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急性アルコール中毒で危険な量は?血中濃度の算出方法と、症状について

更新日:2023/02/21 公開日:2020/12/16 view数:17,635

【医師監修】

お花見や忘年会シーズンに多い『急性アルコール中毒』は一気飲みなど、短時間に大量のアルコールを飲んだときに起こります。

急性アルコール中毒』とは「急性」という文字どおり、短時間に大量にアルコールを飲んだときに急激に起こるアルコール中毒です。

症状は急激にあらわれ、命にかかわることも少なくありません。

どのようなときに急性アルコール中毒を起こすのでしょうか。

この記事では、『急性アルコール中毒』について、「アルコール量別の症状」や「処置のしかた」など、くわしくご紹介します。

目次
  1. アルコールの危険な量とは?血中濃度の出し方を解説
  2. 急性アルコール中毒で、危険な状態かを判断するには
  3. 急性アルコール中毒の処置のしかた
  4. 急性アルコール中毒を予防するために
  5. まとめ

アルコールの危険な量とは?血中濃度の出し方を解説

1.アルコールが体内で分解される流れ

体内でアルコールを分解する流れの図

まず、アルコールは肝臓で『アセトアルデヒド』に分解される

アルコールが体内に入ると、まず胃や小腸に吸収され、血液によって肝臓に運ばれます。

アルコールは肝臓で2種類の酵素の働きによって、『アセトアルデヒド』に分解されます。

人体に有害なアセトアルデヒドを害のない物質に変えて排出!

アルコール

アセトアルデヒドは、血管拡張・心拍数増加・頭痛・吐き気などの作用を持つ、体にとって有害な物質 です。

アセトアルデヒドは『アルデヒド脱水素酵素』の働き によって酸化され、人体に害のない『酢酸』 となって排出されます。

その後酢酸は血液に乗って肝臓を離れ、筋肉や心臓に移動してさらに分解され、最終的に炭酸ガスと水になります。

肝臓で分解できない分はどうなる!?

矢印

肝臓では一度に大量のアルコールを分解できません。

そのため分解できない分は血液によって全身をめぐり、ふたたび肝臓に戻ります。

2.『血中アルコール濃度』によって“酔い”の程度が決まる

アルコールは脳を麻痺させてしまう!

危険

アルコールは脳を麻痺させる作用を持っているため、血中アルコール濃度が上昇すれば脳の麻痺が進みます。

脳の麻痺は、次の順に進みます

危険

麻痺は、知的な働きをする『大脳』→運動をコントロールする『小脳』→生命維持にかかわる『脳幹』の順で進みます。

脳幹まで麻痺が進むと、意識がなくなって呼吸が停止し、最悪の場合は死に至ります。

アルコールはゆっくり飲むこと!

アルコール

アルコールは飲んですぐ吸収されるわけではなく、飲んでから30分~1時間後に『血中アルコール濃度』が上昇します。

ゆっくり飲んでいれば、血中アルコール濃度が一気に上がることはありません。

3.血中アルコール濃度の算出方法

電卓

体重・飲酒量・アルコール度数からおおよその血中濃度を推測することができます。

計算式は以下のとおりです。

血中アルコール濃度[%]=(飲酒量[ml]×アルコール度数[%])÷(833×体重[kg])

つまり、体重70kgの人がアルコール度数5%のビールを350ml飲んだ場合は、

(350[ml])×5[%])÷(833×70[kg])≠0.03

となり、血中濃度はおよそ0.03%となります。

ただし、計算式はあくまで目安です。体質やその日の体調によって差が出ることもあります。

そのため、実際はこれより血中濃度が高い可能性があることを覚えておいてください。

4.危険な血中アルコール濃度とその症状

禁止

急性アルコール中毒にあてはまる血中アルコール濃度は、だいたい0.31~0.40%であるといわれていますが、症状で判断するので実際には人それぞれといえます。

血中アルコール濃度ごとの症状は、以下のように変化します。

血中アルコール濃度0.02%から0.04%

皮膚が赤くなる、陽気になる、判断力が少し鈍るなどの状態になります。

血中アルコール濃度0.05%から0.10%

ほろ酔い気分になる、体温が上がる、脈が速くなるなどの状態になります。

手の動きが活発になったり、理性が失われたりすることもあります。

血中アルコール濃度0.11%から0.15%

気が大きくなったり、怒りっぽくなったりすることがあります。

座っているとなんともなくても、立つとふらつきます。

血中アルコール濃度0.16%から0.30%

呼吸が速くなったり、何度も同じことを話したりします。

運動失調が出て動きづらくなり、まっすぐ歩けなくなったり、嘔吐したりすることもあります。

血中アルコール濃度0.31%から0.40%

まともに立つことができなくなり、そのときに起きていることが記憶できなくなることがあります。

血中アルコール濃度0.41%以上

意識障害を起こすことがあります。

脳全体に麻痺が広がって呼吸中枢も働かなると、最悪の場合は死に至ります。

約半数の人が1時間から2時間で死亡します。

急性アルコール中毒で、危険な状態かを判断するには

危険な状態かを判断するには、意識・体温・呼吸を確認します。

呼吸が苦しそうであったり呼吸が止まりそうな状態であれば、速やかに救急車を手配しましょう。

1.『意識障害』が出たら、深刻な急性アルコール中毒!

