
院長
三宅 豊
取材日:2021年10月15日
三宅 豊先生(日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医)にインタビュー
勤務医時代に得た糖尿病治療や人工透析治療の経験を糧に、父の医院を継承
医師を目指したきっかけや、糖尿病内科に進んだ理由を教えてください。
明確なきっかけがあったわけではないですが、父が医師をしていましたので、その姿を見て育ったというのが大きいと思います。患者さまから感謝されている姿を見て、子どもながらに「すごいな」と思っていました。
内科、とくに糖尿病内科を選んだ理由に関しても、父の影響があります。糖尿病だった父の大変そうな姿を見ていましたし、時代的にも糖尿病の患者さまが増えてきていましたので、同じように悩まれている患者さまのお役に立ちたいという思いで糖尿病内科に進むことを決めました。
内科、とくに糖尿病内科を選んだ理由に関しても、父の影響があります。糖尿病だった父の大変そうな姿を見ていましたし、時代的にも糖尿病の患者さまが増えてきていましたので、同じように悩まれている患者さまのお役に立ちたいという思いで糖尿病内科に進むことを決めました。
勤務医時代に力を入れたことや記憶に残っていることはありますか?
関西医科大学に入局してからは、糖尿病のグループに所属し、臨床のほか、研究にも携わりました。主に研究していたのは、スタチンやコエンザイムQ10などですね。投与することでどのような変化があるのかなどを研究していました。
また、人工透析グループも兼任していたため、糖尿病だけでなく人工透析も含めて幅広く経験できたことは、よかったことであり記憶に残っています。今でこそ糖尿病性腎症は人工透析が必要となる原因第一位の疾患となっていますが、当時は治療の流れなどがそこまで固まっていませんでした。そのため慌ただしさもありましたが、その経験をしたからこそ「人工透析治療を開始するタイミング」や「患者さまへの提案の仕方」「ほかのスタッフや医療機関との連携の重要性」などを学ぶことができたと感じています。
また、人工透析グループも兼任していたため、糖尿病だけでなく人工透析も含めて幅広く経験できたことは、よかったことであり記憶に残っています。今でこそ糖尿病性腎症は人工透析が必要となる原因第一位の疾患となっていますが、当時は治療の流れなどがそこまで固まっていませんでした。そのため慌ただしさもありましたが、その経験をしたからこそ「人工透析治療を開始するタイミング」や「患者さまへの提案の仕方」「ほかのスタッフや医療機関との連携の重要性」などを学ぶことができたと感じています。
そのような経験を生かして、三宅医院でも診療なさっているんですね。
そうですね。大学病院をはじめとした勤務医時代にいろいろな経験ができたことは、患者さまへのアドバイスや必要な治療を見極めるうえで生かされていると思います。とくに糖尿病は、合併症のリスクや動脈硬化に伴う心臓病や脳卒中のリスクが高くなる病気ですので、お酒やたばこを中心とした生活習慣のアドバイスには力を入れていますね。
お酒は、それ自体が悪いというよりも、飲むことにより気が緩んで食べ過ぎてしまったり、生活習慣が崩れてしまったりすることが、病気を進行させる要因となります。たばこは、ただでさえ肺に負担をかけているものなので、糖尿病や脂質異常症で動脈硬化リスクがある状態だと、さらにそのリスクを増大させてしまいます。「やりたいことができない身体にどんどん近づいていってしまいますよ」と、患者さまにはお伝えしています。ただ、いきなりすべてを禁止することは患者さまの負担になりますので、「とりあえずこれは続けよう」というように、いくつかに絞ってアドバイスするようにしています。
お酒は、それ自体が悪いというよりも、飲むことにより気が緩んで食べ過ぎてしまったり、生活習慣が崩れてしまったりすることが、病気を進行させる要因となります。たばこは、ただでさえ肺に負担をかけているものなので、糖尿病や脂質異常症で動脈硬化リスクがある状態だと、さらにそのリスクを増大させてしまいます。「やりたいことができない身体にどんどん近づいていってしまいますよ」と、患者さまにはお伝えしています。ただ、いきなりすべてを禁止することは患者さまの負担になりますので、「とりあえずこれは続けよう」というように、いくつかに絞ってアドバイスするようにしています。
「継続しやすいこと」を重視し、お薬の種類や服用回数にも配慮
力を入れている疾患について、1型糖尿病からお聞かせください。
1型糖尿病は、自己免疫疾患などが主な原因であり、2型糖尿病と違い生活習慣に関係なく発症します。また、その大部分は急性発症のため、基幹病院などで救急診療を受け、症状が落ち着いた後にご紹介されるというケースがほとんどです。ただ、中には「緩徐進行1型糖尿病」といって、2型糖尿病のような発症形式をたどる種類もあります。この場合、はじめは効いていたお薬がだんだんと効かなくなっていきますので、定期的にインスリン分泌や自己抗体の測定を行うことで見逃しがないように努めています。
治療を行う際に大切にしているのは、患者さまへのご説明です。1型糖尿病にはインスリン療法が不可欠ですが、それを受け入れられない患者さまもいらっしゃいます。日々の管理が必要になるため患者さまの負担は大きいですが、「生命を維持するために必要」だということをご理解いただけるように説明しています。
治療を行う際に大切にしているのは、患者さまへのご説明です。1型糖尿病にはインスリン療法が不可欠ですが、それを受け入れられない患者さまもいらっしゃいます。日々の管理が必要になるため患者さまの負担は大きいですが、「生命を維持するために必要」だということをご理解いただけるように説明しています。
2型糖尿病の方の診療で、気を付けていることなどはありますか?
