大人の水疱瘡の症状は?治療期間はどれくらい?妊婦のリスクについても解説
『水疱瘡(みずぼうそう)』は、幼児期の子どもに多くみられますが、大人が感染することもあります。
大人が感染した場合は、症状がひどく、重症化や合併症も起こりやすいとされています。
また、妊婦が感染した場合は胎児にも影響が出ることがわかっています。
この記事では、大人が水疱瘡に感染した場合の症状や治療、仕事の復帰時期などについて解説しています。
大人の水疱瘡の特徴は?潜伏期間や重症化のリスク
まず、大人が水疱瘡に感染したときの特徴について解説します。
1.大人の水疱瘡は、重症化しやすい
大人が水疱瘡に感染すると…?
大人が水疱瘡のウイルスに感染すると、帯状疱疹(体の左右どちらかに赤い斑点と小さな水ぶくれが帯状に表れる)が出たり、喫煙者の場合は合併症を引き起こすリスクが上がったりと、重症化しやすいと言われています。
潜伏期間は?
水疱瘡の潜伏期間は2週間程度(10~21日)です。
免疫不全の疾患をもつ患者の場合は長くなることがあるといわれています。
高齢の場合はとくに注意が必要です
高齢になると帯状疱疹の感染率が高まるといわれています。
一度も発症したことがなく、免疫がない場合は、水疱瘡にかからないよう注意が必要です。
2.発症の経験がなければ、予防接種を
水疱瘡を発症したことがある場合は、予防接種を受ける必要はありません。
しかし、予防接種を受けていないまま発症したことがない場合、水疱瘡にかかりやすく、重症化する可能性が高くなります。
そのため発症したことがない場合は、予防接種を受けることがすすめられています。
大人の水疱瘡の症状。初期~進行した場合は?
1.初期症状
発疹の前に、発熱と全身の倦怠感があらわれることも
大人の水疱瘡の場合、発疹の1~2日前に発熱と全身の倦怠感があらわれることがあります。
発疹は頭から順にあらわれます
発疹は数日にわたって、頭皮→体幹(胴体部分)→四肢(両手・両足のこと)の順にあらわれ、体幹にもっとも多くみられます。
発疹は段階によって変化します
発疹は以下の順に変化しますが、次々とできるため段階の異なる発疹が混在しています。
- 紅斑(こうはん)…毛細血管の拡張などが原因でできる赤い発疹
- 丘疹(きゅうしん)…皮膚から隆起する針の頭から米粒ぐらいの大きさの発疹
- 水疱(すいほう)…皮膚の表面にさらさらとした水分がたまってできる水ぶくれ
- 痂皮化(かひか)…皮膚が傷ついたことにより、血液や膿が乾燥して固まったかさぶた
2.進行した場合の症状
発疹が粘膜にあらわれることや発熱することも
水疱瘡の症状が進行してくると、発疹は鼻の中・咽頭・気道・膣などの粘膜にもあらわれることがあります。
倦怠感やかゆみ、38度前後の発熱が2~3日続くのが一般的な症状です。
合併症を起こす可能性も高くなります。
合併症を引き起こす可能性も高くなり、皮膚の二次性細菌感染(掻きむしることで細菌が広がり他の部位にも炎症や発疹が起こる)・脱水症状・肺炎・中枢神経合併症などを引き起こします。
3.妊婦が感染したら?胎児への影響
胎児に影響がでる可能性があります
妊婦が水疱瘡に感染した場合、症状が重くなると胎児に影響がでることがあります。
妊娠初期に感染すると、奇形や知能障害をおこす可能性があるでしょう。
また分娩1週間前に感染すると、胎児が重症の肺炎となり死亡率が高くなることがわかっています。
妊娠を希望している女性は、予防接種を
妊娠の希望がある女性で、水疱瘡にかかったことがない場合は注意が必要です。
予防接種は、受ける1か月前と接種後2か月は避妊する必要があります。
そのため妊娠を望んでおり、なおかつ水疱瘡にかかったことも予防接種を受けたこともない方は、速やかに予防接種を受けることをおすすめします。
大人の水疱瘡の治療について。何科を受診する?
1.受診のタイミングについて
大人の場合、初期の段階のうちに治療薬を服用する必要があります。
初期症状が風邪と似た「倦怠感」や「発熱」であることから、水疱瘡と気づかないこともあります。
そのため、発疹が出たらすみやかに病院を受診するようにしましょう。
2.大人の水疱瘡は何科を受診すべき?
大人の水疱瘡は皮膚科を受診してください。
感染力が強いため、水疱瘡の疑いがあれば事前に病院へ連絡しておくほうがよいでしょう。
3.大人の水疱瘡の治療法
体内のウイルス増殖を防ぐ「抗ウイルス剤」
体内のウイルスが増えるのを防ぐ、『抗ウイルス剤』が処方されます。
ウイルスが全身に広がるのを防ぐためにも、発症してから早い段階で飲み始める必要があります。
水疱瘡が疑われたらすみやかに病院を受診しましょう。
かゆみをやわらげる「抗ヒスタミン剤」
水疱のかゆみをやわらげるために『抗ヒスタミン剤』が処方されます。水疱をひっかいてしまうと細菌感染してしまうため、ひっかいてしまわないよう、注意してください。
化膿止めや軟膏など
発疹が膿んで赤く腫れてしまった場合、化膿を予防するための「化膿止め」や、かゆみや炎症を抑える「軟膏」を処方されることもあります。
4.自宅で気をつけること
水疱をつぶしてしまわないように注意しましょう
引っ掻いてしまうと他の部位にウイルスが広がったり、人に接触してうつしてしまったりする可能性が高くなります。
水疱はひっかいてつぶさないよう注意しましょう。
薬を塗る前と塗ったあとは手を洗いましょう
薬を塗った手にもウイルスがつく可能性があるので、薬を塗るときと塗ったあとは、手や指をきれいに石けんで洗って、よくすすぐことが大切です。
発疹があるうちは湯船につかるのはひかえましょう
熱が下がっても、発疹があるうちは湯船につかるのはひかえましょう。かゆみがひどくなることがあります。
さっと汗を流すだけにしておくと、かゆみが少なく、化膿しにくくなります。
また、お風呂は感染することがあるため、最後に入るようにしましょう。
自己判断で解熱剤を使用しないようにしましょう
高熱が出たときなどに、自己判断で解熱剤を使用しないようにしましょう。
成分によっては、『脳症』が引き起こす場合があるため、医師に相談することが大切です。
大人の水疱瘡の治療期間は?仕事はいつから?
1.治療期間の目安
自宅療養は、おおよそ1週間ですが、個人差もあります。
大まかな目安としては症状をみて医師が判断するので、診察を受けてみましょう。
2.仕事や外出は、発疹がすべて「かさぶた」になってから
全身の発疹の状態をよく観察して、すべて「かさぶた」になっていれば感染する可能性はないといえます。
この時点で外出はできますが、体力が回復していないこともあるため無理をしないようにしてください。
まとめ
水疱瘡は、大人が感染すると症状が重症化しやすいため注意が必要です。
とくに、妊娠中に水疱瘡に感染すると、胎児に影響が出ることがわかっています。妊婦や妊娠を希望している女性は、感染予防のためにも水疱瘡の予防接種を受けておくことが大切です。
感染力が強い病気ですので、一度もかかったことがない人も予防接種を受けておいたほうがよいでしょう。
執筆・監修ドクター
経歴北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
を経て横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長 就任
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