
小西 啓介先生(日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医)にインタビュー
「選ばれる病院とは何か」を常に考え、さまざまなことを学んだ勤務医時代
医師を目指したのは、中学生の頃です。小学生の頃は身体が弱くて入院をしていたことがあり、医師と接する機会が多かったことが影響しています。ただ、身内に医療関係者もおらず、はじめは内科と外科くらいしか知らない状態でした。その後、皮膚科を選んだのは、医学部に入り全科の特徴を学んでからです。皮膚の状態を顕微鏡などで「見て判断する」という点が、私が好きな理科の研究につながり、興味を持つようになりました。
具体的には、腫瘍などをはじめとした皮膚外科、アレルギー疾患、皮膚感染症の三つを中心に据えて診療を行いました。これらは、京都市立病院が得意としている分野であり、患者さまの数が多い分野でもあります。腫瘍の手術や重症化した皮膚感染症の場合は入院が必要になりますので、入院患者さまのサポートにも力を入れました。
私が考える当クリニックの強みの一つは、「症状に応じた医療機関をご紹介できること」だと思います。病院とクリニックでは、導入設備などに違いがあるため、症状によっては対応できる医療機関をご紹介する必要が出てきます。その際に、今までの経験・つながりを生かし「この症状ならあの先生」というように、不安なく任せられる医師の方を知っていることが強みだと考えています。
看護師をはじめとしたスタッフと連携し、ご納得いただける治療を提供
早期にお越しいただいた場合には、まず抗ウイルス薬を処方して経過を観察します。また、痛みなどの改善には日数がかかることが多いため、そちらに関しても継続して診ていき、もし合併症が出た場合には、当ビル内にある眼科・耳鼻いんこう科をご紹介します。排尿障害により尿閉が起こった場合には、京都市立病院に速やかにご紹介を行い、入院にて留置用バルーンカテーテル療法を受けていただく体制を整えています。また、免疫の低下などを原因として起こっている病気ですので、合併症以外にもほかの病気が併発している可能性があります。そのため当クリニックでは、基本的には尿検査や血液検査なども受けていただくようにしています。
治療は、保湿剤によるスキンケアと、ステロイドをはじめとした外用薬による薬物療法が基本です。過去に起こったステロイド批判からの誤解により、ステロイドに抵抗感を持つ方もいらっしゃいますが、ステロイドはアトピー性皮膚炎に対する作用が立証されているお薬です。アトピー性皮膚炎を鎮静するためには非常に重要なお薬ですので、患者さまにはその点を丁寧にお伝えするようにしています。また、外用薬の塗り方やホームケアに関しも、看護師から丁寧にご説明しています。
乾癬は慢性疾患のため、長く付き合っていかなければいけない病気です。症状を抑えるためには、お薬を塗ることを習慣にすることが大切です。ただ、お薬による変化が見られなければ、継続することは難しいと思います。そのため医師としては、できるだけ適した治療法を選択し、改善に導くことが重要だと思っています。改善すれば治療に対する意欲もわくかと思いますので、できるだけ早く変化を感じていただけるよう治療しています。
皮膚疾患は奥が深いからこそ、「次の世代につながる」啓蒙活動に注力
アトピー性皮膚炎に関しては、素因がある患者さまにはそれを理解していただくことが大事だと思います。そうすれば、重症に至らないように、外用薬で管理することができます。また、ご自身に素因がある場合はお子さまにも遺伝しますので、お子さまのお肌の管理にも努めていただきたいと思います。啓蒙に力を入れていくことで、「今」だけでなく「次の世代につながる」ような活動ができればと思っています。
(※)は自由診療です。料金は料金表をご確認ください。各自治体によって公費負担になる場合があります。
また、啓蒙のためのイベントや講演会といった活動にも力を入れていきたいと思います。例えば、11月12日は「皮膚の日」ということで、各地域でいろいろなイベントが行われています。例年ですと実際に会場に足をお運びいただいていたのですが、2021年は新型コロナウイルスの影響でwebを利用して行いました。それにより若い世代の方にもお話を聞いてもらう機会になったと思っています。
また、診療というのは、医師と患者さまとのコミュニケーションの中で行われることであり、一種の契約だと考えています。よりよい結果のために必要な治療を提案していますので、もし「薬が飲めていない」「塗り薬を忘れることがある」といった場合は、しっかり報告していただければと思います。信頼関係を築きながら、一緒に進んでいければと考えています。