2型糖尿病は、遺伝的素因のほか、運動不足や食べ過ぎなどの生活習慣が原因となって発症する病気です。糖尿病になっている日本人の多くは2型糖尿病ですが、その病態にはいくつものパターンがあり、お薬の種類もそれによって変わってきます。
お薬を処方する際に気を付けているのは、できるだけ患者さまの負担がないようにすることです。糖尿病のお薬には、「食前に飲む薬」「食後に飲む薬」「1日に2回飲む薬」「1日3回飲む薬」など、さまざまな種類があります。複雑すぎると服用が負担になってしまうため、できるだけ回数を減らしたり、複数の薬を処方する場合は同じ服用回数のものを選択したりすることで、受け入れていただきやすいよう配慮しています。また、薬が効きすぎて「低血糖になっていないか」を定期的に確認するようにしています。
お薬を処方する際に気を付けているのは、できるだけ患者さまの負担がないようにすることです。糖尿病のお薬には、「食前に飲む薬」「食後に飲む薬」「1日に2回飲む薬」「1日3回飲む薬」など、さまざまな種類があります。複雑すぎると服用が負担になってしまうため、できるだけ回数を減らしたり、複数の薬を処方する場合は同じ服用回数のものを選択したりすることで、受け入れていただきやすいよう配慮しています。また、薬が効きすぎて「低血糖になっていないか」を定期的に確認するようにしています。
脂質異常症の治療において、心がけていることなどがあれば教えてください。
脂質異常症の治療は、基本的にはガイドラインに沿って行っています。ただ、糖尿病を合併している場合は動脈硬化などのリスクがより高くなりますので、患者さまの状況に合わせて目標値を設定するようにしています。
治療の際に心がけているのは、お薬の必要性をご理解いただくことですね。脂質異常症は、食事中の飽和脂肪酸やコレステロールの摂り過ぎが原因とされており、過剰に摂取している方であれば、食事に気を付けていただくことで数値の改善を目指せます。ただ、日本の食生活の変化や食材の栄養価などを考えると、ある程度の数値までしか改善は難しいのではないかと考えています。そのため、食事に気を付けているにもかかわらず数値が改善しないという方には、お薬の必要性を丁寧にお話しするようにしています。
治療の際に心がけているのは、お薬の必要性をご理解いただくことですね。脂質異常症は、食事中の飽和脂肪酸やコレステロールの摂り過ぎが原因とされており、過剰に摂取している方であれば、食事に気を付けていただくことで数値の改善を目指せます。ただ、日本の食生活の変化や食材の栄養価などを考えると、ある程度の数値までしか改善は難しいのではないかと考えています。そのため、食事に気を付けているにもかかわらず数値が改善しないという方には、お薬の必要性を丁寧にお話しするようにしています。
かかりつけの医院として、コミュニケーションを大事にした診療を提供
糖尿病の治療において、医療業界内で期待していることはありますか?
糖尿病の根本的な治療として、すい臓からのインスリン分泌を復活させるための医療がより発展することに期待しています。現状は、すい臓移植や再生医療などがありますが、適応疾患や費用などの兼ね合いもあり、普及するまでには至っていません。研究段階のためわかっていない部分も多いですが、インスリンを十分に分泌できるようになれば、少なくとも高血糖が続く状態を短くできます。それにより、発症が遅くなったり、合併症のリスクを軽減できたりするようになるのではないかと考えています。
また、インスリンポンプの発達にも期待しています。すでに、昔と比べたらだいぶ良くなってきてはいますが、より小型化したり、埋め込み式になったりすれば、患者さまの負担を抑えられるのではないかと思います。
また、インスリンポンプの発達にも期待しています。すでに、昔と比べたらだいぶ良くなってきてはいますが、より小型化したり、埋め込み式になったりすれば、患者さまの負担を抑えられるのではないかと思います。
医院としては、今後どのように患者さまをサポートしていきたいですか?
糖尿病や脂質異常症をはじめとした生活習慣病の治療法やお薬は、年々新しいものが出てきています。そういったよりよい医療を患者さまにご提供できるよう、知識の習得を継続していきたいと思います。
実際の治療においては、これまでと同様に患者さまとのコミュニケーションを大切にしていきたいですね。お忙しい方も多いので難しい部分はありますが、気兼ねなく相談していただける関係を築くことで、より深く患者さまの健康をサポートしていきたいと考えています。
実際の治療においては、これまでと同様に患者さまとのコミュニケーションを大切にしていきたいですね。お忙しい方も多いので難しい部分はありますが、気兼ねなく相談していただける関係を築くことで、より深く患者さまの健康をサポートしていきたいと考えています。
このページをご覧になっている方へメッセージをお願いします。
糖尿病や脂質異常症はもちろん、そのほかの症状・疾患に関しても幅広く診療をしています。かかりつけの医院として、何でも相談していただければと思いますので、気になる症状があるはもちろん、「治療を続けるのがつらい」「お薬を飲みたくない」といった場合も気兼ねなくご相談ください。患者さま一人ひとりに応じた「治療のゴール」に向かって、一緒に頑張っていければと思います。