
徳中 亮平先生(日本形成外科学会認定 形成外科専門医)にインタビュー
勤務医時代は火傷や眼窩底骨折の手術、チームでの医療の経験も積む
昭和大学の医学部を卒業してからは、各地域の中核病院で勤務しました。救命救急に力を入れている病院も多く、運び込まれてくる患者さまは火傷や骨折など重度の外傷を負った方が多かったですね。形成外科は、命に関わる疾患に携わることの少ない診療科目ですが、私は救急の先生方と一緒に重症の患者さまの手術にも従事させていただきました。
形成外科は、組織の異常や変形、欠損、傷跡に対して手術を行い、見た目やQOLの向上を目指す診療科目です。通常は他の科の手術が終わった後に形成外科の医師が手術を行うことが多いのですが、足の切断手術では、整形外科の先生方と一緒に最初から関わらせていただきました。切断後に義足を装着しやすくするためにはどの部分を残して欲しいかといった意見も伝えながら、チームとして手術を進めていたのです。
最近は、車に乗る時にシートベルトでしっかりと身体を固定される方が増えたため、交通事故で運び込まれて来る患者さまでひどい顔面骨折を負った方は減っていると思います。前橋赤十字病院でよく診ていたのは、眼窩底骨折(がんかていこっせつ)と言われる特殊な骨折です。眼球の入っているくぼみを眼窩と言いますが、眼窩壁の鼻側から下壁にかけては厚さ1ミリほどの薄い骨で、手拳や膝、ボールなどが当たっただけでも割れてしまうことがあります。これを眼窩底骨折と言い、複視、眼球陥没、頬から上口唇にかけてのしびれといった症状が現れます。出身の昭和大学では、眼科で診ることの多い外傷ですが、前橋赤十字病院では形成外科が担当していました。出向したことで、眼窩底骨折の経験も積むことができたのです。
また、前橋赤十字病院では刺青の除去や蒙古斑のレーザー治療なども行っていました。
その後、2018年に当クリニックを開業しましたが、開業当時から来てくださっている患者さまの中には、3年経った現在も通ってくださっている方がいらっしゃいます。本当にありがたく感謝を申し上げたいです。開業する前に勤務していた群馬県から港区南青山まで来てくださる患者さまもいらっしゃいます。
最近は、全国各地から、眼瞼下垂の手術を希望される患者さまが来てくださるようになりました。症状が軽く、地元の病院では、手術の優先順位が後になってしまうという方たちです。軽症であっても、ご本人にとってはつらい症状ですし、日常生活にご不便が生じますので、少しでも早く手術を受けたいとわざわざ遠くからご来院されるのです。
眼瞼下垂による日常の不便さを改善したいという思いから手術に力を入れる
眼瞼下垂は、ご自身で気付いていない方も多くいらっしゃいます。症状が進行すると、無意識に眉毛を上げて見えづらさをカバーしようとするため、独特の姿勢や表情になります。また、筋肉が緊張するので、肩や首のこり、頭痛、不眠といった症状が現れます。
当クリニックでは、眼瞼下垂の症状を改善するため日帰り手術を行っています。また、QOLを向上させるため、姿勢や表情を修正するトレーニングも行います。当クリニックでは、開業時より眼瞼下垂の手術に力を入れていますが、眼瞼下垂が手術で改善できる病気だということを知らない方もまだいらっしゃいます。日常生活の不便さを手術で改善できるということを、多くの方に伝えていければと思っています。
また、眼瞼下垂は角膜に傷が付く角膜損傷やドライアイを合併することもありますので、当クリニックでは私だけではなく、眼科の医師も診察を行っています。現在は、月2回、眼科の医師が診療していますが、患者さまが集中してしまうことも多いので、今後はもう少しその頻度を増やしていければと思っています。
当クリニックでは、形成外科のほか皮膚科や美容外科(※)などの診療も行っていますが、美容と、怪我や眼瞼下垂などの疾患診療はフロアを分けています。眼瞼下垂の患者さまはご年配の方が多いため、若い方と待合室が一緒になると、「自分は場違いではないか?」と思われる方も中にはいらっしゃるのです。どなたにも気兼ねなくご来院いただきたいと考え、フロアを別にしました。
(※)は自由診療です。料金は料金表をご確認ください。
形成外科のかかりつけとして地域の皆さまと家族ぐるみのお付き合いを目指す
小さな頃は怪我でご来院されていた患者さまが、成長されて思春期になり、ニキビやわきがといったお悩みが生じた際にも、また当クリニックにご相談していただけたら幸いです。また、当クリニックは多毛のお悩みなどのご相談にもお応えできます。患者さまのライフステージに合わせて、長くお付き合いしていければと思っています。
将来的には、今よりもクリニックを大きくしていけたらいいですね。
(※)は自由診療の場合があります。料金は料金表をご確認ください。
また、眼瞼下垂には今後も引き続き力を入れていきたいと考えています。オンライン診療(※)でご相談に乗ることも可能です。上まぶたが下がっている、上まぶたを開けづらいといった気になる症状があれば、ご相談ください。正面を向いた時に、眉毛を動かさないと前が見えない場合には、眼瞼下垂の初期症状が始まっている恐れがあります。眼瞼下垂も、怪我と同じように早めに治療することが大切です。「もしかしたら」と思ったら、気兼ねなくご相談いただければと思います。
(※)は自由診療です。料金は料金表をご確認ください。