アルコール依存症の初期~後期の症状は?チェック項目も。病院は何科?
アルコール依存症とは、アルコールの量やタイミングなどを自分でコントロールできなくなる病気です。
大人であれば、アルコールを飲み酔っぱらったことのある人は少なくないと思いますが、それと依存症との違いや、アルコール依存症の症状については、わからないことも多いと思います。
この記事では、アルコール依存症の症状について詳しくお伝えします。アルコール依存症かどうかのチェックもできるので、ご自身やご家族、パートナーに疑いのある方は参考にされてください。
アルコール依存症とは?初期、中期、後期までの症状について
1.アルコール依存症とは
アルコール依存症とは、お酒を飲む時間や量などを自分自身ではコントロールできなくなる病気です。
精神疾患の一つで、飲酒行動を繰り返してしまう症状が見られます。アルコールを摂取することで、自分にとって不利益になるとわかっていても、お酒を飲むことがやめられないため、完治することは難しいと言われています。
2.初期
アルコール依存症になると初期には以下のような症状がみられます。
- お酒が飲める時間になるまで落ち着かない
- 飲まないと寝られない
- アルコールが入っていない状態では、寒気や吐き気など、風邪のような症状があらわれる。
3.中期
症状が進行するにつれて、アルコール依存症の離脱症状があらわれます。アルコールを飲むことで症状は落ち着くため、飲酒を繰り返すという悪循環に陥ります。
- アルコールが切れた時にイライラする
- 手が震える
- 不安になる
- 寝汗をかく
4.後期
さらに症状が進行すると、以下のような症状があらわれ、社会生活に支障をきたすことも出てきたり、命の危険を伴う場合もあります。
- 幻視(見えないものが見える)
- 幻聴(聴こえないものが聴こえる)
- うつ症状
- 記憶障害
- 肉体的な異常(吐き気や胃痛、動悸、高血圧、肝臓障害など)
どういう人がかかりやすい?
1.中年男性に多い
アルコール依存症は、男女差や年齢は関係なく誰でもかかる危険性があるといわれていますが、中年の男性に特に多いといわれています。
2.若い女性のアルコール依存症も増えている
しかし、最近では若い女性にも増加している傾向があります。それは、同じ飲酒量なら女性の方がアルコール代謝能力が低く、血中濃度が高くなりやすいため、飲酒量が男性ほど多くなかったとしても、アルコール依存症になりやすいと言えるのです。
アルコール依存症の症状チェック
次の項目であてはまるものが多い場合は、アルコール依存症の疑いがあります。
3個以上あてはまる人は要注意と考えてよいでしょう。
周囲の人から飲みすぎといわれることが多い | |
お酒を飲まないと眠れない | |
二日酔いで仕事を休んだことがある | |
昼間からお酒を飲みたくなることが多い | |
お酒を毎日飲まないと落ち着かない | |
体調が悪い時でもお酒を飲むことがある |
アルコール依存症の治療について
1.何科にかかればいい?
アルコール依存症の治療には、心理的および社会的な治療が必要であるため、主に精神科や心療内科で行います。
さらにアルコール依存症による合併症(胃炎、膵炎、肝硬変、心筋症など)がある場合は、内科での治療も必要な場合があります。
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2.患者自身にアルコール依存症を自覚させる
アルコール依存症は自覚していることがほとんどありません。まずは、患者自身にアルコール依存症であることを認識させることから始める必要があります。
本人が治療を嫌がる場合も多々見られるケースです。その場合は、職場からの業務命令として受診するよう促してもらうか、かかりつけの医者から専門の治療期間の紹介状を書いてもらい、専門機関を受診するなどの方法があります。
3.アルコール依存症…完治する?
治療を行えば、安定した飲酒生活を送ることは可能ですが、再発しないとは言い切れません。
そのため、完治すると言い切ることが難しい病気です。
アルコール依存症は再発しやすい病気であることを常に理解しながら、病気と付き合っていくことが重要です。
4.治療後のお酒との付き合い方
治療直後は断酒します。回復の傾向が見られても、再飲酒することで、症状が再発することが多々あるため、通常再飲酒を医師から勧めることはありません。
何度もリハビリを重ね、2~3年、また、それ以上の長い年月をかけてようやく安定した生活を送れるようになるケースがほとんどといえます。
5.アルコール依存症の家族の役割とは
家族は本人以上に苦労をする
アルコール依存症患者を抱える家族は、患者の治療において本人以上に苦労することがある病気といえます。
機能不全家族の中で育つがゆえ、アダルトチルドレンと呼ばれる状態になることが多くあります。しかし、家族の協力なくしては、アルコール依存症患者を治すことは難しいといえるでしょう。
アルコール依存症の症状の一つに、飲酒をしないと暴れるなどの症状があり、一時的であっても症状を抑えるために、家族が飲酒できる環境にしてしまうこともあります(共依存)。
家族はまず、本人の飲酒問題は本人の責任として、飲酒を助長するような行為は一切しないことを徹底しましょう。
アルコール依存症の家族のグループに参加し、一人で悩まない
病院や保健所、区役所や市役所など、アルコール依存症の家族が参加することのできるグループなどを斡旋してくれるところもあるので調べてみても良いでしょう。一人で悩まないことが大切です。
まとめ
アルコール依存症は、誰でもかかる可能性がある病気です。
また、一度かかってしまうと完治は難しく、症状が安定しても再発率がとても高いことも特徴です。
周囲に迷惑をかけることも多く、家族の協力がなければ治すことは難しいと言われています。
少しでもアルコール依存症の兆候が見られたら、すぐに飲酒を控え、可能性があることを頭に入れて対策を行うようにしましょう。飲酒に関する周囲からの言葉は素直に受け入れることが大切です。
執筆・監修ドクター
経歴1986年 浜松医科大学 ・同大学院修了 博士(医学)卒業
埼玉医科大学精神医学教室,
2003年 石心会狭山病院(現埼玉石心会病院)精神科部長,
2007年 医療法人弘心会 武蔵の森病院副院長
2011年 医療法人弘心会 武蔵の森病院 院長
2019年 日本医療科学大学兼任教授
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