
院長
岩佐 一生
取材日:2021年10月14日
岩佐 一生先生(日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医)にインタビュー
予防をすることが何よりも大切と考えて糖尿病の治療にあたる医師
「日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医」を取得した理由を教えてください。
糖尿病の治療は、予防が中心です。予防をすることは治療よりも価値が高いと考えています。糖尿病の予防をすることで、皆さまの健康維持のサポートをできればと考えて、「日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医」の資格を取得しました。
予防は、一次予防、二次予防、三次予防と大きく3つに分けられます。一次予防というのは、食生活や運動に気を配り、生活習慣の改善によって健康増進をはかり、病気になるのを防ぐことです。二次予防とは、病気を早期に発見、治療することで、合併症が出現するのを予防することです。三次予防とは、患者さまの状態に応じた治療をおこなうことによって、合併症の重症化を予防することです。
どの予防も重要ですが、中でも一次予防は大切です。少ない努力で健康を維持することができます。糖尿病や高血圧症などの生活習慣病はかなり進行しないと自覚症状がありません。しかし、普段から血糖値や血圧をコントロールすることで、合併症の出現、進展を予防することが可能なのです。
予防は、一次予防、二次予防、三次予防と大きく3つに分けられます。一次予防というのは、食生活や運動に気を配り、生活習慣の改善によって健康増進をはかり、病気になるのを防ぐことです。二次予防とは、病気を早期に発見、治療することで、合併症が出現するのを予防することです。三次予防とは、患者さまの状態に応じた治療をおこなうことによって、合併症の重症化を予防することです。
どの予防も重要ですが、中でも一次予防は大切です。少ない努力で健康を維持することができます。糖尿病や高血圧症などの生活習慣病はかなり進行しないと自覚症状がありません。しかし、普段から血糖値や血圧をコントロールすることで、合併症の出現、進展を予防することが可能なのです。
研修医時代に学んだことで今も大切にしていることは何でしょうか?
私が研修医時代に教授から教わったことは、糖尿病に関わらず、内科疾患全般を何でも診られるようになることが大切だということです。
糖尿病は、さまざまな疾患の原因になり得る病気です。三大合併症でもある糖尿病性神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病性腎症をはじめ、心筋梗塞や脳梗塞など、さまざまな疾患を引き起こす恐れがある病気なのです。そういった意味でも糖尿病に関わらず、いろいろな病気を診られることが大切です。
当クリニックも、内科全般をご相談していただけるようなクリニックでありたいと考えています。
糖尿病は、さまざまな疾患の原因になり得る病気です。三大合併症でもある糖尿病性神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病性腎症をはじめ、心筋梗塞や脳梗塞など、さまざまな疾患を引き起こす恐れがある病気なのです。そういった意味でも糖尿病に関わらず、いろいろな病気を診られることが大切です。
当クリニックも、内科全般をご相談していただけるようなクリニックでありたいと考えています。
座右の銘は何ですか? 座右の銘は治療にどう活かされていますか?
政治家であり物理学者でもあったベンジャミン・フランクリンの言葉、「1オンスの予防は1ポンドの治療に匹敵する(An ounce of prevention is worth a pound of cure.)」が、私の座右の銘です。1オンスは約28.35グラム、1ポンドは約453.6グラムです。それぐらい、予防というのは大切なものだと、予防の重要性を訴える言葉です。私も、こういった精神を大切にして、糖尿病の治療にあたりたいと考えています。
糖尿病性網膜症や心筋梗塞などを予防するため新しい治療も取り入れる
糖尿病の治療で気を付けていることや特徴について教えていただけますか?
糖尿病は、大きく1型糖尿病と2型糖尿病に分けられますが、1型糖尿病と2型糖尿病とは鑑別が難しいケースがあるほか、発症時は2型糖尿病と診断されていても、経過中に1型糖尿病であると分かるケースもあります。そのため、2型糖尿病と診断されている方に対しても、初診の場合は、検査によって1型糖尿病と2型糖尿病の鑑別をあらためておこなうようにしています。
2型糖尿病の場合は、運動療法、食事療法、薬物療法が治療の3本柱となりますが、薬物療法では新しい治療薬も取り入れた治療をおこなっています。ミトコンドリアへの作用を介して血糖を下げる2型糖尿病治療薬のイメグリミン塩酸塩錠、肥満も伴う2型糖尿病の患者さまに対しては、GLP-1経口薬、GLP-1皮下注射薬のセマグルチドなども導入しています。
また、「日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医」として、指先から採血して血糖を測る従来の方法だけではなく、24時間持続的に血糖値をモニターするFGM(フラッシュグルコースモニタリング)も取り入れた治療をおこなっています。
2型糖尿病の場合は、運動療法、食事療法、薬物療法が治療の3本柱となりますが、薬物療法では新しい治療薬も取り入れた治療をおこなっています。ミトコンドリアへの作用を介して血糖を下げる2型糖尿病治療薬のイメグリミン塩酸塩錠、肥満も伴う2型糖尿病の患者さまに対しては、GLP-1経口薬、GLP-1皮下注射薬のセマグルチドなども導入しています。
また、「日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医」として、指先から採血して血糖を測る従来の方法だけではなく、24時間持続的に血糖値をモニターするFGM(フラッシュグルコースモニタリング)も取り入れた治療をおこなっています。
脂質異常症や高血圧症を糖尿病と共に治療する必要があるのはなぜですか?
