大人の溶連菌感染症の3大症状は?仕事の復帰時期、治療法を解説!
【医師監修】
溶連菌感染症は、大人が発症することもあり、「のどの痛み」「発熱」「発疹」が3大症状です。会社は、抗菌薬を服用してから最低でも2~3日は休んで、安静にしましょう。
『溶連菌感染症』は、子どもだけでなく、大人も感染・発症する病気です。
大人の場合、病院は耳鼻いんこう科を受診することをおすすめします。
お子さんが感染・発症した場合、免疫力が弱っている場合、持病を持っている場合は、発症する可能性があります。
この記事では、大人の溶連菌感染症の原因や症状、治療などについて解説します。
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溶連菌感染症は大人もかかる!
溶連菌感染症は、「溶連菌」という細菌に感染することによって発症する病気のことです。
ほとんどは、子どもが発症する病気ですが、持病を持っていたり妊娠中であったりなど、免疫力が低下している場合には大人にも感染することがあります。
1.大人の溶連菌感染症の症状
おもな症状は「のどの痛み」「発熱」「発疹」
のどの痛み・発熱・発疹の3つが溶連菌感染症のおもな症状とされています。
発熱は40度近くなることもあり、注意が必要です。また、発疹は、胸部・腹部・手足などに赤くて小さいものができ、かゆみをともなうこともあります。
子どもと大人の症状の特徴に大きな差はなく、ほとんど一緒です。
溶連菌感染症は、おもに「のど」から感染する
溶連菌は、おもに「のど」から感染して、『咽頭(いんとう)炎』や『扁桃(へんとう)炎』などを引き起こします。
長い間、のどの痛みがとれず、風邪のときよりも痛みがひどい場合は、溶連菌感染症が考えられます。
舌に異変!?「いちご舌」ってなに?
体だけでなく、舌にも舌が真っ赤になる「いちご舌」といわれる発疹の症状が出ることもあります。
舌が赤くなるだけでなく、表面がいちごの表面と同じようにブツブツしてしまうことがあるでしょう。
その他の症状は?
ほかにも、度合いによって、頭痛・腹痛・倦怠感・食欲不振などの症状があらわれることもあります。
2.大人の感染で多いケースは?
大人が感染するのは、以下のケースが多いです。
・お子さんが感染・発症した場合
・持病を持っている場合
・健康体でも一時的に疲れや体調不良で免疫力が低下している場合
・妊娠中の場合
3.溶連菌感染症の感染経路
おもに「せき」や「くしゃみ」によって感染!
子どもも大人も共通していますが、溶連菌を含んだ「せき」「くしゃみ」などのしぶきを吸い込むことで感染することが多いとされています。
いわゆる「飛沫感染」です。
食べ物から感染することもある!?
溶連菌は「α溶血」と「β溶血」に分かれますが、βのなかでもA、B、C、G群があります。
このなかで、A群といわれる溶連菌は、食品中でも増殖します。
そのため、感染者の「せき」や「くしゃみ」、唾液が食べ物に触れることによって、他の人へ感染することがあります。
発症が確認できている人と、同じ箸を使うのはひかえた方がよいでしょう。
4. 免疫力が低下していると「合併症」の可能性も
合併症として考えられる病気は?
合併症としておもに考えられるのは、肺炎・髄膜炎・敗血症などです。
『リウマチ熱』など、関節が炎症を起こすことも考えられるほか、血尿・むくみ・高血圧などの症状が出る『糸球体腎炎』も合併症として発症する恐れがあります。
リウマチ熱と糸球体腎炎は、重症化した場合、長期間つき合っていく病気になりかねないため、じゅうぶんに注意が必要です。
合併症を防ぐにはどうしたらいい?
持病がある、もともと免疫力が低いなど、特例がある場合は、とくに気をつける必要があります。
しかし、溶連菌感染症だとわかった時点で正しく治療すれば、大事に至ることはありません。
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大人が溶連菌感染症にかかったら。対処法
1.病院は何科を受診する?
溶連菌感染症はのどからの感染症なので、『耳鼻いんこう科』を受診するようにしましょう。
しかし、耳鼻いんこう科が近くにない場合や急を要する場合は、近くの内科や総合病院でも診てもらえます。
場合によっては、病院を紹介してもらうこともできます。
気になることがあれば、まずは早いうちに病院を受診することが大切です。
2.溶連菌感染症の検査方法
まずは問診で、溶連菌感染症の症状が出ているかを確認します。
発症している可能性がある場合は、のどに溶連菌が存在しているかを検査する必要があります。
のどの表面から菌を摂取して調べる
綿棒でのどの表面から菌を摂取して調べる場合、15分前後で検査結果が出ます。
これは、溶連菌感染症のみの検査ですので、ほかののどの病気や、細菌感染について調べることはできません。
採取した菌を育てて確認する検査(咽頭培養)
咽頭培養の検査も、のどの表面から菌を摂取することは同じですが、それを育てて確認するため、溶連菌以外の細菌やウイルスも発見できます。
しかし、培養に時間が必要であるため、結果が出るまでに数日が必要です。
さらに、検査前に溶連菌の抗菌薬を服用していると、ほとんどの場合培養ができず、正しい診断にはなりません。
3.溶連菌感染症の治療
抗菌薬で治療をおこないます。抗菌薬にはいくつか種類がありますが、医師の判断に従ってください。
とくに、菌がなくなるまで服用を続けることが大切です。
途中で服用を止めてしまうと、症状が悪化することや、治らないままになってしまうことがあります。
潜伏期間と治療にかかる期間。会社は出勤していい?
1.溶連菌の潜伏期間
溶連菌の潜伏期間は2~5日ほどで、その日数は人によって異なります。
2.治療期間
抗菌薬の種類や、症状、度合いによってもちがいますが、治療期間は5日〜2週間程度だと考えてください。
決められた期間、抗菌薬をきちんと服用することが大切です。
3.会社はいつから出勤できる?
抗菌薬を服用してから、最低2~3日は安静が必要です。
抗菌薬を飲んで丸1日経てば、人への感染力は失われるといわれています。しかし、当人の症状が治らないことには仕事復帰はできません。
少なくとも発熱がおさまり、発疹が出ている場は、症状がやわらぐまでは待ちましょう。のどの痛みは長引きやすいですが、1週間前後でおさまってくるでしょう。
まとめ
溶連菌感染症は、おもに子どもに感染・発症する病気ですが、大人でも発症する可能性はじゅうぶんにあります。
お子さんがいらっしゃる方・免疫力が弱っている方・持病を持っている方は日ごろから気をつけましょう。
おもな症状としては、「のどの痛み・発熱・発疹」が考えられますが、まれに重症化し合併症を引き起こすこともあります。
治るまではきちんと抗菌薬を服用し、数日間は安静にすることが必要です。
執筆・監修ドクター
経歴2006年 北里大学大学院卒、
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任。
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
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