
伊勢呂 哲也先生(日本泌尿器科学会認定 泌尿器科専門医)にインタビュー
QOLと直結する泌尿器の症状。快方に向かう喜ぶ姿が次なる力に
結石の自然排出が望めない場合、手術で取り除く方法になります。私自身、勤務医時代、尿管結石の診療に携わり、ずっと執刀を担っていたので、手術をすべきタイミングなのか、まだ水分摂取による経過観察なのかといった判断もお任せいただけたらと思います。また、必要なときに、速やかに手術設備の整った医療機関に紹介も行っています。
ただし、これらの予防法を実践している方の中に、体質的になりやすい方もいらっしゃいます。そのような方には、漢方薬のご提案を行っています。漢方薬は体質から整えることを目的としているので、膀胱炎でいえば、未病の段階から菌を繁殖させないような状態に変えていけることが期待できます。膀胱炎にかぎらず、泌尿器の症状に対し、より良い治療を受けていただけるよう、西洋医学だけでなく、漢方薬についても力を入れて学びました。こうした幅広く提案ができることも当クリニックの強みです。
夜間頻尿にはさまざまな理由が考えられます。治療法はそれぞれ異なるため、まずは原因の解明が大切です。そのために2日間、尿量を排尿日誌に記録していただいています。排尿日誌をもとに、尿量を計算し、1日の尿量の中で、夜間の尿量がどのぐらいの割合を占めるのかを算出することで、どのタイプの夜間頻尿なのかを見分けることが可能です。
頻尿は生活の質にも影響を及ぼすため、快方に向かった際に、感謝のお言葉をいただく機会が多いです。夜間頻尿にかぎらず、泌尿器科疾患は治療の作用を患者さまご自身が実感いただきやすいので、医師としてもやりがいを感じます。
一人で手術・入院管理などを行った経験が活き、より良い医療の提供に
私が通っていた学校は、1学年のうち50人ほどは医学部に進むような学校だったんです。そういった環境の中、私自身も、数学や物理が好きだったこともあり、医学部に進んで医師になろうと思いました。もちろん、中学の時、実際に医師の仕事を間近で見ることができたのも、進路を決める上で大きな影響を与えたと思います。
泌尿器科の医師になろうと決めたのは臨床研修のときです。その際に、人間味溢れる泌尿器科の先生たちから多くのことを学ぶことができました。その中の先生にお誘いいただき、泌尿器科の道に進もうと決めました。
泌尿器の入院、手術、緊急対応もすべて私一人で担当することになり、これまでとは比べものにならないぐらい担う責任が重くなりましたね。そのお陰で、こういった症状にはこうするんだと先輩医師から教わった薬の投与や手技をはじめ、すべてのことに対して理由や背景を考えられるようになりました。深く掘り下げられるようになったことで、患者さまの疑問にもスムーズに答えられるようになるなど診療の幅が広がり、あらゆる症状に対する応用も利くようになりました。
そのほかにも、当クリニックでは環境や設備面で工夫した点があります。泌尿器のお悩みをお持ちの方は、近所で受診することを避けたいと考えられる方が多いと感じます。プライバシーに配慮する方法として、少し都心から離れた場所にしながらも、通院のしやすさや立地の良さは大事にしたいと思い、駅前につくることを決めました。そのため、気兼ねなく行ける駅前のクリニックなのに、池袋にはCTがあったり大腸カメラがあったりなど、大きい病院に行かないとできないような検査でもスムーズに受けられることも喜ばれる理由の一つです。
躊躇せず受診しやすい泌尿器科クリニックづくりに、今後も注力
また、より多くの皆さまに泌尿器疾患の早期発見と早期治療の重要性を知っていただくために、私は動画の配信を行っています。動画でも、泌尿器に関する疑問をわかりやすく解説しています。こうした取り組みや活動を行い、少しでもクリニックに受診していただきやすい体制を整えています。