
田中 拓夫先生(日本呼吸器学会認定 呼吸器専門医)にインタビュー
症状改善だけでなく、原因を突き止めることが呼吸器内科の医師としての使命
そのため、咳や喘息に関することはもちろん、肺がん、結核性胸膜炎、癌性胸膜炎、間質性肺疾患、呼吸器感染症など、呼吸器にまつわる疾患の勉強、研究に幅広く力を入れてきました。
久留米市の古賀病院は、症状をコントロールしていくことの難しさと大切さを学ばせていただいた病院です。治療が難しく重い症状が継続する「難治性疾患」を多く取り扱っており、患者さまへの指導・心のケアも含めて学びになることが数多くありました。また、同様に患者さま目線での診療の大切さを学んだのが、国立療養所田川新生病院での診療です。長期的な入院を必要とする方が多かったため、患者さまのお気持ちを考慮した上での接し方などを学ぶことができました。
また、患者さまの中には処方された薬を飲んで一時的に症状が治まった際に、自己判断で薬の服用をやめてしまう方がいらっしゃいます。しかし、根本的な改善を図るためには自己判断で服用をやめてしまうのはよくありません。呼吸器内科を専門とする医師として、今後はより、患者さまへの丁寧なご説明や啓もう活動により力を入れていきたいと考えています。
「いかに悪化させず、いかに継続してもらえるか」を考え、治療を行う
当クリニックでは、ガイドラインに沿った検査からお薬による治療、口すぼめ呼吸や腹式呼吸などの呼吸訓練を中心とした呼吸リハビリテーションまで「いかに悪化させないか」を重視した診療を行っています。COPDは、重症化すると在宅酸素療法が必要になるなど、さまざまなリスクがある疾患です。禁煙に対し抵抗感のある方も多いかと思いますが、患者さま一人ひとりのバックグラウンドなどを考慮し、多角的な視点でアドバイスをさせていただきます。喫煙習慣がある方、咳が慢性的に出る方はお早めにご相談ください。
気管支喘息は、軽視してはいけない病気です。気管支喘息をはじめとする呼吸器疾患でお亡くなりになる方を見てきたからこそ、継続的に正しく治療を行うことが大事であることを伝え続けていきたいと思っています。またそのために、薬局など地域の医療関連機関とも連携をとるよう努めています。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)に関しては、携帯型装置による簡易検査で就寝中の呼吸の状態を検査し、経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)で治療を行います。睡眠時無呼吸症候群は、ご自身では気づいていないことが多いにもかかわらず、高血圧症や脳卒中、心筋梗塞などのリスクを高める病気です。「よく寝ているはずなのに日中眠気がある」「起床時に頭痛がある」「家族に睡眠中の呼吸を指摘された」といった場合は、ぜひ一度検査をご検討ください。
専門的な診療に努めながらも、気兼ねなく相談できる環境づくりに力を入れる
また、日本呼吸器学会認定 呼吸器専門医としては、窒息でお亡くなりになる患者さまをゼロにできるよう、引き続き努めてまいります。発熱の外来診療にも対応しており、新型コロナウイルスをはじめとした感染症対策に配慮した上で診療を行っておりますので、体調不良や健康に関する疑問・不安がある場合は遠慮なくお越しください。
喘息は継続的に治療をしていくことが大事な疾患だからこそ、どの医療機関・薬局を利用したとしても情報共有がなされるシステムづくりが必要になると考えています。また、そういったネットワークは地域にいくつかありますが、将来的にそれらが統一されることも、より良い地域医療のためには大切だと考えています。
日本呼吸器学会認定 呼吸器専門医の役割は、症状を抑えることだけでなく「咳が出ていたら、なぜ咳が出ているのか」まで診ることだと思っています。地域の皆さまが、健康で幸福に生活できるよう、医師としてサポートしていければ幸いです。