糖尿病の合併症には、細小血管障害であり三大合併症とも呼ばれる糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症と、大血管障害である心筋梗塞、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症、末梢動脈疾患などがあります。これらは、血管の病気ですので、動脈硬化を進行させるリスクがあれば、糖尿病と共にコントロールしていかなければなりません。動脈硬化を進行させるリスクとなるのが、脂質異常症や高血圧症です。これらは、合併症のリスクを上げてしまう要素ですので、運動療法、食事療法、薬物療法などで糖尿病と一緒にコントロールしていくことが大切です。
例えば、心筋梗塞を起こしてしまった場合、カテーテル治療や心臓のバイパス手術をおこなう必要があります。これらの治療をおこなえば、心臓の血管自体は改善されるかもしれません。しかし、心臓以外の血管もダメージを受けている恐れがあります。また、身体へのダメージに加え金銭的な負担も大きくなりますから、心筋梗塞を起こさないように予防していくことが大切です。
例えば、心筋梗塞を起こしてしまった場合、カテーテル治療や心臓のバイパス手術をおこなう必要があります。これらの治療をおこなえば、心臓の血管自体は改善されるかもしれません。しかし、心臓以外の血管もダメージを受けている恐れがあります。また、身体へのダメージに加え金銭的な負担も大きくなりますから、心筋梗塞を起こさないように予防していくことが大切です。
糖尿病網膜症の治療について大切にしていることを教えてください。
糖尿病網膜症は、糖尿病の三大合併症のひとつで、細小血管障害です。初期の段階では自覚症状が現れず、自覚症状が起こってから治療したのでは遅いため、眼科の医師と連携して検査や治療にあたっていきます。
気付かぬうちに発症してしまっていると患者さまの生活にも影響が出てくるので、症状が現れる前の段階から、定期的に眼科で検査を受けていただくようにしています。これは、二次予防にあたります。病気を早期に発見、治療することを目指し、合併症が出現するのを予防するのです。
糖尿病網膜症による失明を予防するために、眼科との連携も、糖尿病の治療では大切です。
気付かぬうちに発症してしまっていると患者さまの生活にも影響が出てくるので、症状が現れる前の段階から、定期的に眼科で検査を受けていただくようにしています。これは、二次予防にあたります。病気を早期に発見、治療することを目指し、合併症が出現するのを予防するのです。
糖尿病網膜症による失明を予防するために、眼科との連携も、糖尿病の治療では大切です。
糖尿病は管理が可能な病気。糖尿病に関する知識を伝えることに注力する
今後、どのような糖尿病の治療をおこなっていきたいですか?
検査結果の数値を見て薬物療法をおこなうだけではなくて、食事療法や運動療法の相談にも乗っていきたいと考えています。「日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医」として、患者さまにも糖尿病に関する知識を身に付けていただけるような、わかりやすくていねいなご説明をおこなうことを目指しています。患者さまがご自身で病気への理解を深め、検査結果の数値を読み解けるように、知識や情報を提供していきます。合併症がある場合には、現在の合併症の進行度合いを把握していただけるようにサポートしていきたいと思います。
今後、どのようなクリニックを目指していきたいと考えていますか?
当クリニックでは、訪問診療もおこなっていますが、患者さまの中には、ご自身で血糖値を測定したり、インスリンの自己注射をしたりするのが難しい方も多々いらっしゃいます。そういった患者さまに対しては、サポート体制をしっかりと整えて、ケアマネージャーや訪問看護師と相談や連携をしつつ患者さまをサポートしていく必要があると考えています。
また、糖尿病以外の病気についても幅広く、何でも気兼ねなく相談していただけるクリニックでありたいと思います。不安なことがございましたら、お力になりますので何でもご相談ください。
また、糖尿病以外の病気についても幅広く、何でも気兼ねなく相談していただけるクリニックでありたいと思います。不安なことがございましたら、お力になりますので何でもご相談ください。
最後に、読者の方へのメッセージをお願いできますでしょうか?
糖尿病は、治療をおこなうことでコントロールすることが可能な病気です。糖尿病と診断されたとしても、治療をおこない血糖値をコントロールすることで、健康な方と同じように天寿をまっとうすることが期待できる病気なのです。糖尿病と診断されたからといって、悲観することなく、一緒に治療を頑張っていけたらと思います。