大人が百日咳にかかったら!職場への対応は?症状と治療法について
百日咳は昔は子どもの病気だといわれていましたが近年では大人の患者数が増加しています。
また、子どもよりも大人の方が慢性化しやすいのも特徴です。
この記事では、百日咳に大人がかかったときの症状や「仕事はどうする?」など対処法について解説します。
大人の百日咳の症状と経過
1.百日咳は大人に増えている!
百日咳とは?咳の発作が続くのが特徴
近年では世界的な流行が認められる『気道感染症』で呼吸が苦しくなる痙攣性の咳発作が特徴です。
病名のとおり咳は百日ほど続いて回復するまでに2~3か月かかります。
15歳以上の患者数が全体の25%に
以前は子どもの病といわれていましたが、ワクチン接種をしていない人や接種しても経年によって免疫が弱くなった大人が発病することがあります。
2016年には15歳以上の患者数が全体の25%を占めたことで、2018年からは子どもの患者数だけではなく成人を含む患者数もカウントするようになりました。
冬だけでなく年間を通して感染のリスクが!
風邪やインフルエンザのように冬場だけではなく年間通して感染リスクがあり、2~5年の流行周期も見られます。
流行情報にアンテナを張って、咳が出たらマスクをして速やかに医療機関を受診することが大切です。
2.潜伏期間と症状の経過
潜伏期間
百日咳の潜伏期間は長く7~10日ほどあり、最大で3週間という報告も受けています。
潜伏期間とは百日咳の原因菌である『百日咳菌』に感染してから体内で活動し症状が出るまでの期間のことで、この間に特に症状はあらわれません。
カタル期
カタル期は約2~3週間続きます。
微熱や鼻水、咳などの軽い風邪のような症状で徐々に咳が激しくなっていきます。
風邪の症状にも似ているため診断も難しく、この期間に感染させてしまう恐れがあります。
頸咳期(けいがいき)
頸咳期も2~3週間続き、とくに夜間に短い咳が連続し息を吸うときにヒューと笛が鳴るような音がします。
慢性化するとこの症状が長引きます。
嘔吐や顔のむくみ、細かい点が集まったような『点状出血』や白目が赤く染まる『眼球結膜出血』『鼻血 』などの症状が伴う場合もあります。
回復期
頸咳期のときの症状は消えますが、忘れたころに特徴的な咳が出ることがあります。
この期間も約2-3週間です。
大人が百日咳にかかったときの対処法。仕事はどうする?
1.他人にうつる?
感染した人の咳によって空中に浮遊した百日咳菌を吸い込み、それが口や鼻などの粘膜に付着することで起こる『飛沫感染』やドアノブや手すり・遊具・エレベーターのボタン・電車の吊り革など不特定多数の人が触れる部分に触れることで起こる『接触感染』によって人から人へうつります。
感染者との距離が近いほど感染のリスクが高くなるため、身近な人にうつさないための対策が必要になります。
2.家族への感染を予防する方法は?
もし感染してしまったらマスクを着用したり、こまめにしっかりと手洗いをしたりすることが感染拡大を防ぐ手段になります。
乳児の死亡率が高いので、とくに1歳未満児がいる家庭では感染させないように十分に配慮しましょう。
また、マスクを着用していないときに咳がでてしまったら「ティッシュやハンカチで口や鼻を覆う」「上着の内側や袖で口や鼻を覆う」といった方法も咳エチケットとして試してみて下さい。
3.仕事は休むべき?
上司と相談を!できるだけ欠勤することをおすすめします
百日咳と診断されたら、会社の上司に報告し「マスクを着用して出勤可能か」「医師からの許可が出るまで欠勤するのか」を相談しましょう。
とくに感染力の高いカタル期はもちろんのこと、咳が出ている間は感染の可能性があるので欠勤することをおすすめします。
職場から子どもへ感染が広がると重症化の恐れも
大人が感染しても重症化する恐れはほとんどありません。
しかし職場で感染が広がって家庭の小さな子どもへとうつると重症化するおそれがあるため、感染予防につとめることが大切です。
4.治療法について
治療法としては抗生物質の服用で菌の増殖を抑えることが有効です。
体外に菌を排出するためには2週間ほど継続して薬を飲み続ける必要があります。
市販の咳止めや風邪薬では効き目がないので、きちんと病院を受診して薬を処方してもらいましょう。
まとめ
大人の百日咳は重症化することは少ないのですが、とくに1歳未満の乳児は死に至るリスクも高い怖い病気です。
他人に感染させないように咳が出たらマスクをするなどして十分な配慮をして速やかに病院を受診しましょう。
また、診断されたら適切な薬を服用し会社の上司に報告をして「出勤して良いのか」を医師と相談することが大切です。
執筆・監修ドクター
経歴1996年 埼玉医科大学卒業
1997年 埼玉医科大学第一外科入(一般外科、呼吸器外科、心臓血管外科)終了
1999年 戸田中央総合病院心臓血管外科医として就職
2000年 埼玉医科大学心臓血管外科就職
2006年-2012年3月 公立昭和病院心臓血管外科就職
2012年4月 岡村医院、医師として勤務
2012年7月 岡村クリニック開院
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