C型肝炎の治療につかう薬の種類は?効能や副作用について
C型肝炎は、薬の進歩によって、治療やコントロールができる病気になってきました。
必要以上に病気を恐れないために、治療を受けるときは、薬や治療方法について医師ときちんと相談しましょう。こちらの記事では、C型肝炎の治療に用いられる薬の種類やメリット、副作用について解説します。
C型肝炎の治療法
C型肝炎の診断を受けたら、まずは検査で『病気の進行度』と『C型肝炎のウイルス量』、『遺伝子型』(ジェノタイプまたはセログループ)を調べます。
その結果に応じて、それぞれの型にあわせてより効果が期待できる組み合わせを検討しながら、治療方法を決定します。
1 .C型肝炎の治療の目的
C型肝炎の治療の目的は、慢性肝炎から『(非代償性)肝硬変』への進行や『肝癌』の発生を予防することです。
そのため、C型肝炎ウイルスを排除する『抗ウイルス療法』、あるいは、病気の進行を抑えるために肝臓機能の正常化をはかる『肝庇護(かんひご)療法』を用いた治療を行います。
2.抗ウイルス療法
抗ウイルス療法は、C型肝炎ウイルスを体の中から排除するための治療法です。
以前は注射で行う『インターフェロン治療』が多数を占めていましたが、最近では飲み薬だけで治療する『インターフェロンフリー治療』が主流になっています。
インターフェロン治療
インターフェロン治療は、『インターフェロン』という物質を注射によって投与する治療法です。インターフェロンは、もともと私たちの身体の中で作られるたんぱく質の一種で、免疫機能にかかわっています。投与することで、身体の免疫機能を活性化させ、C型肝炎ウイルスを排除します。
これだけでウイルスの抑制が不十分な場合は、抗ウイルス薬と組み合わせて治療を行うこともあります。
インターフェロンフリー治療
インターフェロンフリー治療は、『直接作用型抗ウイルス剤』という薬を服用する治療法です。
直接作用型抗ウイルス剤は、ウイルスに直接作用して、その増殖を抑える薬です。これによりC型肝炎のウイルスを排除します。飲み薬のみで治療が行えて、副作用も少ないです。毎日飲み続ける必要があり、治療期間は3~6か月ほどです。
3.肝庇護療法
肝臓の炎症を抑え、病気の進行を防ぐ治療法です。
ウイルスを直接排除する効果はありません。すでに肝硬変や肝がんに進行している場合や、抗ウイルス療法で効果がみられなかった場合に用いられます。
炎症を抑える作用をもつ、『グリチルリチン製剤』や、『ウルソデオキシコール酸』を毎日服用するか、定期的に注射して投与します。
薬で治すC型肝炎!効能と新薬のメリット
C型肝炎は、薬の進歩によって、治療やコントロールが可能な病気になってきています。
1.新薬の登場がC型肝炎の治療を可能に
従来の「インターフェロン」による治療の問題点
これまで主に行われてきたのが、先に解説した「インターフェロン」による治療です。この薬は、C型肝炎ウイルスの増殖や、他の臓器への感染を防ぐ作用がある一方で、日本人の多くの遺伝子型に効果が出づらい、という問題点も同時に指摘されていました。
新薬の開発で、治療の難しい遺伝子型にも8割近い効果!
しかし、その後の新薬の開発で、治療が困難といわれていた、日本人に多い遺伝子型に対しても、8割近い効果が発揮されるようになっています。
それを可能にしたのが、飲み薬の『抗ウイルス剤 リバビリン』やインターフェロン治療とあわせて行う治療や、リバビリンと『ペグインターフェロン』を併用する治療、C型肝炎ウイルスの増殖を抑えて、ウイルス自体を破壊する『直接作用型抗ウイルス薬(DAAs)』の登場です。
2.国内初!内服薬のみでの治療法
そして2014年以降、治療困難な遺伝子型に向けて、2剤の新薬を併用する新たな治療法が登場しています。これが先に解説した「インターフェロンフリー治療」です。これにより国内で初めて、インターフェロンを用いない内服薬のみの治療が可能になりました。
これまでインターフェロンを投与できない、また投与しても効果が得られない方でも、治験では約85%の人に効果がみとめられています。ただし、C型肝炎ウイルスの耐性変異遺伝子がある場合にはその効用が発揮されません。
3.内服薬で行う「インターフェロンフリー治療」のメリット
こうして現在では、「インターフェロンフリー治療」による、内服薬での治療が普及しています。内服薬で治療を行うことで、次のようなメリットが得られるようになっています。
・治療にかかる期間の短縮
・薬による副作用の改善
・注射を打つ必要がないため、仕事を休まなくてよいなど、負担の軽減
4.さらなる新薬の開発も!
C型肝炎を治療するにあたって、新薬も次々と開発されています。
新薬に対しても、一定の条件を満たせば医療費の助成が行われることが、厚生労働省により取り決められています。これによって、治療費の自己負担額が月々最大で2万円ほどに抑えられるようになりました。
また製薬会社からは、さらなる新薬の開発も発表されており、革新が期待できます。
知っておきたい!C型肝炎の薬の副作用
1.改善されているものの…副作用は残る
C型肝炎の新薬にも、以前よりも改善されているとはいえ、副作用症状はあります。ある治療薬を例にすると、臨床試験時に約22%のかたに副作用が確認されたそうです。
2.薬の副作用。「かゆみ」や「吐き気」「口内炎」など
主な副作用としては、『かゆみ』や『吐き気』、『口内炎』があげられます。
この他にも『貧血』や『頭痛』、『消化器系のトラブル』(悪心、便秘、腹部不快感)、『発疹』、かゆみの出る『掻痒症』などがあらわれることがあります。こうした症状が出た場合は、すみやかに主治医に報告、相談しましょう。
3.注意!投薬できない可能性のあるかた
次のようなかたには、投薬をできない可能性があります。医師とよく相談のうえ、治療をすすめましょう。
・重度の腎機能障害のあるかた
・腎不全にかかっており、透析を受けているかた
・C型肝炎の薬に過敏症の既往があるかた
・ある種の薬剤を使用されているかた
・特定の抗不整脈薬(カルバマゼピン、フェニトインなど)を使用しているかた
まとめ
新薬の登場により、従来治療が困難とされていた、日本のC型肝炎治療にも明るい展望が見えてきました。飲み薬のみで治療が可能になったことから、日常生活の負担も軽減されるなどメリットも得られつつあります。
C型肝炎の感染が気になるかたは、早めに検査を受けに行きましょう。
また、治療中のかたは医師の話をよく聞いて、病状や薬についてしっかりと理解したうえで、治療を継続しましょう。
執筆・監修ドクター
経歴1996年 埼玉医科大学卒業
1997年 埼玉医科大学第一外科入(一般外科、呼吸器外科、心臓血管外科)終了
1999年 戸田中央総合病院心臓血管外科医として就職
2000年 埼玉医科大学心臓血管外科就職
2006年-2012年3月 公立昭和病院心臓血管外科就職
2012年4月 岡村医院、医師として勤務
2012年7月 岡村クリニック開院
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