
院長
金 憲周
取材日:2021年10月14日
金 憲周先生(日本整形外科学会認定 整形外科専門医)にインタビュー
勤務医時代は各地の病院で人工関節の手術や交通外傷の手術などの経験を積む
医師を目指した理由や整形外科を選んだ理由、また大学卒業後の歩みについて教えてください。
今後、高齢化社会が進んでいくことが予想される中で、医師という職業は世の中で必要とされるのではないかと考え、医師を目指しました。また中でも、整形外科という診療科目は、ご年配の方が多くなる中でニーズが高くなるのではないかと思い、選んだのです。
大学卒業後は、順天堂大学医学部附属順天堂医院の整形外科に入局したのちに、浦安市川市民病院(現・東京ベイ・浦安市川医療センター)、山梨県立中央病院、済生会中央病院、最成病院、同愛会病院など各地の病院に、順天堂大学の医局から派遣されて勤務しました。
大学卒業後は、順天堂大学医学部附属順天堂医院の整形外科に入局したのちに、浦安市川市民病院(現・東京ベイ・浦安市川医療センター)、山梨県立中央病院、済生会中央病院、最成病院、同愛会病院など各地の病院に、順天堂大学の医局から派遣されて勤務しました。
勤務医時代、どのような治療に携わってきたのか教えていただけますか?
山梨県立中央病院は、三次救急医療機関だったので、交通外傷の重傷の患者さまが救急で運び込まれて緊急手術になることが多く、寝る間もないほど忙しい日々を送っていました。救命救急の一環として整形外科領域の手術を担当していたのです。大変ではありましたが、やりがいのある日々だったと思います。
済生会中央病院では、麻酔に関する研鑽を積ませていただきました。整形外科の医師として、麻酔についての知識も身に付ける必要があるのです。
他の病院でもそうでしたが、5年間勤務した同愛会病院でも多くの手術を経験しました。これまで、一通りの手術は経験してきたと思います。大腿部頸部骨折をはじめとする骨折の手術、膝や股関節の人工関節置換術、肩や肘の手術などもおこなっていました。
済生会中央病院では、麻酔に関する研鑽を積ませていただきました。整形外科の医師として、麻酔についての知識も身に付ける必要があるのです。
他の病院でもそうでしたが、5年間勤務した同愛会病院でも多くの手術を経験しました。これまで、一通りの手術は経験してきたと思います。大腿部頸部骨折をはじめとする骨折の手術、膝や股関節の人工関節置換術、肩や肘の手術などもおこなっていました。
この場所で開業することを決めた経緯について教えていただけますか?
もともと、ずっと臨床に携わっていきたいという考えがあり、開業を考えていました。この地域で開業を決めたのは、近くに住んでいた母の希望でもあったのです。この辺りを散歩していた時に、たまたま今のクリニックの場所を見つけ、いい場所だと思っていたのですが、ご縁があってここで開業させていただくことになりました。
開業したのは、2008年のことです。その頃から、新しくマンションなども建てられましたし、オフィス街のクリニックとは違って、ご家族で通ってくださる患者さまが多いですね。おじいさま、おばあさま、お父さま、お母さま、お子さまと三世代で受診してくださる患者さまもいらっしゃいます。開業してみて、お子さまの多い地域だと思いました。クリニックには、小学校入学前から、中学生、高校生までのお子さまが多くご来院されますね。
開業したのは、2008年のことです。その頃から、新しくマンションなども建てられましたし、オフィス街のクリニックとは違って、ご家族で通ってくださる患者さまが多いですね。おじいさま、おばあさま、お父さま、お母さま、お子さまと三世代で受診してくださる患者さまもいらっしゃいます。開業してみて、お子さまの多い地域だと思いました。クリニックには、小学校入学前から、中学生、高校生までのお子さまが多くご来院されますね。
けがの再発予防、けがをしにくい身体作りを大切にした診療で患者さまをサポート
小さなお子さまもご来院されるそうですね。
はい。「転んでけがをした」といったことでご来院されることもあれば、スポーツ外傷でいらっしゃるお子さまもいます。骨折や捻挫といったけがのほか、運動のしすぎで痛めている場合もあります。
大切なのは「いかに再発させないようにするか」と考えていますので、けがの再発を予防するために、理学療法士による運動療法や生活指導をおこなっています。また開業当初に比べて、リハビリテーションに重要性を感じるようになったので、現在、リハビリテーションには力を入れています。サッカーや野球などのスポーツを得意としている理学療法士も在籍して、スポーツ外傷にも対応しています。
中にはうまく身体を使いこなせておらず、使っていない部分や硬い部分、筋力が落ちている部分などがあり、身体のバランスが悪くなっていることがけがの一因になっているお子さまもいます。そういったお子さまには、けがや疾患の原因となるところにアプローチしたリハビリテーションをおこなうようにしています。
大切なのは「いかに再発させないようにするか」と考えていますので、けがの再発を予防するために、理学療法士による運動療法や生活指導をおこなっています。また開業当初に比べて、リハビリテーションに重要性を感じるようになったので、現在、リハビリテーションには力を入れています。サッカーや野球などのスポーツを得意としている理学療法士も在籍して、スポーツ外傷にも対応しています。
中にはうまく身体を使いこなせておらず、使っていない部分や硬い部分、筋力が落ちている部分などがあり、身体のバランスが悪くなっていることがけがの一因になっているお子さまもいます。そういったお子さまには、けがや疾患の原因となるところにアプローチしたリハビリテーションをおこなうようにしています。
開業当初から、力を入れている治療はございますか?
