
玉川 祐司先生(日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医)にインタビュー
丁寧な問診とお声がけ、臨機応変な対応で患者さまの苦痛を軽減
このようにさまざまな原因があるため、まずは問診を行い、症状や不快感が普段からあるか、それによって生活に支障が出ているか、食べる量に制限が出ていないか、睡眠障害が起きていないかなど、日頃の生活習慣について詳しくお聞きすることを大切にしています。そのうえで胃酸を抑えるお薬を処方しますが、同様の症状で胃潰瘍や胃がんを発症している場合もあるので、内視鏡検査を行ってリスクを見逃さないようにしていることも大切にしていることです。
内視鏡検査はカメラ自体が細く、嘔吐反射の少ない鼻からの検査をご提案しています。患者さまによっては花粉症で鼻がむくみ検査がしづらいという場合もあるので、そういったときには口から検査をするなど臨機応変に対応しています。
また便秘には、大腸にがんや炎症など何かしらの病変があって起こる器質性便秘と、そもそもの機能に問題がある機能性便秘があります。どちらの便秘かを判断するため、当クリニックでは大腸内視鏡検査を行っていますが、この検査はお尻からカメラを挿入するため、羞恥心や恐怖心がある方も多いかと思います。加えて、圧迫感や痛みを伴う場合もありますから、こまめにお声がけをすることで、リラックスして受けていただけるよう心がけています。
便潜血陽性となると、「痔があるから」「生理中だったから仕方ない」と勘違いされる方も多いです。しかし、大腸がんがあったり大腸ポリープからの出血だったりする可能性が高いので、お早めに受診していただければと思います。大腸内視鏡検査にてポリープが見つかった際にはその場で切除しますが、サイズが大きい場合は連携病院をご紹介したり、数が多い場合は2期的・3期的と回数を分けて行ったりするなど、患者さまと相談しながら治療方針を決定しています。
他の病気が隠れていないかを丁寧に探ることで、リスクの見逃しを防ぐ
治療の第1段階としてはこまめな運動を促したり、バランスの良い食事を摂っていただくようお話ししたりするなど、生活習慣の指導をしています。薬物治療は第2段階です。腹部超音波検査で脂肪肝の程度を確認したり、糖尿病を併発していないかを確認したりと集学的に診るよう心がけています。
ピロリ菌は胃潰瘍などの原因となる菌です。上下水道の衛生環境が十分でなかった時代に幼少期を過ごされている方の感染が多いですが、若い方でも感染されている方はいらっしゃいます。感染していてもご自分ではわかりにくいため、ABC検診などで陽性と診断され来院されるケースが多いです。
このような方に対して当クリニックでは、胃内視鏡検査を受けていただくようお願いしています。そうすることで胃がんなどの早期発見にもつながるからです。その後ピロリ菌の有無を検査し除菌治療へと進んでいく流れです。
専門分野として消化器内科を選択した理由は、口からお尻の穴までは一つの管なのに、所々で機能や構造・役割が違って、それぞれに応じて知識を深めるのは楽しそうだなと感じたからです。また、生きていくうえで必要な「食べる」という行為に対して何らかの原因で食べられない人もいれば、食べ過ぎて困ってしまう人もいて、その点も興味深く感じました。
あとは内科分野でありながら、内視鏡を用いたポリープの切除など、外科的な処置や検査ができるところも魅力だと思っています。病変を見つけて診断できる、外科の医師に正しくつなげられるのが消化器内科の強みであり、「日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医」としての専門性を生かせる部分だと感じています。
医療機関と連携し、小さなお子さまからご年配の方まで年代問わず診療
また、縁があってテキサス大学に3年ほど留学しました。アメリカにはいろんな国籍の方がいますし、さまざまな性格の方がいらっしゃいます。ときには英語が話せない方もいました。そんな環境の中で生活していましたから、度胸が身につき、予想外なことが起きても動じないようになりましたね。留学を機に「この症状であればこの治療をする」という固定概念がなくなり、臨機応変に対応するという現在の診療方針につながりました。
また、消化器内科の医師として、胃内視鏡検査や大腸内視鏡検査を通してがんを早期に発見し、治療につなげることで多くの方をサポートしてきました。今後も、患者さまを見放さず、「病ではなく人を診る」を信条に、一人でも多くの方の健康を支えられるよう尽力していきたいと思っています。
最後になりますが、「検査を受けたほうがいいかな」と考えているのであれば一度お越しください。ためらっていると、何か病気があったときに手遅れになってしまう可能性もあります。病院に来る少しの勇気に期待していますし、ご相談にいらした方にはできるかぎりの手助けをさせていただきます。
(※)は、お住まいの市区町村によっては補助制度を利用できます。料金は料金表をご確認ください。