救急車

急性アルコール中毒になると、さまざまな症状があらわれます。なかでも深刻なのが『意識障害』です。

以下の症状が出ていたら速やかに救急車を呼ぶことをおすすめします。

・眠ったまま何をしても起きない。
・痙攣している。口から泡を吹いている。
・体温が低下し、強い寒気を感じて震えている。
・呼吸回数が減ったり、呼吸が弱くなったりしている。

2.その他の急性アルコール中毒症状

ほかにも次のような症状がみられたら、急性アルコール中毒にあてはまります。

・意識の混濁
・昏睡
・血圧の低下
・呼吸の抑制
・失禁悪酔い
・顔面や全身のはっきりとした紅潮・灼熱感、発汗
・動悸
・呼吸困難
・胸痛
・低血圧
・頭痛
・不穏
・めまい
・目のかすみ
・嘔気
・嘔吐
・口渇
・脱力
・起立性低血圧(急に座ったり立ち上がったりしたときに起こる失神)
・記憶の抜け落ち(ブラックアウト)
・アルコール性低血糖(18時間以上の飢餓状態で大量の飲酒をすると起こる)

程度は個人差があるので危険と判断するには及ばない場合もありますが、異変があらわれたら注意が必要です。

急性アルコール中毒の処置のしかた

続いて、周りの人が急性アルコール中毒になった場合の処置方法について解説します。

1.誰かがそばについていたほうがよい場合

助ける

救急車を呼ぶほどではなくても、嘔吐があったり一人で歩けなかったりする場合は、吐いた物をのどに詰まらせたり、転倒して怪我をしたりする危険があります。

こんな場合は、誰かがそばについていたほうがよいでしょう。

2.無理に吐かせるのは危険!

血中アルコール濃度が高いときは、無理に吐かせても役に立たない

吐き気

急性アルコール中毒の応急処置として、水を飲ませたり吐かせたりするとよいといわれます。

しかし、血中アルコール濃度が高くなると、あまり役に立ちません。

むしろ、無理に吐かせるのは避けたほうがよいでしょう。

無理に吐かせないほうがよい理由

のどの筋肉が弱っている可能性がある ため、無理に吐かせると吐物がのどに詰まることがあります。その吐物が、気管に入ると肺炎を起こすことがあります

3.症状に合わせた処置を!意識・体温・呼吸の保持が大切

症状に合わせた処置のしかた

危険

先にも述べたように、意識・体温・呼吸の保持することが大切です。

寒気があるようなら毛布などで温める、吐物がのどにつまらないよう仰向けではなく横向きに寝かせる、定期的に呼吸と脈拍の確認をする、などの処置をおこないましょう。

必ずしも酔った状態から起こるとは限らない

急性アルコール中毒は、必ずしも酔った状態から起こるとは限りません。

酔う間もなく、一度に大量のアルコールを飲んだ場合は、突発的に症状が出る場合もあるので注意が必要です。

急性アルコール中毒を予防するために

最後に、急性アルコール中毒を予防するポイントを解説します。

空腹時や体調不良は飲酒を避ける!

医師

急性アルコール中毒にならないためには、急激に血中アルコール濃度を上昇させないことです。

ですので、アルコールが急激に吸収されやすくなる空腹時や、アルコールの影響が出やすくなる体調不良時の飲酒は避けましょう。

そして、なによりも自分の適量を知り、飲みすぎないようにすることが大切です。

『一気飲み』は避け、ゆっくりと適量を!

ビール

急性アルコール中毒の原因は、短時間で大量のアルコールを飲む一気飲みがほとんどです。

アルコールが体内に吸収されるまでには、早くても30分はかかります。

時間をかけて飲酒すると、アルコールが肝臓で正常に分解されるため、血液中に流れにくくなります。そうなると、そこまで血中アルコール濃度は上がることはないでしょう。

急性アルコール中毒にならないために、適量をゆっくり飲むようにしましょう。

まとめ

急性アルコール中毒は、意識・体温・呼吸で判断!

救急車

お酒の飲みすぎで起こる急性アルコール中毒ですが、飲みすぎて酔っている状態との判別がむずかしいかもしれません。

危険な状態かを判断するには意識・体温・呼吸をみます。

危ないと感じたらすみやかに救急車を手配しましょう。

一気飲みや、お酒の無理強いはしない

急性アルコール中毒は、一気飲みによって起こるといっても過言ではありません。

お花見シーズンの週末、東京都内だけで100人以上が急性アルコール中毒で搬送されたという年もあるそうです。

お花見や忘年会など、楽しいお酒は飲み方によって命を奪われることにもなりかねません。

一気飲みや、お酒の無理強いはやめましょう。

執筆・監修ドクター

岡村 信良
岡村 信良 医師 久野銀座クリニック 理事長 担当科目 消化器内科

経歴2006年 北里大学大学院卒、
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任。
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業

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