手首の腱鞘炎はどう治療する?簡単ストレッチも紹介

『腱鞘炎(けんしょうえん)』は、手首を動かしたときに痛みや違和感が出る病気です。
おもな原因は、手首や指の使いすぎによるものです。
そのため、パソコンやスマートフォンから、スポーツや楽器をする人などに多く見られるのが特徴です。
この記事では、手首の『腱鞘炎』の症状や対処法などについて解説しています。
手首が痛い!腱鞘炎について
腱鞘炎とは?

腱鞘炎を一言でいうと
『腱鞘炎』は、手首や指の「腱」と「腱鞘」が擦れ合うことで起こる炎症です。
「腱」と「腱鞘」の役割って?
腱は、ヒモのように細いもので、筋肉と骨をつなげる役割をしています。
腱鞘は、腱が通るトンネルのようなもので、腱が浮き上がらないように骨までくっついて着しています。
腱鞘炎は、場所によってよび方がちがう!
指であれば『ばね指』、手首であれば『ドケルバン病』『狭窄性腱鞘炎』とよばれています。
『テニス肘』は腱鞘炎なの?

『テニス肘』 はテニスによって肘部に生じる疼痛性運動障害で、腱の付着部に炎症(付着部炎 )を起こしている状態です。
着部炎症とは「骨と腱・靭帯の接着部分」に炎症が起きている状態で、腱と腱鞘の間に生じる腱鞘炎とは異なります。
手首の腱鞘炎の原因は?
手や指の使いすぎが原因

腱鞘炎の原因は、手や指を使いすぎていることです。
手や指を酷使すると、腱と腱鞘が擦れあう回数も多くなって炎症を起こしやすいからです。
こんな人は特に腱鞘炎に注意!
- パソコンやスマートフォンの使いすぎで手首や指に負担がかかっている場合
- 育児など期間は限定されているものの、負担が大きい場合
- スポーツをしている人 (テニス・卓球・バトミントンなど)
- 楽器をしている人 (ピアニスト・弦楽器演奏者など)
女性特有の変化が原因になることも!

妊娠出産期や更年期といったホルモンバランスの変化も一つの原因です。
プロゲステロンの働きで動いた骨盤や骨は、妊娠後に元の位置に戻ろうとするため体の腱を縮める作用があり、この状態で手や指を使うと腱鞘炎が起こりやすいと言えます。
また更年期はプロゲステロンがほとんどなくなるため、腱が硬くなり腱鞘炎を起こしやすくなります。
糖尿病

糖尿病の方は、腱鞘に病変をきたしやすくなっています。
そのため手指の曲げ伸ばしがスムーズにいかず、腱鞘炎を起こすリスクが高いと言えます。
透析

腎臓機能が弱まるため、アミロイドという物質が関節周囲・靭帯・骨に沈着して腱鞘炎を起こしやすくなります。
腱鞘炎の症状とは?どのように進行する?
手や指を使わないときには痛みは出ません

基本的に、腱鞘炎は手や指を使わないかぎり痛みは出ません。
筋肉にも痛みが出ることはないでしょう。
手や指を動かした際にあらわれる症状は?

手首や指を動かした際に、違和感や痛みが出ます。
「手首が痛くて前後左右に動かせない」「指が曲がりづらい」「曲げると手首のあたりが痛くなる」といった症状は腱鞘炎の可能性があります。
腱鞘炎はこのように進行します

腱鞘炎の初期症状は、指や手首の使用中の不快感から始まりますが、特にピンポイントで痛い場所がわからなかったり、痛みが継続することは少なかったりします。
だんだんと痛みが継続し、痛い場所もわかってきます。
末期症状になると神経が麻痺して痛みを感じなくなることもあります。
腱鞘炎で手首が痛いときの対処法
手首や指を使うときは、時間を区切って休憩を

仕事や部活などで、どうしても手首や指を使わなければならない場合は、必ず休息の時間をとるようにしてください。手首や指を使いすぎることは、腱や腱鞘にも負担になります。
作業やスポーツなどは、1時間ずつ時間を区切るようにしましょう。
手首のストレッチを取り入れてみる

手首や指のストレッチ を日常的に取り入れるのも有効です。筋肉をほぐすことで負担を軽減できるでしょう。
やり方としては痛むところを押しながら指を曲げ伸ばししたり、痛い指を引っ張ったりします。また、引っ張った状態を保つストレッチもあります。
とくに運動や楽器などをする人は、必ず前後にストレッチを取り入れてみてください。
テーピングやサポーターをするのも!

