土居 真太郎先生(日本ペインクリニック学会認定 ペインクリニック専門医)にインタビュー
学生時代は心臓血管外科に憧れ 勤務医時代は全身麻酔を中心に幅広く研鑽
元々、災害地が現場になることをイメージしながら勉強をしていたので、学生時代は心臓血管外科の医師になろうと考えていました。麻酔科を選んだのは痛みの治療に興味があったのと手術室で働きたかったからです。その流れで臨床研修先も心臓血管外科の手術が多い所を選んで入局しました。心臓血管外科には緊急手術がつきものですので、患者さまの命を守ることだけを考えながら、常に緊張感を持って勤務していましたね。多くの病院で全身麻酔、集中治療、ペインクリニックまで幅広く経験できたのも、開業する上で強みになりました。
そのため、治療についてはブロック注射一辺倒という訳でなく、まず薬物治療を試したり、運動療法や認知行動療法を交えた治療をすすめたりすることが増えています。「日本橋むらやまクリニック」に入職したときからの患者さまは今でも来院されますし、クリニック名が変わった当初は戸惑う方もおられましたが、徐々に打ち解けていけたのもうれしかったです。
勤務医時代は神経ブロック療法を中心に行っていたこともあり、50歳以上の方を中心に診察していました。いまは若い方からご高齢の方までさまざまな痛みに関するお悩みに対応していますので、幅が広くなった分やりがいがありますよ。
足の痛みに隠されている症状の把握に努め、靴の履き方や歩行をアドバイス
注意深く診察をすることで、痛みの原因が病的なものではなく、「靴」が原因だったということは珍しくありません。大きすぎる靴を履いてしまうと靴の中で足ずれが起こり、膝の痛みにもつながります。靴のサイズや足にフィットしているかどうか確認させていただき、靴の履き方やインソール着用の提案、歩き方などのアドバイスも行います。患者さまの状態を見極めたうえで、症状の改善を目指しています。
頭痛は直接、命にかかわるものとかかわらないものとがあります。そのため、いわゆる頭痛の場合は医師も周りの人も患者の抱えている辛さが理解できていないことが多いです。例えば片頭痛の場合は症状の重い方だと頭痛の時はほぼ寝ていないといけないため、1週間に5回の頭痛だとしても5日会社や学校を休む必要があります。症状がなくなることは難しい場合もありますが、頭痛の頻度を減らしたり、頭痛の強さを減らしたりすることは多くの場合で可能です。
また、頭痛と言っても顔まわりの痛みや口の中の痛みなど顔面痛も含まれますので、治療そのものだけでなく診断を含めた相談という意味でもいらしていただきたいと思います。
コロナ禍でリモートワークが普及し、人と接する機会が減ったことで、姿勢が悪くなったり慢性痛で自律神経が乱れたりといった相談が増えています。そのような患者さまに対して、ヒアリングや立ち座りの状態を確認するなど行っています。
人によってはメンタルな部分から腰痛に繋がるケースもありますので、腰自体が悪いのか精神的な部分から来ているものなのかを見極めることが重要です。慢性痛の方は身体のどこかで「歯車」が乱れている可能性があります。その「歯車」を元に戻すために生活習慣のアドバイスや漢方の処方を行います。漢方薬については、腰痛やストレスなど一人ひとりの症状を見ながらお出しするようにしています。
地域に根付き、コミュニケーションを大切にしたクリニック
また、看護師長が最初の代の「宮田医院」、2代目の「日本橋むらやまクリニック」と、3代にわたり当ビルでクリニックを続けている歴史があります。ありがたいことに、患者さまの中には「日本橋むらやまクリニック」時代から継続して来てくださる方もいらっしゃります。今後も地域密着型のクリニックとして、地域住民の方や周辺にお勤めの患者さまと交流を深めたいと考えています。