岩佐 一生先生(日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医)にインタビュー
予防をすることが何よりも大切と考えて糖尿病の治療にあたる医師
予防は、一次予防、二次予防、三次予防と大きく3つに分けられます。一次予防というのは、食生活や運動に気を配り、生活習慣の改善によって健康増進をはかり、病気になるのを防ぐことです。二次予防とは、病気を早期に発見、治療することで、合併症が出現するのを予防することです。三次予防とは、患者さまの状態に応じた治療をおこなうことによって、合併症の重症化を予防することです。
どの予防も重要ですが、中でも一次予防は大切です。少ない努力で健康を維持することができます。糖尿病や高血圧症などの生活習慣病はかなり進行しないと自覚症状がありません。しかし、普段から血糖値や血圧をコントロールすることで、合併症の出現、進展を予防することが可能なのです。
糖尿病は、さまざまな疾患の原因になり得る病気です。三大合併症でもある糖尿病性神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病性腎症をはじめ、心筋梗塞や脳梗塞など、さまざまな疾患を引き起こす恐れがある病気なのです。そういった意味でも糖尿病に関わらず、いろいろな病気を診られることが大切です。
当クリニックも、内科全般をご相談していただけるようなクリニックでありたいと考えています。
糖尿病性網膜症や心筋梗塞などを予防するため新しい治療も取り入れる
2型糖尿病の場合は、運動療法、食事療法、薬物療法が治療の3本柱となりますが、薬物療法では新しい治療薬も取り入れた治療をおこなっています。ミトコンドリアへの作用を介して血糖を下げる2型糖尿病治療薬のイメグリミン塩酸塩錠、肥満も伴う2型糖尿病の患者さまに対しては、GLP-1経口薬、GLP-1皮下注射薬のセマグルチドなども導入しています。
また、「日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医」として、指先から採血して血糖を測る従来の方法だけではなく、24時間持続的に血糖値をモニターするFGM(フラッシュグルコースモニタリング)も取り入れた治療をおこなっています。
例えば、心筋梗塞を起こしてしまった場合、カテーテル治療や心臓のバイパス手術をおこなう必要があります。これらの治療をおこなえば、心臓の血管自体は改善されるかもしれません。しかし、心臓以外の血管もダメージを受けている恐れがあります。また、身体へのダメージに加え金銭的な負担も大きくなりますから、心筋梗塞を起こさないように予防していくことが大切です。
気付かぬうちに発症してしまっていると患者さまの生活にも影響が出てくるので、症状が現れる前の段階から、定期的に眼科で検査を受けていただくようにしています。これは、二次予防にあたります。病気を早期に発見、治療することを目指し、合併症が出現するのを予防するのです。
糖尿病網膜症による失明を予防するために、眼科との連携も、糖尿病の治療では大切です。
糖尿病は管理が可能な病気。糖尿病に関する知識を伝えることに注力する
また、糖尿病以外の病気についても幅広く、何でも気兼ねなく相談していただけるクリニックでありたいと思います。不安なことがございましたら、お力になりますので何でもご相談ください。