開業以来、力を入れてきたのが骨粗しょう症です。今はどこの整形外科でも骨粗しょう症に力を入れるようになりましたが、2008年当時、注力しているクリニックは、それほど多くなかったと思います。開業当初に骨粗しょう症が見つかって、その後、治療を中断することなくコツコツとお薬を服用されてきた方は、80歳を超えても、まだとても元気でいらっしゃいます。
骨粗しょう症は、初期の段階では自覚症状はほとんどありませんが、骨がもろくなることでちょっとした転倒でも骨折しやすくなります。ご年配の方が骨折をしてしまうと、寝たきりになってしまう恐れがあります。骨粗しょう症で家の中に引きこもり行動範囲が狭くなることでうつ病も発症しやすくなってしまいます。骨粗しょう症の治療をおこなうことで、けがをしにくい身体を作ることが、さまざまな面で健康を維持することへとつながっていくと思います。
骨粗しょう症は、初期の段階では自覚症状はほとんどありませんが、骨がもろくなることでちょっとした転倒でも骨折しやすくなります。ご年配の方が骨折をしてしまうと、寝たきりになってしまう恐れがあります。骨粗しょう症で家の中に引きこもり行動範囲が狭くなることでうつ病も発症しやすくなってしまいます。骨粗しょう症の治療をおこなうことで、けがをしにくい身体を作ることが、さまざまな面で健康を維持することへとつながっていくと思います。
骨粗しょう症の治療をおこなう際に大切にしていることは何でしょうか?
骨粗しょう症になっていても、初期の段階では特に自覚症状が現れないため、ご自身が骨粗しょう症であると気付いていない方も多くいらっしゃいます。閉経後のエストロゲンの分泌量の減少や遺伝的素因、また婦人科疾患、副甲状腺疾患や腎機能不全、糖尿病、関節リウマチ、ステロイド薬の長期服用などは二次性の骨粗しょう症を引き起こしやすくなるので注意が必要です。
痛みの症状が現れていなくても、既に脊椎の圧迫骨折が起きていて、椎体が押しつぶされて変形が生じている場合があります。脊椎椎体骨折による背中や腰の痛みや手足のしびれでご来院される方もいらっしゃいますね。
骨粗しょう症は、X線画像からある程度判断がつきます。腰痛、頸部痛、上肢・下肢のしびれが原因でご来院され、骨粗しょう症が発見される方は多いので、初診の方のX線画像は注意深く見るようにしています。骨粗しょう症は、放置すると脊柱管狭窄症や、脊椎、手首、大腿骨頸部などの骨折につながりやすくなります。「今後この方はどうなるだろう」という将来的な経過を考えるところから、アプローチを始めるようにしています。
痛みの症状が現れていなくても、既に脊椎の圧迫骨折が起きていて、椎体が押しつぶされて変形が生じている場合があります。脊椎椎体骨折による背中や腰の痛みや手足のしびれでご来院される方もいらっしゃいますね。
骨粗しょう症は、X線画像からある程度判断がつきます。腰痛、頸部痛、上肢・下肢のしびれが原因でご来院され、骨粗しょう症が発見される方は多いので、初診の方のX線画像は注意深く見るようにしています。骨粗しょう症は、放置すると脊柱管狭窄症や、脊椎、手首、大腿骨頸部などの骨折につながりやすくなります。「今後この方はどうなるだろう」という将来的な経過を考えるところから、アプローチを始めるようにしています。
予防医学的なアプローチを大切に、早期発見に力を入れる医師
整形外科の診療をおこなう上で、先生が大切にしていることは何でしょうか?
