豊川 秀樹先生(日本ペインクリニック学会認定 ペインクリニック専門医)にインタビュー
より早く痛みを緩和できるよう、より専門的な治療の提供に注力
この医療技術を身につけ、身近な環境で提供できるようにすることで、つらい痛みを抱えた方が病院を受診する負担を少しでも軽減できればと思い、今にいたります。
例えば、三叉神経痛は、頭蓋骨内の血管によって三叉神経が圧迫され、顔などに痛みが出る病気です。顔が痛くて食事はおろか、水も飲めない、顔も洗えないといった症状に悩んでいる患者さまに神経ブロックを施した結果、その日のうちに改善したという例もあります。また、歩けないほどの腰痛で受診され、神経ブロックの注射を打った後、30分ほどで歩けるようになった例もみてきました。こんなに速く患者さまを痛みから解放できるなら、大きな病院を受診する負担をかけずに、より身近な環境で提供できるようにしたいと思ったのが開院のきっかけでもあります。
今後も、慢性的な症状から急性的な症状まで、全身のさまざまな痛みを少しでもスピーディーに緩和できるよう、技術の向上に努め続けていきたいですね。
また、私は、開院前、リハビリテーションに力を入れている病院でも勤務医をしていました。痛みの中には、お薬や神経ブロックの注射だけでは改善されないものがありますが、そうした場合に、リハビリテーションが大事になってきます。特に、慢性的な痛み対しては、運動療法がとても役に立ちます。お薬と神経ブロックとリハビリテーション、この三つをうまく組み合わせた治療計画を提案できるペインクリニックを目指していきたいと考えています。
痛みの原因を見きわめ、さまざまな神経ブロックを提案できる
手術となると、入院の予約や事前の検査などもあるため、それなりの時間がかかります。他方で、神経ブロックのメリットは、患者さまが納得してくださればすぐに行え、より負担をかけずにスピーディーに痛みを緩和できることです。「神経ブロック注射は痛い」と思っている方もいらっしゃるようですが、鎮静の処置をしてから注射を打つことで、負担は軽減できますので、身構えなくてもよいかと思います。なお、手術後に病気が再発し、痛みに悩んでいるといったケースでも、神経ブロック注射で症状の緩和が期待できます。
帯状疱疹による痛みは、神経障害性疼痛と言って、神経の傷によるものです。それを改善するために、当クリニックでは、高周波パルスを使った神経ブロック注射など、より新しい治療方法も取り入れています。
急性の腰痛の場合には、神経ブロックを1~2回打っただけで改善されることもあります。他方で、慢性の腰痛の場合には、姿勢のバランスが崩れていることが原因になっている場合もあるので、お薬と神経ブロックに加え、リハビリテーションも重視しています。腹圧を意識して背骨を支える力を鍛える運動療法で、痛みの改善が期待できます。椎間板ヘルニアについては、レントゲン画像で位置を確認しながら行う神経根ブロックや椎間板ブロック注射を提案することもありますね。
より身近で、より早く患者さまを痛みから解放したい、という思いで開院へ
そのためにも、神経ブロックを取り入れた新しい治療方法を、当クリニックでもいち早く取り入れられるよう、医療情報にアンテナを張り、技術の向上に努めていきたいですね。
そのため、NPO法人の活動に参加したり、大学病院で講師を務めたりと、後進の育成にも力を入れています。痛みに対する診断力やペインクリニックの技術を向上するため、少しでも私にできることがあれば、取り組んでいきたいですね。
今後も引き続き、神経ブロックに力を入れつつ、お薬や運動療法と三つの要素をうまく組み合わせ、患者さまのご要望にも寄り添った治療法を一緒に考えていきたいと思っています。つらい痛みを抱えながら大きな病院を受診することを負担に感じている方がいれば、我慢せず、ぜひ当クリニックにご相談にいらしてください。