏡で観察・検査をしてから始めます。
2.薬物療法による治療
声帯結節の薬物療法としては、『消炎剤』と、『ステロイド吸入剤』を利用することが多いです。これらを利用しながら経過観察し、できるだけ声帯を使わないように休めます。
のどを使わなくなったら治る人もいるので、まずは経過観察や薬物療法から治療を始める人がほとんどです。
生活や仕事に支障が出ることもありますが、声帯を休めなければ治らないため、休養は必要です。
薬物療法を実施してから数日たって状態がよくなれば、そのまま治ることが多いです。
3.手術療法による治療
薬物療法で良くならない場合やすぐに治したい場合は、結節を切除する手術をおこないます。
口から咽頭に向かって金属製の管を入れ顕微鏡で拡大し、声帯結節を確認しながら正確に切除していきます。
治療の方法や方針については、担当の医者と相談しながら決定していきましょう。
手術は全身麻酔でおこなうことが多い。入院は何日くらい?
手術は、基本的には全身麻酔でおこないます。
手術の内容はポリープとほとんど変わりません。しかし、ポリープの場合は局所麻酔のみが多いのに対して、結節は基本的に全身麻酔です。そのため、結節の場合は入院が必要となります。
入院の期間は、術後2〜5日が目安ですが、体質や症状によってちがいます。
場合によっては日帰りでの手術が可能な場合もあります。医師と相談のうえ、決定するようにしてください。
手術後、2週間は声帯を安静に
傷口が開くのを防ぐため入院の有無に関わらず、手術後1週間程度は「沈黙期間」が必要です。沈黙期間とは、「声を発しない期間」のことです。
声を出せないのはつらいですが、傷口を広げず、しっかりと治すためになんとか耐え抜きましょう。
「沈黙期間」のあとは?
沈黙期間のあとも、2週間程度は声を張り上げたり大声を出したりすること、カラオケなど長時間の発声をしたりすることは避けなければなりません。
この間は、内服薬を服用して経過を観察します。
声帯を安静に保つことが完治へのポイント
思うように声を発することができないのはつらいことですが、この期間を耐えることが完治への重要なポイントです。
安静の期間を守らなければ、後遺症が残ることもあるので十分な注意が必要です。
入院の有無や日数に関わらず、この期間は設けられます。人によって期間はちがいますが、ここはしっかりと耐えて治療に専念することが大切です。
声帯結節の予防と治療のために…気をつけること
1.ふだんから「声を休める期間・時間」をつくること
日常生活でそれほど声を酷使しなければ問題はありませんが、学校の先生や歌手など声を酷使する環境にある人はとくに気をつける必要があります。
2.気になる症状があれば耳鼻いんこう科へ
声がかすれるなどの気になる症状があれば、早めに『耳鼻いんこう科』を受診することも大切です。
早めに病院へ行って薬物療法をおこなうことが、その後の症状の悪化を食い止めることにもつながります。
まとめ
声帯結節は、声帯ポリープとも似ていますが、のどの状態や手術の方法などが少しずつ変わってきます。
いずれにせよ、声の酷使によって発症することが多い病気です。「日常生活で声をよく使っている」という自覚があれば、必ずのどを休める期間・時間を設けましょう。
くわしいことは医師に確認し、相談しながら適切な治療をおこなうことが大切です。
執筆・監修ドクター
経歴2002年5月 昭和大学藤が丘病院 消化器外科臨床研修医
2004年5月 昭和大学藤が丘病院 消化器外科助教(院外)
2006年6月 幕内会 山王台病院 外科
2007年6月 昭和大学藤が丘病院 消化器外科助教
2008年6月 関東労災病院 外科
2009年6月 昭和大学藤が丘病院 消化器外科 助教
2012年10月 横浜旭中央総合病院 外科、昭和大学藤が丘病院 兼任講師
2017年11月 しらはた胃腸肛門クリニック横浜を開業、院長に就任
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