石井 久仁子先生(日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医)にインタビュー
勤務医時代に苦労した経験が、学びとなり今につながっている
最終的に医師になろうと決めたのは、高校3年生の時です。父にすすめられたのが大きいですね。「医療職は性別や時代にかかわらず人の役に立つもの」だといわれて、薬学部か医学部のどちらかに進もうと決めました。でも、小学生の頃の作文にも「将来はお医者さんになりたい」と書いていたんですよ。うちは医者の家系ではないですし、なんでその時そう書いたのかは覚えてないんですが、その頃から「医者になる」ことは一つの選択肢としてあったみたいです。
もちろん、試験前には友人と一緒に勉強に励みましたよ。でも「つらかった」という記憶はないですね。「みんなで試験に受かってみんなで医者になろう」という仲間意識が強かったからだと思います。試験に出そうな問題をみんなで確認するなど、同級生と協力して目標に向かえたので、楽しかった思い出ばかりです。
「日本消化器病学会認定 消化器病専門医」「日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医」の資格は、そうやってさまざまな症例の経験を積んだ頃に取得しました。取得してよかったと思うのは、患者さまがクリニックを選ぶ際の基準になることでしょうか。資格を取得していることで、より不安なく患者さまに治療を受けていただけるのは、うれしいことだと感じます。
「胃内視鏡検査はつらい」というイメージを変え、早期発見を目指す
バリウム検査などでピロリ菌感染が疑わしいと診断された場合、ピロリ菌の検査をし、陽性であれば抗菌剤の内服による治療を行います。飲んでいただく期間は一週間ほどです。その後、1ヵ月ほどしてからちゃんと除菌できているかどうかをチェックするのですが、多くの場合はその時点で除菌ができています。治療期間としては検査から除菌完了まで数ヵ月かかるのですが、通院していただく回数は1、2回ほどですので、患者さまの通院の負担はそこまでないと思います。
ただ、症状の度合いと、患者さまの感じ方は、必ずしも一致していません。潰瘍の改善後は「瘢痕(はんこん)」といって痕が残るんですが、胃カメラでそれを見つけて「前に胃潰瘍になったことがあるんですね」と患者さまにお伝えしても、「記憶にないです」といわれることもめずらしくないんです。多分、市販のお薬などを飲んでいるうちに改善したんでしょうね。でも、胃潰瘍も十二指腸潰瘍も、どちらもピロリ菌との関連が指摘されている病気です。ストレスなどが原因になることもありますが、ピロリ菌が関連していた場合は胃がんのリスクもありますので、ぜひ一度検査を受けてほしいと思っています。
ただ、胃内視鏡検査に対し「苦しい」「つらい」というイメージをお持ちの方も多いですよね。「検査が敬遠されている」というのも、発見が遅れる理由の一つだと思います。だからこそ当クリニックでは「できるだけやさしく丁寧に、苦しくないように検査をする」ことを大切にしています。「思ったよりつらくなかった」「これくらいなら早期発見のために定期的に受けてもいいかな」と思ってもらえるように、ネガティブなイメージを払しょくできる検査に努めています。
内視鏡検査に携わる医師として、早期胃がんの発見に力を注ぐ
今は、市区町村の検診に胃内視鏡検査が含まれていることも多くなっています。これまで検査を受けるタイミングがなかなかなかった方などは、そういった制度を利用して、ぜひ一度受けてみてほしいですね。
「全く苦しくない」というと語弊がありますが、「これくらいなら、早期胃がんを発見するために定期的に受けてもいいかな」と思っていただけるよう丁寧な検査をしておりますので、ご家族そろってお越しいただければと思います。