耳そうじやイヤホンで耳の中がカビる!?「外耳道真菌症」とは
耳の中は、とてもデリケートです。
毎日耳そうじをするのが習慣になっている…という方、ご注意ください。耳そうじやイヤホンの使用によって、耳の中が「カビ」てしまう病気があるのをご存知でしょうか?
こちらの記事で紹介する「外耳道真菌症(がいじどうしんいきんしょう)」は、そうした日常にごくありふれた行動が原因で発症する病気です。
外耳道真菌症とは
原因は、耳の中でカビが発生してしまうこと!
外耳道真菌症は、耳の外側部分にあたる『外耳道』に真菌が発生することで起こる病気です。真菌とはいわゆる「カビ」のことです。
外耳道の皮膚は薄く、刺激に対して敏感です。耳かきや爪などで引っ掻いたりすると、外耳道に小さな傷ができます。その傷が炎症を起こすと「外耳炎(がいじえん)」になります。
そこへカンジダや、アスペルギルスなどの真菌が感染して増殖してしまうことによって、外耳道真菌症は発症します。
感染のきっかけは免疫力の低下!
こうして感染する真菌ですが、実は空気中にたくさん存在しています。
ふつうは、真菌が体の中に入ってきたとしても免疫力や抵抗力で、真菌を退治することができます。
しかし、睡眠不足や疲労、病気やストレスで抵抗力が弱まっていると、感染してしまいます。
一度感染してしまうと、真菌は繁殖を繰り返しながら広がっていきます。
おもな症状
以下の症状が外耳道真菌症の主な症状です。
耳の中が痛い、かゆい
耳だれが出る
耳が詰まる(閉塞感)
白・黒・黄色などの菌糸を含む耳あかが出る
外耳道が腫れる
要注意!かかりやすいのはこんな人
イヤホン・ヘッドホンの長時間使用している人
イヤホンやヘッドホンを長時間使用している人は、外耳道真菌症になりやすいです。
カビは湿ったところを好んで繁殖します。イヤホンやヘッドホンをすることで耳の中の湿度が上がり、カビにとって好ましい環境が整えられてしまうのです。
耳かきを頻繁にする人
耳かきは耳の中を傷つけやすく、外耳道真菌症を発症するおそれがあるので注意しましょう。
外耳道真菌症の治療方法や期間
治療のながれ
カビの種類を特定する検査をうける
まず、医師による検査を受け、カビの種類を特定します。
カビの除去
その後、外耳道に繁殖したカビをキレイに取り除いて、カビの生育を妨げる抗真菌剤を塗る治療法が一般的です。
症状によっては、一定の時間、薬で外耳道を満たす治療である、『耳浴(じよく)』と呼ばれる治療も行います。
すぐに医療機関で相談を!カビが繁殖を続けてしまう
真菌は、放置していると外耳道で繁殖し続ける可能性があります。
耳の中が痛くなったり、かゆみがあったりしたら素人判断で市販薬などは使用せず、早めに耳鼻いんこう科を受診してください。
治療期間の目安
治療期間は通常1か月~数ヶ月です。
真菌は、炎症を起こす細菌の中でも繁殖力が強いので、少しでも残っているとそこから再度繁殖します。
症状が治まったと自己判断して通院をやめてしまうことはNGです!
短期間で再発してさらに治療期間が長くなってしまう例も少なくありません。耳鼻咽喉科で、完治の診断を受けるまで根気よく通院することが大切です。
治療中に注意すること
耳の中を乾燥させる
治療中はなるべく耳の中を乾燥させるよう心がけて下さい。真菌はジメジメした湿気のあるところを好みます。
イヤホンやヘッドホンは耳の中の湿度をあげてしまうので、できるだけ控えるようにしましょう。
以前使っていた耳かきや綿棒を使用しない
また、今まで使っていた耳かきや綿棒などは真菌が付着している恐れがあるため、処分してください。
まとめ
耳掃除のやり過ぎやイヤホンの使用が、病気の原因になるなんて驚きですね。
耳をきれいにするための耳掃除で、かえって菌を繁殖させてしまうようでは本末転倒です。
耳には「自浄作用」といって、ゴミが入らないようにしたり、きれいな状態を自ら保つようにしたりする機能があるので、頻繁に掃除をしなくても十分健康状態を保てます。
もし、痛みやかゆみ、ただれなどの症状が出てしまった場合は、我慢せず医療機関で相談するようにしてください。
執筆・監修ドクター
経歴聖マリアンナ医科大学 卒業
聖マリアンナ医科大学附属病院 耳鼻咽喉科学教室入局
町田市民病院耳鼻咽喉科
新小岩すばるクリニック 院長
2016年3月 三茶おはな耳鼻科 院長
ささづか駅前おはな診療所 開業
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