ワキガの原因は遺伝?人にうつる?においの仕組みと自分でできる対策
【医師監修】ワキガの原因は主に遺伝です。両親の片方がワキガ体質である場合は約50%、どちらもワキガの場合は約80%の確率で子どもに遺伝します。
ワキガは単なる汗とは異なり、ツンと鼻につくような独特のにおいを発します。
においに関する話題は人に相談しづらいので、一人で悩んでいる方も多いかもしれません。
この記事ではワキガの原因と、においが生じる仕組みなどを解説します。
ワキガを発症する原因
1.ワキガにかかわる2つの「汗腺」
ワキガには、2つの汗腺が大きくかかわっています。
アポクリン腺
ワキガの原因となるのは『アポクリン腺』から出る汗です。
汗は本来無臭ですが、アポクリン腺から出る汗には脂質・たんぱく質・糖質・アンモニアといった成分が含まれています。
これらの成分は皮膚の常在菌によって分解されたり、皮脂と混ざりあったりすることで、鼻につく独特のにおいを発します。
ワキガ体質の場合ここから出る汗の量が多いため、においを発しやすくなります。
エクリン腺
エクリン腺から出る汗は本来無臭ですが、アポクリン腺と混ざるとにおいを拡散させる作用があります。
エクリン腺由来の汗は水分量が多いため蒸発しやすいため、皮膚上でアポクリン腺由来の汗と混ざって一緒に蒸発させます。
そのため全身がにおいを発するようになってしまいます。
2.わき毛も原因のひとつ
ワキガの原因のひとつにわき毛もあります。
わき毛は汗を留める働きをするので、脇の下の湿度が高まると汗の細菌が繁殖し、においが気になりはじめます。
ワキガ体質になる原因
1.遺伝
主な原因は、両親からの遺伝による先天的なものです。
両親のどちらかがワキガ体質であれば約50%、どちらもワキガ体質であった場合は約80%の確率で子どもに遺伝すると言われています。
2.食生活
肉類などの高脂質な動物性食品をとりすぎると、後天的にワキガ体質になることがあります。
もともとこういった食事を多くとる欧米では、約70%の人がワキガ体質とされています。
日本では10%と比較的少なめですが、食生活の欧米化が進んだことでワキガの発症率は上がりつつあるようです。
3.生活習慣
不規則な生活によるホルモンバランスの乱れや、ストレスなどの影響を受け、後天的にワキガを発症することもあります。
ホルモンバランスの乱れは男性ホルモンを増やし、汗を多量に分泌する原因となります。
またストレスによって自律神経が乱れると、汗の量を調節できず多汗を起こしやすくなります。
4.運動不足
汗にはさらさらしたものとベタベタしたものがありますが、後者は雑菌が繁殖しやすくワキガの原因となります。
運動の習慣がない人は、汗による老廃物の排出が頻繁には行われません。
そのため発汗時に溜まっていた老廃物が一気に分泌されることで、ベタベタした汗をかきやすく体臭が強くなることもあるようです。
ワキガに関する疑問!うつる?耳垢との関係は?
1.ワキガは人にうつる?
ワキガはウイルスなどとは違うため、他人にうつされたりうつしたりすることはありません。
多くの場合は遺伝か、生活習慣による後天的なものです。
2.耳垢が湿っているのはワキガの証?
自分がワキガ体質であるかを調べるために、耳垢の状態を確認する方法があります。
ワキガ体質の人は耳の中にアポクリン腺があるため、汗で耳垢が湿っています。一方ワキガ体質でない人は耳の中にアポクリン腺が存在せず、耳垢は湿っていません。
必ずしもこの限りではありませんが、常に耳垢が湿っている場合80~90%の確率でワキガ体質だと言えるため、信頼度の高い判別方法となります。
3.ワキガを発症しやすい年代は?
ワキガの発症には個人差がありますが、早ければ小学生から発症します。
わき毛が生えてくる思春期の頃はアポクリン腺も発達するため、この時期になると突然ワキガを発することがあります。
ただし年齢を重ねるにつれてアポクリン腺は萎縮するため、においは弱くなると言われています。
4.ワキガは自然に治る?
ワキガの原因となるアポクリン腺は生まれた時から数が決まっており、後天的に増えたり減ったりするものではありません。
そのためワキガの自然治癒は難しいと考えられています。
症状が和らぐことはある
においや汗の量といったワキガの症状は、ホルモンバランスの変化によって自然に和らぐことがあります。
女性の場合は妊娠や出産、閉経によって女性ホルモンの分泌が変化し、においがなくなったと感じる場合もあります。
治療を受ければ治すことは可能!
自然治癒は難しくても病院で治療を受けることで、ワキガを根本的に治すことができます。
治療法はいくつかあり重症度によって異なるので、医師と相談して決めることが大切です。
気になる場合は皮膚科を受診しましょう。
自分でできるワキガの臭い対策
1.生活習慣の見直し
生活習慣の改善により、症状を緩和させることができます。
早寝早起き、ストレス発散、適度な運動を意識してみましょう。
早寝早起きやストレス発散は、自律神経が整うことで多汗の改善につながります。
また適度な運動で老廃物を定期的に排出すれば、ベタベタとした汗を減らせるでしょう。
2.食事は和食を中心に
以前よりワキガに悩む日本人が増えている原因として、食生活の欧米化が挙げられます。
肉類や油分、香辛料の多い食事はアポクリン腺を活発にするため、においを悪化させてしまいます。
肉類や脂の多い食べものは控え、和食中心の食事を心がけましょう。
まとめ
基本的にワキガの原因は遺伝ですが、自身の食生活や生活習慣もにおいを悪化させる原因となります。
食生活の欧米化によりワキガに悩む日本人も増えているので、肉類など脂肪分の多い食事は控え、なるべく和食中心の食生活を心がけましょう。
においが気になる場合は、病院で治療を受けることも大切です。
執筆・監修ドクター
経歴2007年 山梨大学医学部卒業
国際医療センター国府台病院で初期研修の後、日本医科大学麻酔科学講座に入局
2011年 皮膚科、美容皮膚科に転科
現在はGINZA Zen 禅クリニック院長に至る
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