野口 誉生先生(日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医)にインタビュー
患者さまにとって負担の少ない検査環境づくりで、健康維持をサポート
また、胃炎の研究にも力を入れて取り組んできました。ピロリ菌が胃炎を引き起こし、それが胃がんの発症につながるという、メカニズムの研究です。こちらに関しても、当時はまだピロリ菌と胃がんの関係性が明確ではなかった時代でしたので、その確証につながる実験ができたことはとてもいい経験だったと思っています。
ただ、内視鏡検査に対して不安を抱えている方も多く、特に女性の方は恥ずかしさから大腸内視鏡検査に抵抗がある方も少なくありません。そういった抵抗感から検査を受けるのが遅れ、「もっと早く検査できていれば」と医師として悔しい思いをしたこともあります。そのため当院では、検査前の控室としてお手洗い付きの個室を用意するなど、より多くの方が検査にお越しいただきやすくなるよう環境づくりにも力を入れています。
医師として技術に慢心することなく、病気の早期発見・早期治療に努める
胃内視鏡検査の際は、逆流性食道炎が疑われる場合に確認する「胃と食道のつなぎ目」だけでなく、食道全体の色の変化などもしっかり確認するようにしています。また、治療に関しては症状が軽い方であれば生活習慣に関するアドバイス、症状が重い方の場合はそれに加えてお薬を処方するなど、患者さまに合わせてご提案しています。
もう一つ心がけているのは、当然ではありますが「病変を見逃さないこと」です。現在は、特殊光を利用した内視鏡検査機器なども出てきていますので、そういった機器も利用しながら注意深く検査しています。また、それと同時に「1回の検査で慢心しないこと」も医師として気を付けていることです。大腸のひだの裏にできた小さなポリープは、現在の検査方法ではなかなか見つけることができません。小さなポリープが大きくなるには数年かかりますので、患者さまにはその点もお伝えし、3年や5年ごとに検査を受けていただけるようお声がけしています。
治療は、基本的には飲み薬を使って行います。また、胃潰瘍を繰り返している場合など、症状や患者さまのご希望に応じてピロリ菌の除菌治療を行うこともあります。胃潰瘍は、重症化すると入院をして点滴治療が必要になったり、腹膜炎などの病気につながる可能性があったりと、放置することにリスクを伴う病気です。胃の痛みなどを感じましたら早めにご相談ください。
地域の皆さまが住み慣れた場所で不安なく暮らせるよう医療の面からサポート
「日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医」として、内視鏡の挿入角度に配慮したり、経鼻内視鏡や鎮静剤を使用して負担を和らげたりといった工夫をすることで、少しでも楽に検査を受けてもらいたいと思っています。それが、地域の皆さまの定期的な検査の受診につながり、さらには病気の早期発見・早期治療、健康維持につながれば大変うれしく思います。
城東区関目は、私が生まれ育った場所です。この地域にお住まいのお子さまからご年配の方まですべての方が、できる限り健康に暮らせるようサポートいたします。