急性アルコール中毒の後遺症は?めまいなどが数日~数週間続くことも

【医師監修】
お花見や忘年会シーズンになると急増する、急性アルコール中毒。
症状によってはアルコールが抜けても元に戻らず、後遺症が残ることもあります。
お花見や忘年会シーズンになると、急性アルコール中毒にかかる人が急増します。
お酒の飲みすぎて起こることは皆さんご存じだと思います。とはいうものの、急性アルコール中毒は、アルコールが抜ければ元に戻ると思っている人は少なくありません。
しかし急性アルコール中毒は、後遺症が残ることがあります。
この記事では、急性アルコール中毒がなぜ起こるのか、また、後遺症について解説します。
急性アルコール中毒って?症状は?
1.急性アルコール中毒とは?

急性アルコール中毒とは、短期間に多量のアルコールを摂取することにより生じる中毒症状です。
重い症状になると、意識を失って倒れたり、ひどい寒気に襲われたり、眠ったまま起きないなど、重篤な状態を引き起こします。
2.突然症状が出ることも!
アルコールに弱い人は特に注意!
急性アルコール中毒になる前段階として、顔が赤くなる、饒舌になるなど、酔っ払った状態があると思われがちですが、必ずしもそうではなく、いきなり症状が出る場合もあるので注意が必要です。
特効薬は今のところなし
急性アルコール中毒の治療には特効薬はありません。
アルコールを分解したり、血中のアルコール濃度を下げる薬があるわけではなく、病院での治療は点滴をしながら重篤な症状に対する対症療法が行われるだけです。
急性アルコール中毒が起こるメカニズム
1.アルコールはどのように分解されるか
どのようにして急性アルコール中毒が起こるのか、まずアルコールの代謝について簡単に説明します。

アルコールが体内に入ると胃や小腸で吸収され、血液によって肝臓に運ばれます。
アルコールは人体に有害な物質なので、肝臓で無害な物質に分解します。
肝臓では2種類の酵素(ミクロソームエタノール酸化系・アルデヒド脱水酵素)の働きでアルコールを「アセトアルデヒド」に分解します。
「アセトアルデヒド」の時点ではまだ人体に有害で、顔を赤くしたり吐き気を起こしたりします。
「アセトアルデヒド」は肝臓で、アルデヒド脱水素酵素の働きで「酢酸」に分解されます。
「酢酸」となって初めて人体に無害となり、体外に排出されます。
2.お酒に強い人、弱い人がいるのはなぜ?

アルコールは2つの段階を経て初めて無害になりますが、アルコールを分解する酵素の量には個人差があります。
酵素の量が少なければ、アルコールの処理にも時間がかかってしまいます。お酒に強いか弱いかは、この酵素の分泌量が関係しているのです。
2.肝臓のアルコール処理能力を超えた場合は?
血中のアルコールは肝臓に運ばれ分解されます。
しかし処理しきれないものは、血液を通って全身を巡ります。アルコールには脳を麻痺させる働きがあり、血中アルコール濃度が高くなると、麻痺する範囲も広がります。
麻痺は知的な働きをする「大脳」から始まり、濃度が高くなるにしたがって運動をコントロールする「小脳」、続いて呼吸などの生命をコントロールする「脳幹」へと広がります。

急性アルコール中毒の後遺症
1.数日~数週間で治る症状
二日酔いの症状がしばらくの間続く
数日~数週間、めまいやふらつき、胃の不快感が残ることがあります。いわゆる「二日酔い」の状態で、急性アルコール中毒というよりは、アルコールを多く飲みすぎたことによる影響です。
めまいやふらつきは脳の麻痺による運動失調により起こり、胃の不快感はアルコールによる胃のダメージの影響と考えられます。
2.後遺症が残る恐れのあるケース
心肺停止状態となった場合

急性アルコール中毒で救急搬送され入院となるケースがありますが、必ずしも後遺症が残るわけではありません。
後遺症が残る可能性があるのは、心肺停止状態となった場合がほとんどです。
急性アルコール中毒で心肺停止状態が長時間続いてしまうことにより、脳にダメージを与え、障害が残ることがあります。
障害の重さは心肺停止状態がどれくらい続いたかによって変わります
急性アルコール中毒がもたらす重篤な後遺症
長時間の心肺停止状態により、脳への酸素供給が止まると脳に深刻な障害が残ることがあります。「高次機能障害」といい、以下のような種類があります。
・記憶障害
記憶ができなくなったり、記憶を失ったりします。人の顔を覚えることが難しくなります。
・注意障害
物事に集中することができず、複数のことを同時にすることができなくなります。また、音や光に過敏に反応し、作業が中断してしまいます。
・遂行機能障害
論理的な思考ができなくなります。自分で計画を立てる、物事の優先順位をつけられないなど、指示がなければ行動するのが難しくなります。
・失行症
道具の使い方がぎこちなくなります。普段できていることが、指示されるとできなくなることがあります。
・失認症
物体を認識できなくなります。触っているものや、人の顔などを理解することや判別することが難しくなります。
・失語症
言葉が話せなくなります。相手の話していることも分からなくなることがあります。
まとめ
毎年多くの人が急性アルコール中毒で救急搬送されています。
一気飲みや多量の飲酒は危険であることを周知されているにも関わらず、なかなか件数が減らず、死亡者も出ています。
急性アルコール中毒は、飲みすぎてひどく酔った状態と認識されてしまうことが多いのですが、命の危険があるばかりか回復したとしても重い後遺症が残ることもあるのです。
重い後遺症を残さないためには心肺停止状態にならないようにすること、また心肺停止状態からのすみやかな心肺蘇生が重要です。
危険な症状は見逃さず、すみやかに救急車を手配し、いざという時のために心肺蘇生法を学んでおくのも良いでしょう。
執筆・監修ドクター
経歴2006年 北里大学大学院卒、
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任。
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
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