頸椎や腰に関するお悩みは、在宅ワークの増加、パソコンやスマートフォンを見ることが多い生活様式の変化が影響し、最近は若い方にも増えています。デスクワークによりストレートネックや坐骨神経痛、椎間板ヘルニアなどが増加していますね。
お子さまのけがにしても、若い年代の方の頸椎や腰の痛みにしても、ご年配の方の骨粗しょう症をはじめとする疾患やけがにしても、整形外科領域では予防医学的なアプローチをおこなっていくことも重要です。すべての世代の方に対して、疼痛の管理だけではなく、リハビリテーションも用いて予防医学的な側面に踏み込んだ治療をおこなっています。痛み止めの薬で症状を緩和するよりも、運動器リハビリテーションによって、病気やけがを起こさないようにすることが大切です。お子さまの場合はけがをしない身体作りをしていくことが重要です。
ご年配の方の場合、老化によって生じる疾患を予防しつつ、リハビリテーションによってADL(日常生活動作)を改善、維持することは、健康寿命を延ばすことにもつながります。
お子さまのけがにしても、若い年代の方の頸椎や腰の痛みにしても、ご年配の方の骨粗しょう症をはじめとする疾患やけがにしても、整形外科領域では予防医学的なアプローチをおこなっていくことも重要です。すべての世代の方に対して、疼痛の管理だけではなく、リハビリテーションも用いて予防医学的な側面に踏み込んだ治療をおこなっています。痛み止めの薬で症状を緩和するよりも、運動器リハビリテーションによって、病気やけがを起こさないようにすることが大切です。お子さまの場合はけがをしない身体作りをしていくことが重要です。
ご年配の方の場合、老化によって生じる疾患を予防しつつ、リハビリテーションによってADL(日常生活動作)を改善、維持することは、健康寿命を延ばすことにもつながります。
開業医の役割として大切なことは何でしょうか? 教えてください。
お子さまの骨折も大人の骨折も、後遺症を残してしまうことは多いものです。骨折などの外傷にしても慢性疾患にしても、手術の適応かどうか、保存的療法で治療を進めても後遺症を残す恐れがないかどうかを鑑別することが大切です。後遺症や合併症を引き起こす恐れがある患者さまは、手術療法に対応可能な順天堂大学の関連病院をはじめとする医療機関にご紹介しています。また、骨腫瘍や軟部腫瘍などが見つかった場合にも、ご紹介をおこなっています。
このまま保存的療法で経過を見続けてよいのか、手術をおこなう必要があるのかをすみやかに判断して、患者さまを振り分けることは開業医にとって大事な仕事だと考えています。判断するための目を持っていることが大切ですね。
このまま保存的療法で経過を見続けてよいのか、手術をおこなう必要があるのかをすみやかに判断して、患者さまを振り分けることは開業医にとって大事な仕事だと考えています。判断するための目を持っていることが大切ですね。
最後に読者の方へのメッセージをお願いできますでしょうか?
直接的に命に関わるような疾患ではなくとも、将来的にQOL(生活の質)を維持し、健康寿命を延ばしていくためには、病気を早期発見することが大切です。
中でも、早期発見ということで力を入れているのは、骨粗しょう症ですね。骨や筋肉の状態が改善され、活発に動くことができると、行動範囲も広くなります。骨粗しょう症を早期発見し、治療を継続して骨折を予防することは、肉体的な健康だけではなく精神的な健康を取り戻すことにもつながります。骨粗しょう症の治療を続けて、元気に過ごしていらっしゃるご年配の患者さまを見ると、「力を入れて治療してきてよかった」と、嬉しく感じますね。
病気の早期発見のためにも、整形外科領域でご心配なことがあれば、気兼ねなく何でもご相談いただければと思います。
中でも、早期発見ということで力を入れているのは、骨粗しょう症ですね。骨や筋肉の状態が改善され、活発に動くことができると、行動範囲も広くなります。骨粗しょう症を早期発見し、治療を継続して骨折を予防することは、肉体的な健康だけではなく精神的な健康を取り戻すことにもつながります。骨粗しょう症の治療を続けて、元気に過ごしていらっしゃるご年配の患者さまを見ると、「力を入れて治療してきてよかった」と、嬉しく感じますね。
病気の早期発見のためにも、整形外科領域でご心配なことがあれば、気兼ねなく何でもご相談いただければと思います。