一部分だけを安静にする場合にはテーピングなどの方法も有効です。
指であればテーピング、手首ならサポーターやリストバンド をするとよいでしょう。
腱鞘炎の治療は、日々の積み重ねが大切

腱鞘炎は、一度発症してしまうとなかなか治りづらく、悪化や再発が多いのが特徴です。
「手首の使いすぎに気をつけ、休憩をとる」「ストレッチをおこなう」など、できることを取り入れながら発症や悪化を防いでいきましょう。
腱鞘炎とまではいかなくても、日ごろから手首を酷使している人は気をつける必要があります 。
病院でうける腱鞘炎の治療方法について
病院を受診するときは何科を受診するべきか、診断。治療はどのようにおこなわれるのかなどについて解説します。
病院を受診するにあたって。何科を受診すべき?
整形外科を受診しましょう

病院は『整形外科』を受診しましょう。
どうしても近くにない場合は、総合病院もふくめて探してみてください。
ほかの病気の可能性もないとはいえません

手や指の関節が腫れたり、動かしにくいと感じたりする病気はほかにもあります。
『関節リウマチ』『変形性関節症』『キーンベック病』 などの可能性もないとはいえません。
これらは放っておくと指が自由に動かなくなるリスクがあるので、痛みが続く場合には一度医師に相談しましょう。
病院での診断は、どうやっておこなわれる?
診断の方法は問診と視診が中心

日ごろの症状について質問に答えたり、痛みや腫れの状態を見たりして、腱鞘炎かを判断します。
また、腱鞘炎がどのくらいの程度のものなのかまでわかります。
腱鞘炎だと診断されたら

腱鞘炎だと診断されたら、手首や指をできるだけ使わないようにすることが大切です。
それまで酷使していたとしても、思い切って休息をとるようにしましょう。負担を軽減するだけで手首や指が楽になることがあります。
少しでも症状をやわらげるためにも、痛みをくり返さないためにも、無理のない範囲でストレッチをおこなうようすすめられるでしょう。
痛みや腫れが強い場合の治療方法
まずは、『保存療法』からスタート!

まずは保存療法で改善を目指します。
痛みや腫れが強い場合は、湿布や塗り薬だけでなく、内服薬を処方されることもあります。
それでも改善がみられないときは「ステロイド注射」で炎症を抑え、改善をめざします。通常、内服はせず注射をおこなうのが一般的です。
重度の腱鞘炎の場合は手術も

保存療法で改善が見られない場合や、病院を受診した時点で重度の腱鞘炎である場合には外科的手術をおこないます。
どんな手術をおこなうの?

腱を圧迫している腱鞘を切り開き、腱と腱鞘が擦れ合わないようにする手術をおこないます。
局所麻酔を用いて1~2cmの切開なので、10~20分程度で終わるでしょう。それほど難しくない手術だといえます。
まとめ
腱鞘炎は、手首や指の腱と腱鞘が擦れて摩擦することで炎症を起こします。
手首や指の使いすぎがおもな原因で、パソコンやスマートフォンをよく使う人、スポーツや楽器をする人などに多く見られます。
一生を左右するほどの病気やケガではありませんが、一度発症してしまうと完治しにくく知らない間に悪化してしまうことがあるので注意が必要です。
手首に痛みを感じる方は早めに病院に相談しましょう。
執筆・監修ドクター
経歴1995年 昭和大学卒業(形成外科)
1996年 慶應義塾大学(整形外科) ※以後、関連病院にて脊椎専門にて勤務医
2010年 久我山整形外科ペインクリニック 開院
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