
池部 敏市先生(日本小児科学会認定 小児科専門医)にインタビュー
増加傾向にあるアレルギー疾患に苦しむ子どもを減らすため診断・治療に尽力
そのため当院では、原因と考えられる食べ物を少量摂取してもらうことで、アレルギーの原因となる食べ物を特定しています。治療としては、アレルギーとなる食べ物を摂取しない、という方法もありますが、少しずつ摂取し身体に慣れさせることで、原因の食物を摂取してもアレルギーを起こさないような体作りをすることが出来ます。食物アレルギーは毎日の食事が大事になる治療なので、親御さまとしっかりと連携し、お子さまの健やかな成長をサポートしたいですね。
アトピー性皮膚炎の場合には、皮膚のお手入れをよりこまめに丁寧におこなうことが大切です。汗や汚れがついた時はすぐに洗い流し清潔な状態を保つなど、普段の生活習慣について、詳しくアドバイスいたします。顔など、目に見えるところに症状が出るので、お子さま自身も、親御さまも心配になるかと思いますが、成長に伴って皮膚が強くなり、症状が出なくなることもよくあります。お子さまの湿疹が気になる場合は、なるべく早めにご相談に来ていただければと思います。
当院ではまず、どの花粉が症状の原因かを検査します。そして、パンフレットなどを使って、どの時期にどの花粉が飛ぶか、どの時期からメガネ・マスクが必要か、お薬を飲み始めるとよいか、といったことを説明します。その中で、舌下免疫療法という選択肢についても、詳しく説明しています。
舌下免疫療法の場合、頻繁に受診していただく必要はなく、ご自宅で毎日行っていただく方法ですので、お子さまにとって、苦手なお薬を服用するよりは続けやすいかと思います。ただ、3年〜5年間、毎日継続する必要があるので、根気は必要です。そのため、親御さまともしっかりと協力し、お子さまを励ましながら治療を進めていますね。
ぜんそくに苦しむ子どもと触れ合う中でアレルギー診療に注力することを決意
お薬をいつも服用するのは、お子さまにとってはつらいかもしれませんが、1年、2年と予防対策を続けるうちに、発作は出にくくなりますし、その状態を数年保つことができればお薬がいらなくなることも多いです。アレルギー疾患は、まだまだメカニズムが分かっていない病気ですが、より新しいお薬や治療方法は、日々、更新されています。そうした情報をいち早くキャッチし、取り入れていけるようにしたいと思っています。
また、例えばぜんそくなどは、未来を担う子どもの命が突然絶たれてしまう、恐ろしい病気でもあるので、そうした子どもを一人でも減らすために、もっと研究が進められてほしい、進められるべきだ、という思いもありますね。年齢的に、私にできることは限られてくるかと思うので、活気ある若い後輩たちの研究成果を仰ぎながら、研さんしていきたいと思っています。
開業後は、地域に根付いた医師としてあらゆる小児疾患に力を注ぎ続ける
開院してよかったと思うのは、私の判断で運営ができることです。よいと思ったことはすぐに取り入れ、失敗してもすぐに体制を変えやすいので。また、より患者さまや親御さまの身近で診療できるのもメリットだと思っています。具合が悪いお子さまを、検査や診療、お薬の処方のために待たせるのは心苦しいので、必要検査をよりスムーズにおこなうことで、病院を受診する負担を少しでも軽減できれば幸いです。
また、食物アレルギーについても、より力を入れて取り組んでいきたいと考えています。原因や正しい診断方法など、未知のことが多いからこそ、親御さまの不安を取り除けるよう知識を深めたいですね。
アレルギー疾患をはじめ、お子さまの体調管理には、普段の食生活やスキンケアなど、親御さまとの連携が不可欠です。親御さまとともに、身近でお子さまの健やかな成長を見守り、困った時にしっかりとサポートできるホームドクターを目指して研さんするのが私の役割だと思っていますので、お子さまの体について、少しでも心配なことがあったら、いつでも気兼ねなくご相談にいらしてください。