女性ホルモンの検査の方法や費用、時期を解説。受けるメリットは?
【医師監修】
ホルモンバランスが崩れると、様々な不調が起こります。
女性ホルモンが少なくなると、心身ともにあらゆる不調があらわれます。
そんな時は女性ホルモンの状態を調べると、不調の原因を特定できるかもしれません。
この記事では女性ホルモンの検査方法や費用、受けられる時期について説明します。
また、検査のメリットも併せて解説していきます。
女性ホルモンの検査では不調の原因を特定することができるので、検査方法や費用、受けられる時期、受けるメリットを知ってもらえたらと思います。
女性ホルモンの検査とは?
女性ホルモンの検査とは、体内の女性ホルモン量を調べる検査です。
女性ホルモンには様々な種類がありますが、この検査で確認できるのは次の六つです。
・卵胞刺激ホルモン(FSH)
・黄体形成ホルモン(LH)
・アンチミューラリアンホルモン(AMH)
・卵胞ホルモン(エストロゲン)
・黄体ホルモン(プロゲステロン)
・プロラクチン
女性ホルモンの検査方法
一般的には、問診の後に血液検査・尿検査を行って女性ホルモンの量を調べます。
女性ホルモンが不足すると卵巣の働きが衰え、様々な不調があらわれます。
そのため血液や尿に含まれるホルモン量を調べて、卵巣がきちんと機能しているかを確かめます。
女性ホルモンの種類とその役割
六つの女性ホルモンは、バランスを保ちながら体内でそれぞれ異なる役割を果たしており、どれが不足しても体に不調をきたします。
卵胞刺激ホルモン
脳下垂体から分泌され、卵胞が排卵できる状態になるまで育ててくれる ホルモンです。
黄体形成ホルモン
成熟した卵胞からの排卵を促す ホルモンです。排卵後は卵胞を黄体ホルモンに変化させる作用があります。
またこのホルモンは、卵胞ホルモンや黄体ホルモンの分泌に影響を与えます。
アンチミューラリアンホルモン
成熟しきっていない卵胞 から分泌されるホルモンです。
この数値が高いと卵子の在庫が多いということになりますが、妊娠率と比例するわけではありません。
あくまで「受精までに必要な卵子がどのくらい残っているか」を示すものです。
ほかのホルモンとのバランスをみて、排卵に異常がないか判断します。
卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンの数値が高く、アンチミューラリアンホルモンの数値が低い場合 | 卵巣に残された卵胞の数が少ない状態 |
---|---|
卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンの数値が低い場合 | 排卵障害の可能性がある |
黄体形成ホルモンとアンチミューラリアンホルモンの数値が高い場合 | 『多嚢胞性卵巣症候群』の可能性がある |
卵胞ホルモン(エストロゲン)
排卵と生理を起こすホルモンです。妊娠を維持する働きがあります。
この数値が低いと卵巣の機能が低下しており、無排卵や無月経、更年期などの可能性があります。
反対に数値が高いと妊娠の可能性がありますが、数値が高すぎる場合は『卵胞ホルモン(エストロゲン)産生腫瘍』の疑いがあり、不妊の原因となります。
黄体ホルモン(プロゲステロン)
受精したときに妊娠の継続を助けるホルモンです。
この数値が低いと黄体機能不全が疑われ、不妊の原因となります。
数値が高い場合は、卵巣や副腎の機能に障害があると考えられます。
プロラクチン
産後に母乳を出すよう刺激するホルモンです。
母乳を分泌するだけでなく、授乳期間中は妊娠しないように排卵を抑制する働きもあります。
この数値が高いと、『高プロラクチン血症』による排卵障害の可能性があります。
女性ホルモンの検査を受けるメリット
女性ホルモンの検査を受けるメリットは、自分の体の状態を確認できるということです。
・卵巣の機能が低下していないか
・現在の体は妊娠しやすい状態なのか
・不妊の可能性がないか
・無月経なのか
・無排卵なのか
・更年期に入っているか
女性は生活習慣やストレス、病気などでホルモンバランスを崩しやすくなっており、それによって様々な不調が起こります。
自身のホルモンバランスを把握しておくことは、生活する上で役に立つでしょう。
検査の費用と受けられる時期
1.女性ホルモンの検査にかかる費用。何科?
女性ホルモンの検査は、産婦人科や婦人科、内科で受けられます。
ホルモン状態が体に支障をきたしている場合は、基本的に保険適用となります。
検査項目の種類や数によっても変わりますが、費用は保険適用時で1,000~5,000円程度です。
病院によっては保険適用外となることもあるほか 、初診料や再診料が別途必要な場合もあるので事前に確認しておきましょう。
2.検査を受けられる時期
女性ホルモンは生理周期に合わせて変動するので、検査を行う時期によって数値に違いが出てきます。
そのためいつでも検査を受けられるというわけではなく、調べたい項目に合わせて検査の時期を決めていくのが一般的です。
日にちや時間を変えて何回か測定することもあります。
・卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン:生理が始まって3~5日頃
・卵胞ホルモン、黄体ホルモン:高温期中期
・プロラクチン、アンチミューラリアンホルモン:いつでも測定可能
結果はどのくらいで出る?
女性ホルモンの検査結果は早くて当日、一般的には1週間ほどで出ます。
まとめ
ホルモンバランスの乱れは体調不良を引き起こす原因になります。
月経異常やひどい生理痛などで体に変化があらわれて不安な方は、女性ホルモンの検査を受けてみてはいかがでしょうか。
自分の今のホルモンバランスを把握することで、対策がとりやすくなるはずです。
執筆・監修ドクター
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